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多様性を分類する

以前、ジーンクエストの高橋祥子さんの本『生命科学的思考』に書かれていた多様性の定義を紹介した時、多様性には二通りあることに気がついた。

一つ目は、生物多様性。

これは、ダーウィンをはじめとした考え方で、現存生物が優れていたからここにいるのではなく、偶然にもその時その時に適応していた、することができた種が生き残ってきたということ。生命は個体に優劣の指向性があるように感じられる。けれど今は役に立つことがないように見える個体、役に立たないどころか害を与える個体が、また別の環境要因では活躍する可能性がある。そのため、できるだけ多くの未知数の個体が存在した方が、未来の環境に向けて、生命の生き残る確率が高い。

対して、高橋祥子さんのいう多様性は、

著書が『生命科学的思考』という本のタイトルなので、さきにあげた生物多様性と同じだと錯覚しがちだけれど、実のところ、大きく違う。
ここで言われている事業する上での多様性には、企業利益という明確な目的がある。

事業を行う上で、同じ指向性や目的に準ずる人間を是とし、それぞれの個性や能力を組み合わせ、多様さを活かしてゆく。つまり、指向性が違ったり、目的から離れた考えを持つ個体はその集団には、選ばれない。また、指向性が同じであっても、「目的に準ずる」ためには、今の時点で多少なりとも目的に叶う「役に立つ」ことが必要である。

指向性や目的が基準だ。

高橋さんは、その理由をたとえて、子どもに危害を加えるような指向性をもった存在を集団に加えることを、”多様性”とはいわない。と挙げている。

しかし私は、この例は、適当ではないかもしれない、と思う。

それは、その集団の存在を脅かすものが排除されることは、誰もが認める当然のことで、それはなにも企業のルールとしなくても、すでに除外されるべき条件でもあるからだ。

本来の意味で、目的や指向性をもたないことは、人間には難しい。

そうしていま、書いている中で、もう一つの多様性があることに気づいた。

それは、SDGsやESGなど、LGBTQを含む、個々の企業の事業利益だけを目的とするわけではない、人類全体の可能性を高めるための多様性だ。
この多様性における包括関係を図にしたときは、生物多様性と事業の可能性を高めるための多様性と重なるが、それぞれ少しずれる。

まとめると、
生物多様性>人類間の多様性>事業とその利益の可能性を高める多様性
というような分類と、包括の関係性を見ることができる。

先ほどあげた子どもに危害を与える人物の排除は、その集団の存在を脅かすものが排除されること。つまり、事業の可能性を高めるための多様性のお話のテーブル上の問題ではなく、すでに人類間の多様性内で、排除されているはずの例だ。

それぞれは、同じ多様性という言葉を扱うが、目的が異なる。
そのため、区別した上で話を聞かないと、分からなくなる。

宇宙を目指すような事業を興すイーロン・マスクやAmazonのジェフ・ベソスなど、世の中を席巻するプラットフォームを作る人々は時々、一般的には理解できない発言をして、ニュースになる時がある。

発言の全てがそうとは限らないけれど、彼らは、地球上での生活をもとにした人類の多様性に加えて、宇宙で生活する人類のための可能性も考慮した行動と発言をするからではないかと思う。








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