適切な解像度 - 箱庭稽古日報 5/2

2021年5月3日 01:50

稽古日報

日常をどのくらいの解像度で過ごしていますか？

季節の変化、心情の変化、空気の変化…。映像は4Kの時代ですが、視界や心はどのくらい鮮明でしょうか。チェキフィルムや写ルンですが流行っていることからも、「解像度高いことだけが良いわけじゃない」という世間の流れを感じます。日々見ている解像度があんまり高くても疲れるものです。

私はどちらかというと敏感な人間です。誰かの気持ちや、場の空気を気にして大人になった自覚があります。田舎で育ったこともあり、季節の変化や自然に対しても割と敏感な方かもしれません。

演劇というのは、劇団であってもだいたい一人は「はじめまして」の人が現場にいることが多いです。今回の作品も半分くらいはじめましての方。もちろん緊張します。

そしてややこしいのは、はじめましてじゃない人にはまた別角度での緊張があることです。

わたしは脚本を書いているので「役者が初めて台本を読む瞬間」、心臓が止まりそうなほどドキドキします。「これを演じたいだろうか」という不安、さらに「傷つける言葉がないだろうか」「もし役と同じ境遇の人がいた場合、この結末に傷つかないだろうか」などなど、気になる事が無限にあります。

物語を書くという事は、誰かの結末を一旦決めてしまうということで、それには大きな責任が伴うと思っています。

つまり稽古が始まったばかりのこの時期、私の全身は解像度が高いカメラみたいになっていてみんなの表情や空気を伺っています。ものすごく疲れます。一人も退屈してる人がいないようにしたくて、稽古で喋りまくってしまいます。笑

そして、今日は稽古３日目。

だんだんと、上に書いたような無駄な解像度が下がっていきます。

無駄…じゃないかもしれないけど、稽古にとっては無駄。そんなこと気にするより、自分の作品を私が一番楽しんで作るべきなので。

なぜ徐々に解像度が下がるかというと、みんなの芝居の解像度が上がっていくからです。役者の人柄や空気感が分かってくるからです。安心するんです。

書いた役たちと役者が出会い、徐々に仲を深めていく姿を見られるのは作演出の特権です。もちろんまだまだ仲良くなってるひとはほとんどいませんが、役者たちが役の周りをくんくん嗅ぎまわるようにしている姿はとても愛おしく感じます。

前回よりもずっと芝居の解像度が上がっているのを感じる。

ドット絵だったシーンが、徐々に見えてくるような…ゲームボーイがゲームボーイアドバンスになったような。目指せNintendo Switch！いや、PS5！笑

そんな風に思え始めたところです。

…意味わからん人には意味わからん文章を書いている。許されたい。そのうちもっと誰にでもわかる言葉で話せる時がくると思う。今はゲームボーイにしか例えられない。笑

芝居への解像度が上がる。

みんながシーンに集中している。

自分の心と、他人の声色や呼吸に敏感になっている。

…この時間がたまらなく好きだなと、久しぶりの稽古場で胸を震わせています。

だけど！芝居としてはまだまだ第一歩のところ。

今日は本読みの後に、今回の作品の大枠の話をして、冒頭から動きをつけはじめました。次の稽古からアンサンブルも加わり、ダンスの振付がはじまります！

ミュージカルってのは覚える事が山ほどあります。

歌も覚えたばかりなのに、次は踊りを覚えて、その最中台詞を体にいれなくてはなりません。ほんとにね、本来はロングランしないと元取れないくらいのことをやってるんですよ。こんだけ覚えて２日で終わるなんて！ねえ。（今のご時世幕が開くだけで凄いことだし…）

さて。今日はイマイチ意味のわからない稽古日報になってしまったかもしれません。申し訳ない。今日こそ「ハートのマークを押してくれると嬉しい」って言おうと思ってたのに、あんま堂々と言えないじゃないか。

季節の変わり目という感じで、暑いと思ったら寒い、晴れてると思ったら大雨！一部地域では雹が降る！という全部盛りデーでしたね。ラーメンなら大喜びです（嘘です、全部盛りなんて一度も食べたことありません）

LiBRAへ向かう道は花がたくさん見られて嬉しいです。

春の花が熱気に当てられて枯れていく姿が好きです。夏に向けて緑色が青々と輝き始めるのが好きです。雨の後、雨粒の重みに耐えられずくったりと首を折ってしまった花が好きです。季節がやってくる歓びのそばには、いつだって時が過ぎていく残酷さが横たわっています。

中腰で稽古場向かう道すがら花をおさめる奇天烈女

0点の短歌です。　

ひらたあや

本チラシ

ミュージカル「ひみつの箱には、」

日時　（開場は開演30分前・上演時間80分・休憩なし）
6月4日（金）19:00
6月5日（土）11:30 / 15:30 / 19:00

場所：北沢タウンホール

（配信チケットのお申し込みはもう少々お待ちください！）

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