2024東京六大学野球春季リーグ戦 前半戦終了折り返しのレビュー

2024年の東京六大学野球春季リーグ戦。4/29で第3週が終了し、これで6チーム全てが2カードを終えたことになる。各チームともあと3カード。折り返し地点、とは本来いえないが、毎週4チームが試合消化していくリーグ戦では、各週の終了時点で消化カード数が全チーム同じには揃わないので、唯一揃う第3週終了時点を折り返し地点として各チームのデータを比較してみる。

チーム打率
1位 明治(既対戦チーム:東大、早稲田) .339 5試合183打数62安打2本塁打43得点9盗塁16犠打27四死球28三振5失策

チーム打率はダントツだが、東大1回戦で21-2と大勝したのが効いており、割り引いて評価する必要がある。小島.438、直井.409、加藤・木本.389と好調で新4番横山も.300 5打点と結果を出している。注目の宗山は.174 4打点と、怪我の影響は分からないが結果が出ていない。レフトは瀬と、早稲田戦から復帰の飯森の競走で瀬.500、飯森.462と互角。三塁も友納.250と光弘.222と互角の競争。

2位 早稲田(立教、明治) .258 6試合198打数51安打1本塁打23得点7盗塁13犠打25四死球29三振2失策

勝ち点2を挙げ慶應とともに首位。尾瀬が.458で打率トップで打線をまさに牽引する。印出.318、山縣.286。吉納の打率が上がらなかったが明治3回戦で3安打し.263まで上げてきた。課題は5番以降。前田が.200、梅村.176ともう一息。8番石郷岡は.235と繋ぎ役の役目を果たしている。二塁・三塁が流動的で二塁は梅村に中村が.222。三塁は田村が.071と結果を出せず、小澤が明治戦を終えて.333と好調でスタメン定着も見えてきたか。

3位 東大(慶應、明治) .240 4試合129打数31安打2本塁打15得点4盗塁3犠打24四死球33三振8失策

東大がチーム打率3位と例年の貧打のイメージを覆す強打線ぶり。特に明治2回戦で4安打5打点と大爆発した大原が.455で個人打率2位と大健闘。青貝.357、府川.300と下位打線の2人が好調。中山.250、榎本.231、山口真.214と上位打線の3人もまずまずの成績だが主軸の内田.200、鈴木太.143が課題。やはり主軸で返すパターンを確立したい。このほか、藤田主将.286、堀部.250と規定打席未満の2人も結果を残しておりオーダー編成にもバリエーションをもたらしている。ただし4試合で8失策は多すぎる。ショート青貝が2、サード内田3で,特に内田の送球難は深刻で明治2回戦ではスタメンから外れたが今後どうオーダーを組むか。

4位 法政(立教、早稲田) .237 6試合198打数47安打3本塁打17得点8盗塁9犠打26四死球28三振5失策

松下が1番で.364 5打点。3番中津が.333 5盗塁と好調でチャンスメイク。松下はポイントゲッターの役目も果たしているが、全体的に近年の課題通りにつながりに欠ける。5番吉安主将も.250 3打点とまずまずの働きをしているが、4番武川・7番田所・8番鈴木照がいずれも.200。2番藤森も.150と不振だが慶應3回戦で2安打し上昇気流に乗れるか。外野の一角を姫木と内海を併用し姫木は.357と好調だが打点0。走者を返す打撃に期待したい。内海は.111と持ち前のパワーを生かせていない。

5位 慶應(東大、法政) .229 5試合175打数40安打3本塁打22得点5盗塁4犠打28四死球40三振4失策

2カードで勝ち点2を挙げ、現時点で早稲田と並び首位。4番清原が注目されるが、.190 2打点と目立った数字は残せていないが存在感の大きさを結果に結びつけていけるか。3番水鳥が.333で打線を引っ張る。2番の本間主将が.105と不振。1番は開幕カードは水鳥だったが法政戦はルーキー丸田を起用し.286。水鳥が3番に入り打線が機能してきた。常松が5番か6番で.286。下位打線は古野、斎藤快、真田、林を使い分けているが要所で活躍を見せており、各々の数字は高くないが数字以上に得点力がある打線になっている。ただし今後は各打者の数字がどこまで上がってくるか今のままでは厳しいだろう。

6位 立教(早稲田、法政) .177 6試合175打数31安打0本塁打8得点3盗塁8犠打13四死球37三振1失策

6番菅谷.294、1番田中・4番丸山が.238と結果を残しているが、7番桑垣が.167。また2番に入った斎藤大が.071、鬼頭.000と上下位で打線の切れ目が出来て繋がりがでていない。3番柴田が.174と期待に応えられていないのも痛い。本塁打0と長打力も不足。失策1の堅い守備で勝機を見出したい。オーダーは基本的に固定しており、2番は斎藤大と鬼頭、5番は西川、山形、鈴木唯を起用しているが、法政1回戦で2安打した山形以外はいずれも当たりが出ていない。他校と比べて打線の弱さが際立ってしまっている。


続いてチーム防御率
1位 法政 1.62 6試合3勝3敗 56回1/3 37安打3本塁打19四死球49奪三振12失点10自責点

篠木1.33、吉鶴1.88と二本柱が期待通りの成績。しかし打線の援護が今ひとつで慶應戦は勝ち点ならず。リリーフでは安達が5試合登板し9回1/3で防御率1.93と好投し去年の塙のような鉄腕ぶりを見せている。永野・山口・宇山もショートイニングを抑えておりコマ数も揃ってきて今後のカードは投手力で勝ちを挙げていきたい。

