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ヤフオクで買った昭和6年の『週刊朝日』の小村雪岱挿絵に目がキラキラ👀✨ 足で弓を引く女性の運命が気になる!

過日、三井記念美術館で見た小村雪岱。日比谷図書文化館でも企画展が開かれています。出かけてみると、また異なる味わいがありました。さらにつあおは、ヤフオクで雪岱の挿絵の入った雑誌を見つけ、そして…。

つあお 今日は小村雪岱の続編(前回の記事はこちら)です。どれだけ思い入れがあるんだ! って感じですね😁 いや、あるんですよ。ということで、日比谷図書文化館の「複製芸術家 小村雪岱」展は、楽しかったですね。

まいこ 前回出かけた三井記念美術館の「小村雪岱スタイル」展では、小説に描いた挿絵が評判で新聞の発行部数を増やすほど人気を博したという情報もありましたが、今日はその威力を新聞の実物の展示で直に感じることができました! 来てよかったです。

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つあお 日比谷のほうはまず、すごく図書館らしい展示だなと思った。挿絵が載った書籍や新聞などの媒体がたくさんありましたね。

まいこ 三井では絵の多くがいわゆる美術作品として展示されていて、肉筆画などもあり、画家としての雪岱の力量がよくわかりました。日比谷では雪岱の絵が実際にどんな風に新聞や雑誌に掲載されていたか、当時の一般の人々が、消費財的な媒体の中で当たり前のように目にしていたのと同じ形態で雪岱作品に出会うことができました。タイムスリップしたみたいでした!

つあお 三井は監修が美術史家の山下裕二さん、日比谷の監修は装幀家の真田幸治さん。それぞれのスタンスが現れていて面白いですね。日比谷のほうで特にすごいなと思ったのは、挿絵が載った新聞そのものがいっぱい見られたことです。雑誌や書籍は古書店で探せば時々見つかりそうだけど、新聞って多分ほとんどは捨てられちゃうから、刷り部数が多くても見つけるのは意外と難しいんじゃないかと思うんですよ。

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まいこ いつの時代でも、新聞は読み終わったら捨てられちゃうイメージですよね。でも雪岱にはきっと熱狂的なファンがいたり、お弟子さんとか友人とかきれいにクリッピングしてる方がいたりしたのかも。

つあお きっとそうですね。もとは小説の挿絵ですから、小説家や小説自体のファンが切り抜いてまとめて取っておいたりということもあったのかもしれません。

まいこ 自分にとって大切なものを取っておくマニアの存在って、時が経ると価値が出てくる。マニアって重要ですね!

つあお それでね、自分でも小村雪岱の挿絵の実物がほしいなと思ってYahoo!オークションを探していたら、新聞は見つからなかったんだけど雑誌はあったんですよ! しかも、最低入札価格は1700円! 送料別😁

まいこ それはすごい! 現代でも市場に出回ってるなんて! 入札トライしたんですか?

つあお モチのロンです。とりあえず最低価格で入札したら、そのまま落札できました! パンパカパーン! 送料込みで大体2000円位。

まいこ びっくりー! 美術館とか図書館で展示されていたので、もっとすごく高いのかと思ってました。

つあお 価格には保存状態も関係するので、今回の物についてはあまり高くはできなかったのでしょう。それでね、物が送られて来てさらにびっくりしたのは、その雑誌というのが昭和6年(1931年)発行の『週刊朝日』だったんです。画面で見ていたときは、何の雑誌にとか、いつのものだとかがよくわかってませんでした。ぼーっとしてたんだなぁ(それはいつものことか😁) 昭和6年といえば、たわくしの母が生まれた年です。しみじみしちゃうなぁ。

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つあおがネットオークションで落札した『週刊朝日』の表紙。昭和6年刊。大きさがわかるように、たわくしが勤務先大学のゼミで発行しているA4版の雑誌『Whooops!』、そして市販のカッターナイフと比べてみた。当時の『週刊朝日』は、現在の同誌と比べるとずいぶん大判だったことがわかる。表紙(注:これは小村雪岱の絵ではなく、女優入江たか子の写真をトランプ風にあしらったデザイン)もシャレている! あゝモダン。

