ふじまる虫時間・第2限「トックリバチの巣作り」
トックリバチとは
「トックリバチ」とは、スズメバチ上科ドロバチ科トックリバチ属に含まれる単独性の狩りバチの総称です。日本には4種類のトックリバチ(Eumenes)がいます。
今回は、その中の一種、「ミカドトックリバチ」を主にご紹介します。
ミカドトックリバチは、九州から北海道まで分布しているハチです。活動時期は6月~10月。体長は10~15㎜です。
発生する季節によって、模様が変わることが知られています。(季節型と言います)最初の世代は黄班が少なく、次の世代から黄班の多い個体が多くなるようです。
ミカドトックリバチの巣作り
「トックリバチ」の最大の特徴は、壺型の巣を作ることです。ミカドトックリバチを例に巣作りの様子を、写真を交えて見てみましょう。
巣を作る場所探し
巣は、すべて母バチ一匹で作ります。まずは巣を作る場所探しから。私が見た限りでは、ミカドトックリバチは葉や壁面などに作ることが多いようです。
しかし、枝や崖から露出した木の根のようなところにも作るので、環境や季節によって巣を作る場所は柔軟に変えているようです。
我が家でも、風呂場の外壁と庭に仕掛けておいた太めの竹筒の中に作られていたことがあります。
吸水
巣を作る場所が決まると、今度は水がある場所に行き、体内に水をためこみます(吸水と言います)。
巣材となる泥を集める
次に、巣材にするドロ集めです。泥といっても、水辺にあるような泥は使いません。
土にもこだわりがあるようで、巣材となる土探しをしているハチを観察していると、ここのもはダメ、そこもダメ…といった様子で、結構時間をかけて土選びをしているように見えます。
気に入った土がある場所を見つけると、先ほど吸水した水を吐き出しながら乾いた土をアゴで削り取り、自ら巣材となる泥を作ります。
▲巣材を集めているところ(ミカドトックリバチ・メス/7月)
その泥を団子状にし、口と前肢をつかって抱えるように巣を作る場所へと運びます。だいたい一回の吸水で3つほど泥団子を作るができます。
泥を使って巣を作っていく
▲巣をつくる様子 その1(ミカドトックリバチ・メス)
上の写真では作業がだいぶ進んでいますが、先ず巣底になる部分を基盤になる葉の裏にしっかりと取り付ける作業から始まります。材料の土には水以外に唾液も混ぜわせているので、それが接着剤の代わりになっているようです。
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