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最初のアドバイス

六極図

このアドバイスは、私が選手と一緒に頑張る約束をした時に

「最初に送るプレゼント」

です。君はこれから間違いなく上達しますが、自分のイメージ通りに進むとは限りません。時には

「何ヶ月も停滞しているような気分」

になることもあるでしょう。そんな時、精神的に視界がとても狭くなり、

「正しいフォームに余計な手を加えてしまったり、プレイスタイルを無闇にいじってしまったり。」

そこまでいかなくとも迷いが出て、

「本当にこのままで良いのか?」
「自分には何か足りないのか?」
といったことをぐるぐる考える日が続くかもしれません。そんな時、

「今の道が正しい」

と分かるものが必要です。

紙とペンを用意してください。そこに三角形を二つ重ねて、六芒星を書きます。その角に上から時計回りに「メンタル」「マテリアル」「フィール」「フォーム」「タクティクス」「フィジカル」と書いてください。書けましたか?それをぐるっと円で囲みます。それが上達を見えるようにした

「六極図」

です。

メンタル、フィール、タクティクスの目に見えない三角形と、マテリアル、フォーム、フィジカルの目に見える三角形のグループに分かれています。そして、三角形が重なり、円をもって循環します。例えば、テニスをしたいなと思ってコートに出かけます。そこで、ラケットやボールを使ってプレーするわけですが、ボールを打った感覚が当然ありますよね。ラケットの真ん中に当たった気持ちいい感覚を何度も味わうために一定の動作を繰り返します。ある程度、動作が固まってくると、狙った場所に飛ばせるようになりますよね。そうなると相手のいないところを狙ったり、弱点をついたりします。そのレベルになると相手も同じことをしてくるので、当然走る距離も長くなります。走り込みやトレーニングをして備えましょう。この段階で、ただ打つのが楽しいテニスから競技テニスへと考え方がシフトしていきます。

はい、一周回りました。

メンタル→マテリアル→フィール→フォーム→タクティクス→フィジカル→メンタル

とぐるぐる回って君は成長していきます。テニスは、これさえできれば勝てるという競技ではないので、

「広い視野で、高い視座で。」

自分を見つめる必要があります。当然、私もその助力はしますが、

「テニスは試合中アドバイスのもらえないスポーツ。」

です。まるで将棋やチェス、オセロのような知的競技のようです。もし、試合中、調子が悪くなった時、

「フォームばかり気にする」

とどうなるでしょう?もしかしたら、ストリングスがへたっているだけかもしれませんよ?こんな考え方があることを学んでください。

そうですね、一つ六極図を書いてみてください。そして、

•	メンタル:目標
•	マテリアル:ラケット、シューズ、ストリングス
•	フィール:得意な感覚
•	フォーム:注意点
•	タクティクス:プレイスタイル
•	フィジカル:身長、体重

を簡単に書き込んでみましょう。どうですか?これだけでも少し整頓されて、今、どんな状況なのか、これからどの方向に頑張れば良いのかが見えてきませんか?

私には君の歩く道ははっきりと見えていますが、目隠しした選手の手を引いて歩くつもりはありません。君の目で自分の道をしっかり見定めて歩いてください。これが私から君に送る最初のアドバイスです。

解説
現在、選手を取り巻く環境は、「情報過多」にあります。はっきり言って、教えたがりおじさんなんて比較にならない有害なものもテキスト形式どころか、「動画」で溢れ返っています。もし、選手がその取捨選択を適切に行えるのなら、きっと何の問題もなく成長していくのでしょうけれど、それはいい大人でも大変難しいことです。有害で影響力のある毒のような情報は、「視野を狭め、視座を低くします」。まるで、フォームの問題さえ解決すれば「試合に勝てる」といったような間違った期待を抱かせます。当然、そんなことはありませんから、「現実とのギャップ」に耐え切れずテニスを嫌いになってしまう。それはとても残念なことです。

そこで、六極図を使い情報を整理して、自分にとって必要な情報なのかどうかを一度眺める癖をつけて欲しいのです。自ら勉強する姿勢は大変好ましいものです。その中で、「戦略、戦術面の情報が少ない」などに気がついて欲しいと思いますが、なかなか厳しいと思います。しかし、六極図を使えば、「書けるボリュームに自然と偏りが出る」ので、テニスに対する姿勢を正すことができます。

使い方は多岐に渡りますが、選手が自分で書いた六極図とコーチが外側から見た六極図を見比べるのもまた、一興です。是非、これから選手と共に歩む道が長く辛いものだったとしても、「はっきりと光が差している方へ」進んでください。その一助になれば幸いです。

テニプラ

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