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『僕はジャッキー・チェン』感想

『僕はジャッキー・チェン』ジャッキー・チェン著
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成龍ことJackie Chanの自伝。
初めて手に取ったのは2006年…20代の頃で、あの頃は本を読むのが遅く、
半年を費やしたはずだが、今回は2週間で読了。
面白くて夢中になり、ずしんと重い感動があるのは前回と同じだが、
二度目となると見えてくるものが違う。

この自伝には、ジャッキーが生まれてから、映画"Rush Hour"の成功までの人生が描かれているが、
560ページの大長編のほぼ半分が、彼が8〜18歳まで通った京劇学校での日々に費やされる。この話が気が遠くなるほど長い。
が、この厳しい日々の描写に、言葉で言えない大切な何かがある。

そして卒業後、アクション映画のスタントマンとしての下積み時代が、延々と続く。
「主演スターの撮影中、自分達は待ってるだけでヒマ。危険で、給料も低い」
「一時はスタントの仕事を辞め、オーストラリアの両親のもとに帰り、レストランと建設工事のアルバイトを始めた」
…なんて信じられないエピソードも。

そんな無名のスタントマンに過ぎなかった彼が、なぜここまで成功したのか?
きっかけは、他の人が嫌がる非常に危険なスタントを志願し、完璧に成功。しかも一度成功してから「もう一回やらせて下さい」と監督にお願いし、さらに高い完成度の演技をやりとげ、仰天させたことにある。これで彼は「他のスタントマンと違う。あいつは才能がある」と評判を勝ち取り、チャンスを掴んでいったらしい。成功したいなら、普通の人の倍以上努力しろ、ということか。

とにかく、この本は560ページもあるのに、彼が映画俳優として大成功をおさめて祝杯をあげた…という話は、一応出てくるが「サラッ」と流されるように描かれ、目立たない。
やっと成功して安定したと思ったら、有名人になった彼が成金のようにお金を使いまくり、偉そうに振舞って、大事な人(恋人だったテレサ・テンを含め)を傷つけたり…。それに対する反省と後悔の描写も、また長い。

世界的なスーパースターの自伝にもかかわらず、成功の話より、無名時代の下積み、苦労や失敗、戒めの話の方が圧倒的に印象に残る。

「現状維持は嫌だ。過去の成功によりかかって、『昔の自分は良かった』と振り返るだけの生き方は嫌だ。他の誰でもない、僕は僕になりたい」
…この気合が全編を通して貫かれる。ここに成功者の鍵がある気がする。
偉大なアクション俳優の自伝であり、ビジネス自己啓発書としても読める一冊だった。私の宝物😃

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