まいこ へぇ。『週刊朝日』ってそんなに昔からあったんですね! そういえば日比谷の展示にもそのくらい古い『サンデー毎日』とかあったなぁ。今のようにカラー写真がひしめいてるのではなく、雪岱のような画家の絵が描いてあることとかを考えると、美術品みたいだなと思いますね。

つあお 当時はおそらく今よりも挿絵がいわゆる出版物の「仕掛け」として重宝されていたのではないですかね。この『週刊朝日』を自分の手でめくってみて、雪岱が人気の挿絵画家だったことがさらにわかったのは、この1冊の中の2つの小説で挿絵を担当していたということなんです。

まいこ 一つの雑誌で二つも担当するなんて、すごい人気! 日比谷の展示で思ったんですけれども、文字や広告の中に作品があると、より一層絵が引き立つようなデザインになってましたね。

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小村雪岱は、『週刊朝日』のこの号で、巻頭の長編小説、金子洋文『浪人と阿片』と、巻末の吉川英治の連載小説『かんかん蟲は唄ふ』の挿絵を担当していた。当時の週刊誌における小説の存在感の大きさがわかるという意味でも興味深い。

つあお 思いのほか、挿絵が大きいなと感じました。この時代の新聞や雑誌の小説は、ひょっとすると絵本のスタンスに近いのかなとも思いましたよ。

まいこ 確かに、文章と絵が同じくらい重要な感じがしました! 大人の絵本?!

挿絵小説小村雪岱風

雪岱の時代の新聞小説のイメージ
小村雪岱の時代の新聞の連載小説は本文2段取りにした上で挿絵をかなり大きく載せているなどしており、挿絵はとにかく強い存在感を放っていたのです。だいたいこんな感じで載っていたという当時の新聞小説(空想版)を、Gyoemon(=つあおの雅号)が再現してみました。

つあお まさにそう。挿絵を先に見て小説を読む人も結構いたんじゃないかと思うんですよ。ということで、この『週刊朝日』の中で気になる雪岱の挿絵が『浪人と阿片』(金子洋文の小説)の中に一つあるんです。これ、どうでしょう? この女性、足で弓を引いて矢を射ようとしているんです。

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まいこ 器用というか何というか。一見きれいな浮世絵風の美女なのに、よく見るとめっちゃワイルドですね。

つあお そうなんですよ。雪岱はどちらかというとオシャレなイメージだったんだけれども、こういう芸風もあったのかと。

まいこ 表現の幅が広いんですね。読者を惹きつけるために、まずこの場面を選んだっていうところに興味が湧きます。

つあお そして、矢を放たれた先にいる男性はいったいどうなったのか? どうしても気になりますよね。

まいこ ものすごく気になる!!! だいたいなんでこんな風に女性が矢を射ることになったのかも謎だし、すごい至近距離でめちゃめちゃ気づかれそうだし、絶対文章を読みたくなります。

つあお 挿絵の本領がここぞとばかりに発揮されている!

まいこ 調べたら、このストーリーは映画にもなってるみたいです。取り急ぎ、私は映画で見てみようかな。

つあお をを、それは見なければ。この場面も映ってるかな。

まいこ 彼女は当時の女版スパイとかスナイパーとかだったんですかね。足でいろいろこなせることで巷でも知られていた人物なのかも?

つあお 雪岱の表現の豊かさに、心を射られました!

まいこ 同じくです。三井で見たときは真面目なアーティストというイメージが強かったんですが、すごく柔軟性が高い作家だったんですね!

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【今日のスペシャル】

つあおの手元に『小村雪岱画譜』(1956年刊)があったので、紹介をば。挿絵を集めた画集ですが、めくるのが楽しくて仕方ありません。

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日比谷図書文化館 特別展
複製芸術家 小村雪岱 ~装幀と挿絵に見る二つの精華~
2021年1月22日~3月23日、日比谷図書文化館






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