2位 早稲田 2.29 6試合4勝2敗 55回41安打0本塁打17四死球36奪三振 失点・自責点とも14

新エース伊藤樹が防御率1.69。明治3回戦では延長11回を完封と圧巻のピッチング。2回戦先発の宮城は2試合先発して防御率4.50。制球のいい左腕で大崩れしないが、打線の援護にも恵まれずで2敗。今季はリリーフに絶対の自信を持っており香西と新人安田はともに3試合登板し防御率0.00。安田は早くも2勝と強運にも恵まれている。ルーキー高橋に越井、鹿田も今後出番がありそう。

3位 慶應 2.44 5試合4勝1敗 48回43安打2本塁打22四死球20奪三振16失点13自責点

エース外丸が防御率1.57と今季も好投。2回戦先発は確立されておらず悩みどころだが渡辺和か竹内を調子を見ながら起用か。広池・木暮・小川のリリーフ陣はいずれも3試合登板しており沖村も2試合。早稲田のリリーフ陣も今季は充実しているが慶應も終盤の継投の妙に注目。

4位 立教 2.82 6試合 51回41安打2本塁打22四死球31奪三振17失点16自責点

小畠が防御率1.71。法政1回戦で完封勝利を挙げ新エース襲名といっていいだろう。2回戦先発は大越で初登板の早稲田2回戦で早くも初勝利。2試合先発し防御率0.90と非常に安定しているが投球イニングはいずれも5回。イニングを伸ばせるか注目。リリーフは沖が先発も兼ねながら4試合登板。2敗で防御率3.60と苦労しているが内容は悪くなく、不調だった昨年からは挽回してきている。左腕小林誠に塩野目が継投しクローザー吉野に繋ぐ勝ちパターンに持ち込みたい。

5位 明治 3.26 5試合3勝2敗 47回45安打2本塁打31四死球39奪三振22失点17自責点

これまでのリリーフ専門から、先発に転向し期待された浅利が3試合11回で防御率4.09と苦労している。特に四死球13と制球力が安定しない。先発した2試合は不安定だったが、早稲田3回戦はリリーフ登板し敗戦投手にはなったが、本来の浅利らしい投球が戻ってきた。今後の起用をどうするか注目。のべ10投手の起用はリーグダントツの多さ。千葉は5.79、菱川は20.25と結果を出せていない。早稲田2回戦で先発し7回無失点でリーグ戦初勝利を挙げた高須に今後の先発の軸になってほしいところ。リリーフは他に松本直、山田、毛利がまずまずの投球を見せている。


6位 東大 9.79 4試合0勝4敗 34回55安打2本塁打32四死球20奪三振47失点37自責点

打線の成績は他校に遜色ない数字を挙げているが、投手成績は燦々たる結果に。規定投球回到達者も0。エースと目された平田と2回戦先発の鈴木太がともに試合を作れずリリーフに負担がかかり、特に平田は2度の先発も序盤KOと大誤算。平田17.05、鈴木太13.50と先発投手の防御率がこれでは試合にならない。リリーフでは渡辺3試合2.45、中村3試合3.00、前田2試合3.60とこの辺は健闘しているが佐伯は7.20と苦しい投球。さらに双木は20.25、吉田81.00とこの2人は明治1回戦でリリーフ登板し大炎上してしまったが、今後も登板機会はあるはず。全ての投手にいえることだが、どこまで臆せずストライクを取っていけるか。ボール先行の慎重な投球のままでは今後も同じことが繰り返されそう。

(総合)
勝ち点2で首位の早稲田は投打に好結果が出ている。投手は伊藤樹がエースといって相応しい安定した投球。リリーフも香西・安田など充実。打線もトップ尾瀬が4割超えと絶好調。上位は強力で結果も出ているが下位打線が課題か。投打のバランスは早稲田が一番と見る。
同じく勝ち点2で首位の慶應。というより勝率ではまだ1敗の慶應が首位。投手はエース外丸が今季も期待どおりの安定感を見せているが、2回戦先発は確率しておらず今後の起用に注目。リリーフは法政3回戦で9回途中からの3イニング超のロングリリーフを無失点で抑えサヨナラ勝ちを呼び込んだ木暮を中心に広池・沖村・小川といるが安定感はまだまだ。堀井監督がどう使い分けていくかに注目。
明治は近年勝ち点を挙げ続けていた早稲田戦を落としたのが痛い。春季は絶望視されていた宗山主将が出場間に合ってチームの奮起に繋がると思われたが早稲田戦では結果が出ず。去年の3本柱が抜けた投手陣の立て直しと宗山自身の打撃復調が大きな鍵となりそう。
法政も、近年相性の悪い慶應戦で勝ち点取れず。ここを取れるとこのまま波に乗れそうだったが。投手力は前評判通りの力を見せているだけになんといっても打線が鍵。
立教はこの4校との実力差は大きいと言わざるを得ない。特に打線の非力さ。投手力と守備はヒケを取っていないだけに、打算が繋がるかどうか。
東大は例年になく打線は力があり他校も油断禁物。しかし投手と守備は大きく劣る。投手の踏ん張りが勝利にはやはり不可欠。

この記事が参加している募集

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?