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テニプラさんのマガジン【抜粋】

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最初のアドバイス

六極図 このアドバイスは、私が選手と一緒に頑張る約束をした時に 「最初に送るプレゼント」 です。君はこれから間違いなく上達しますが、自分のイメージ通りに進むとは限りません。時には 「何ヶ月も停滞しているような気分」 になることもあるでしょう。そんな時、精神的に視界がとても狭くなり、 「正しいフォームに余計な手を加えてしまったり、プレイスタイルを無闇にいじってしまったり。」 そこまでいかなくとも迷いが出て、 「本当にこのままで良いのか?」 「自分には何か足りない

両手バックハンド概論(リライト版)

両手バックハンド概論 今回は、両手バックハンドについて解説します。両手バックハンドは、テニスのプレースタイルにおいて重要な技術であり、その進化とともに選手たちの戦術も大きく変わってきました。この記事では、その歴史的背景や技術の進化を紐解き、現在のテニスでどのように活用されているかを探ります。 両手バックハンドの進化 1. 右手主体、左手補助の両手バックハンド 初期の両手バックハンドは、右手が主体で、左手が補助的な役割を果たしていました。このスタイルは、当時のラケットや選

男子と女子のテニス観の違い

 テニスにおいて、男子と女子のプレースタイルや戦術には明確な違いがあります。その違いの一つに「カウンター能力」が挙げられますが、これが戦術的な違いを生み出し、さらにフィジカル、メンタル、そしてプレースタイル全体に影響を及ぼしています。 カウンター能力の違い 男子のテニスでは、選手同士のカウンター能力が非常に高いため、攻撃を仕掛けるタイミングが極めて重要です。無防備に攻め込むと、相手のリターンによって即座に反撃されてしまう可能性が高いのです。これにより、男子の試合では慎重な

テニスプレーヤーのランニングの本当の目的(リライト版)

テニスプレーヤーの多くがランニングを取り入れていますが、「毎日10キロ以上走っている」という選手は意外と少ないかもしれません。では、なぜ彼らはランニングを行うのでしょうか?その答えは、単なる「体力強化」ではなく、もっと多様な効果を期待してのことです。ここでは、ランニングがテニスプレーヤーにどのようなメリットをもたらすのか、3つの重要な視点から見ていきます。 コーディネーションの向上 ランニングは心拍数を上げ、血流を促進することで、身体全体の調整をサポートします。これは、試

テニススクールの選び方上級編(リライト版)

上級クラスを選ぶ際には、気をつけるべきポイントがいくつかあります。多くのテニススクールで問題になっているのが、上級クラスの「レベル差」。これは、上級クラスに在籍するプレーヤーの多くが、そのスクールで育ったわけではなく、外部から移ってきた人たちが大半を占めているからです。これが、上級クラスを管理する難しさにつながっています。 問題点:レベル差が大きい 上級クラスはその性質上、レベル差が最も大きくなります。たとえば、現役時代にトップレベルで活躍していたプレーヤーや、週末に楽し

意識の使い方(リライト版)

とある学者が言いました。 「意識は0.5秒遅れてやってくる」と。今回は、意思決定について話しましょう。 音波が鼓膜に届いてから動くまで、0.1秒かかります。光が網膜に届いてから動くまで、0.2秒から0.3秒かかります。単純な反応だけでもこれだけの時間がかかるのです。そして、これが「高度な判断」になると、0.5秒以上かかることもあります。 時速200キロのサーブは、バウンドなどで減速しなければ、0.43秒で到達します。 つまり、 「ボールが来てから判断したら遅い」 とい

テニスと周辺視野

中心視と周辺視のそれぞれの特徴と役割、その使用について 自分が周辺視野に触れた最初のきっかけは、宮本武蔵の『五輪書』にある「遠山の目付け」でした。これは、相手の剣や顔を凝視するのではなく、「相手の後ろにある山を見るような目線で構える」というものです。 しばらくして、野球で周辺視野システムという考え方がメジャーリーグから導入され、それを知った時に「遠山の目付けと同じだ」と共通点を見つけ、研究を始めました。中心視とは何か?周辺視とは何か?それぞれの機能と特徴、自然界での実例を

