部屋の片付け【本の整理】その3

前回の続き、今回は美術関連書籍の買取業者選定です。

ブックオフやリコマースなどのサービスでは、古い本ほど価値が下がります。だけど今回売ろうと思った美術関連の書籍(美術展の図録/画集/写真集/評論など)は、古いけど結構貴重だと思う本が結構あったので、新しさだけで査定されるのではなく、本の価値をわかってくれそうなところに買い取って欲しい。

そこで、色々調べた結果、神保町で老舗の古本屋さん、小宮山書店へ依頼することにしました。

ホームページTOPから「買取・査定フォーム」に入り、ダンボールで荷造りをする必要のない「出張買取」を選択。
フォームに本の内容やおおよその分量を入力し送信し、返事を待つ。
後日、買取日程のすり合わせでお店のスタッフさんと何度かメールでやり取りし、自宅まで買取に来てもらいました。

買取を依頼した本は60冊程度。事前に玄関に本をまとめて置いておき、その場で査定してもらいました。結果、合計の買取価格は¥32,000。
予想よりも遥かに高い価格がついたので、ちょっとびっくり!

理由を伺ったところ、日本の有名な某写真家のフォトエッセイ集と、布張りハードカバーの装丁が美しい某骨董美術の季刊誌に、高値をつけて下さったそうです。
特にフォトエッセイ集は、小宮山書店が力をいれて買取・販売を行っている写真家のものだったため、20年以上前の本でも良い値がつきました。

小宮山書店に依頼したきっかけは、昔、神保町の古本屋街をぶらつくのが好きで、小宮山書店も古本屋めぐりで立ち寄っていたお店だったからです。
こちらで買い取ってもらってよかった。
今回、買い取ってもらった写真集や美術書は、好きだけどもう今の自分には必要無くなったから手放しても良いかな、と思った本。
私の手元からはなくなるけど、どこかの誰かに大事にしてもらえるに違いないと思う。

そして、なぜ美術書が溜まっていったのか。
私は美大に行っていないのですが、20歳から絵を描き始め、短大卒業後、就職せずにいきなりフリーでイラストレーターをしていました。
仕事では趣味・実用書の挿絵や説明図、広告に掲載するイラスト等を描いていたので、普段から参考として料理本やライフスタイル関連のインテリア集などをよく見ていました。

でも次第に自分の作品の傾向を変えたい、と模索しだして、自分には合わない画材に手を出したり、色んな展覧会に行って図録を買ったり、写真集や画集などを買い込んだりするうちに、いつの間にか部屋を圧迫するほどに増えていったのです。

どのジャンルでも溜まっていく本が象徴するのは、自分の気の迷いや、こうなりたいという憧れの象徴だった気がします。外国語が話せるようになりたいと思って、語学書をいっぱい買っても実際は身につかなかったり、仕事で迷って、ビジネス書を何冊も買い込んだのに、結局自分は何も変わっていなかったり。

今回残った美術本は本当に好きな作家の本、自分が絵を描き始めた頃に模写をするために買った本や、現在習っている書道や中国の水墨画、日本美術の本など。

特に作品を模写をした、戦後のグラフィックデザイナーの先駆けである大橋正さんは、ご自身でイラストも手掛けており、昔、神田の古本屋さんで買ったこちらの本はお気に入り。
キッコーマンの広告などに掲載された、野菜のイラストレーション集です。様々な野菜の特徴を、大橋さんの目を通した造形で描かれています。水彩絵の具を丁寧に塗り重ねたきめ細やかな絵は、どことなく可愛らしいホッとする形です。


写真家のシーラ・メッツナーとサラ・ムーンは20年以上前、ニューヨーク旅行の際に訪問した書店で店員さんに薦められてから好きになった作家。


現在、書道教室で、中国の始皇帝の時代に書かれた「泰山刻石」の臨書をしているのですが、書道はおばあちゃんになってもできる趣味なので、書の関連書籍はずっと手元に残ると思っています。


中国の山水画が好きで、特に宋時代の「范寛」という画家の山水画を見に、数年前、台湾の故宮博物院まで行き、今は中国人の先生に水墨画を教わっているので、こちらも一生の趣味になりそう。

今回、本の数はかなり減ったので、これからは安易に購入せずに、本当に欲しい本かよく熟考してから買おうと決めました。

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