なんで分別しないといけないの? -ごみのお勉強-

日本で生活していると
家庭内では当然にごみは分別して
決められた日に決められた形でごみを出す。
そうすればごみ収集車が回収してくれる。
分別をしてごみを出す日さえ間違わなければ
全部持って行ってくれる。
それが普通。



ちょっと立ち止まって考えて欲しい。
そもそもなんで分別する必要があるんだっけ?

青年海外協力隊で環境教育という職種になるまで
僕は正直あまり理解していなかったと思う。



それは中間処理が存在するから。


日本では
最終処分場に運ばれる前に燃えるごみは焼却処分され、
リサイクル可能なものはまとめてリサイクル工場に運ばれていく。
ざっくり言えばこの2つが、分別が必要な主な要因となる。


なんだ当然じゃん!と思うかもしれないが
僕は意外とそんなことも意識せずに分別をしている。
もう普通。そういう人は意外と多いんじゃないか。

ちなみにこの様な中間処理をしている日本は、
先進国だけを見渡しても実は結構特殊な部類に入る。


全ての国でごみは燃やされる訳ではない。

日本ではごみの多くを焼却処分しているが、
実は焼却という処理方法は世界的にはそこまで一般的ではない。
焼却処分をすることで体積を小さくし、臭い等の問題をなくしているが、
これは国土が狭く最終処分場の用地が少ないことや
焼却することで衛生問題の解決を先行して考えていることが考えられる。
日本の状況を鑑みて最善と思われる方法を追求した結果で、
これが全世界的に見て普通という訳ではない。

例えばインドネシアで日本での焼却施設の話をすると
「なぜ生ごみをコンポスト(ごみの堆肥化)をせずに焼却をするの?」
と言われる程、国の状況や考えられる手法によって状況は異なる。



分別は誰が行うのか。

精度の高いリサイクルをする為には分別は必要だが、
この分別の主体も国によって異なる。
例えば環境先進国と言われるドイツをはじめとする欧州諸国では
日本のように10種類以上の分別をすることはないが、
それでもリサイクル率は日本より高いと言われている。
(このリサイクル率の議論も色々あるので、ざっくりと理解してもらえればいい)


日本では国民一人一人が分別→収集となるが、
それらの国では国民はざっくりと分別→収集→まとめて分別(人や機械)
となっている為、住民の分別の種類は日本よりは多くない。

日本では国民に分別という負担を強いているが
諸外国ではそれをまとめて行っているという分別をする主体に違いがある。
プロや機械がやった方が詳細に分別出来るんだろうと思う。


誤解が無いように付け加えるが、
分別する際にリサイクル可能か(マークがあるか)どうかという判断は
日本と同様かそれ以上に必要なようなので
決してごちゃ混ぜにして捨てているという訳ではない。



途上国での分別概念

では途上国ではどうなのか。
この状況は全く異なる。

おそらく途上国と言われる国では多くのごみが中間処理を経ずにそのまま最終処分場へ送られる。
日本の最終処分場の場合は実は汚水等の対策をするために
特殊な建設物を作り、そこにごみを捨てているが、
途上国の場合はそのような管理設備がなく捨てられることがほとんど。
リサイクルの制度も未整備の場合が多く、
整備されていたとしても国民の意識は低いことが多いため
そうなるとごみの分別という概念がない。
だって必要ないんだもん。
(このあたりはその国の処理方法によって異なる)

インドネシアでは基本は分別はしないが、コンポスト(ごみの堆肥化)を行うところでは2つあるなど、後工程でどうするかによって異なる。


とはいえリサイクルが可能なペットボトルや鉄などは
ごみではなく資源であり、
国などの制度として整っていなくとも集めればリサイクル業者へ売ることが出来る。
(とはいえ一般的には一家庭で出る量では売却することが出来ず、
もっとまとまった数量での売却が必要ではある。)



ウエストピッカーの存在

このような理由から途上国の最終処分場にはウエストピッカー(スカベンジャー)と呼ばれる
ごみの中から有価物を拾い、それを売って生きる人たちが存在する。
それを中間業者に売却し、中間業者からまとめてリサイクル会社へ売却する。
彼らはごみの山のすぐ横に住み、新たなごみが来るたびにそれを漁る。
生ごみも混ざる為悪臭が酷く、蚊やハエ等の病原菌を運ぶ害虫と一緒に暮らすことになる。
不衛生極まりない環境。でもそこで暮らすしか選択肢がない。
火災やごみの山の土砂崩れで亡くなることもある。


だが一方では彼らが途上国のリサイクルの担い手になっているという見方も出来なくもない。
彼らがいなければリサイクル出来るものも、そのままごみとなる。
そして例えば制度としてのリサイクルが成り立ち、
最終処分場に行く前に分別などを行うようになると
彼らは文字通りの生業を失うことになる。

彼らだってやりたくてそんなことをしている訳ではない。
もし分別が進み、最終処分場では生計が立てられなくなれば
おそらく街中に出てくるんだろう。
そして日本で言ういわゆるホームレスのように街中のごみを集め始める。



インドネシアのごみ事情

インドネシアでは例にもれず上記の途上国の様な処分をしている。マカッサル市の最終処分場にも行ったが、文字通りのごみの山。
臭いとハエが特にすごい。
そこには500人以上のウエストピッカーが住んでいて
毎日ごみが捨てられる場所のすぐ横では、麺料理等の軽食を出すお店があり
彼らはそこでご飯を食べていた。
そこには生活があり、コミュニティーが存在していた。

牛は生ごみを食べる。大切なごみ処理の一員。
(豚の方がなんでも食べるからいいと言われているが、イスラムの国の為にインドネシアでは牛がいる)



ただ、インドネシアでは少し変わった形のリサイクルの制度が存在する。
他の国の制度を深くは知らないが、非常にユニークな形態をとっていると思う。
管理・運営は少々難しい部分もあるが、発想としてはとても個性的。


次回はそれを紹介してみますね。


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