道具を大切にしよう(マテリアルの意味改訂版)

君は、なぜラケットがその形になったのか、考えたことがありますか? シューズの裏のパターンがなぜその模様になっているのか、不思議に思ったことはありますか? 物(マテリアル)が意味(機能)を持ってそこに存在している以上、それは「作り手の意志」が反映されている証です。「こう使ってほしい」「この機能を提供したい」という製作者の思いが形となり、道具に宿っています。 ラケットが進化してきた目的はただ一つ、「テニスボールを相手のコートに打ち返すこと」。そのために素材、重さ、形状、バランス

素振りの意味(型の意味改訂版)

型、つまりフォームについて、君はどんなイメージを持っていますか? 教科書に載っている基本的な形、それとも間違いのない正解といったイメージでしょうか? 多くの人がそう感じるかもしれませんが、実はそれだけではないんです。私は型をこう考えています。 「感覚を形にするための器」 例えば、ボールをラケットで打ったときに感じる感覚――「打った感覚」。これは、プレイヤーにとって非常に大切なものです。この感覚を何度でも再現し続けるためには、それを保持する器が必要です。感覚という液体を形に

チャンスボール打ち(改訂版)

みんな大好きチャンスボール! みんな大っ嫌いチャンスボール! 今回はチャンスボール打ちについて書いていきますよ。 まず、チャンスボールの区分け: • オープンコートができていて甘いボール、普通のボール• オープンコートができていなくて、甘いボール、普通のボール• 予測できた甘いボール• 予測できなかった甘いボール(これはチャンスボールではない)• 余裕を持って入れた甘いボール• 余裕がなかった甘いボール(これもチャンスボールではない) 結局のところ、 「仕込みがあった

第1章:出会いと最初の一歩

10歳のテニス少年コート君は、コーチのテニプラから「六極図」という特別なアドバイスを受ける。六極図を使い、自分の成長を見える化しながらテニスに取り組むことで、コート君は試合での課題や自分の強みを理解し、着実に成長していく。 初夏の爽やかな朝、テニスコートの隅で一人の少年が一生懸命にボールを打ち返していた。少年の名前はコート。彼は10歳になったばかりで、テニスが大好きな男の子だった。その日、コート君はいつもより少しだけ早く練習場に来ていた。朝の涼しい風が、彼の顔に優しく触れ、

中心視と周辺視のそれぞれの特徴と役割、その使用について(改訂版)

自分が周辺視野に触れた最初のきっかけは、宮本武蔵の「五輪書」にある「遠山の目付け」でした。相手の剣や顔を凝視するのではなく、「相手の後ろにある山を見るような目線で構える。」というものです。 しばらくして、野球で周辺視野システムなるものがメジャーから輸入され、それを読んだ時に「遠山の目付けじゃん。」と共通点を見つけ、研究し始めました。 中心視とは何か?周辺視とは何か?それぞれの機能と特徴、自然界での実例などをベースに研究を重ねました。中心視は高度な情報を高解像度で処理するた

基本の対価(改訂版)

皆さんは、 「腰を落として」 「打点を前にして」 「ボールよりも先に打点の後ろに入る(行く)」 というアドバイスをされたことがあると思います。私もこの3点は、基本中の基本だと思っていますし、世界中のコーチが毎日のようにどこかでアドバイスしています。 さて、この3点ができると「何が起こる」のでしょう? 「正しいフォームで打てる?」 「強いボールが打てる?」 「ボールがコントロールできる?」 少し違います。 「ボールとコートと対戦相手が見えるようになる。」のです。 目のピントが

型の意味(改訂版)

型…フォームに君はどんなイメージを持っていますか?教科書、それとも基本。もしくは、正解といった間違いのないもの。そんなイメージを持っているのではないでしょうか?それも型の在り方として認識されている一面ですが、私はこう考えています。 「感覚の入れ物」と。例えば、ボールをラケットで打てば、「打った感覚」が必ず残ります。真ん中でボールを捉えた感覚はとても素晴らしいものです。その感覚に • 再現性…いつでも出来る • 連続性…何度でも出来る を持たせるために容器が必要になります