む・・難しく難解。 ~ 舞台 『A Number─数』『What If If Only─もしも もしせめて』 ~
「笑の大学」を観劇して以来、すっかり大好きな俳優の瀬戸康史さん。
内野聖陽さんとの二人舞台はとにかく最高で、大笑いしながら最後は大号泣で観客席で悪目立ちしてしまいました。
その瀬戸康史さんと堤真一さんが共演と聞いたら、チケット争奪戦に参戦せねばなりません。
無事にチケットをゲットして、世田谷パブリックシアターへ出掛けました。
ここからネタバレを含む感想となります。
上演期間は終わっているので、このままお読み頂けましたら幸いです!
舞台は2本のお話となっています。
1本目は『What If If Only─もしも もしせめて』。
大切なパートナーを失くしてしまい失意の中にいる男性こと大東駿介さん。
座っているテーブルの向かいには誰もいませんが、ずっと「パートナー」へ向けてクヨクヨ、クドクドと「会いたい」と語り続けています。
あの時ああしておけば・・
ああしておいたら、こうはならなかったかも・・
いや、やっぱりやっておけば・・・
「一目だけでも・・・」
クドクドしている男性の前に、赤いワンピースを着た白髪ロングヘアーのファンキーな熟女となった「パートナー?」こと浅野和之さんが唐突に表れて、「じゃあ、やっておこうよ」と起きなかった未来を「やるよう」に煽ります。
ちょっと希望を感じさせてくれた熟女パートナーがパっと消えたと思ったら、ブラックスーツに身を包んだ紳士の浅野和之さんが現れて、「(色々考えていても)いまが現在」とクールに言い放ちます。
さらにそこへ子どもの自分?が現れて好き勝手を始めます。
部屋の中を右往左往しては、お菓子を食い散らかして。
舞台上では大東さん達のいる部屋を覆うように大きな箱が降りて来ては、赤ちゃんの時の大東さん?から、少年期、青年期の様子が映し出されて行きます。
浅野さんは大東さんを失意の底から新しい一歩を踏み出す、これからの道を少しでも照らしてくれるアチラ側の人の設定と思われます。
子どもの自分?は、無邪気に過ごせていた頃の回想かと。
誰にでも失意に沈むことがあるけれど、生まれてからいまに至るに、色々なことを乗り越えてこられたから、これからも・・といったエールなのかな?っと思いました。
人の人生がギュっと凝縮され、また「これから」展開していくであろう30分の濃縮舞台でした。
そして、2本目の『A Number─数』
真面目な息子の瀬戸康史さんと、父親の堤真一さんが部屋で話合っています。瀬戸さんが自分以外の「自分」がいる、どういうことか?と堤さんに迫っています。
確かに真面目な瀬戸さん以外の「息子」がいるが、一番愛しているのは真面目な瀬戸さんだと言い訳する堤さん。
場面が変わって不良風の瀬戸さんが堤さんに「真面目な自分」に会った、どういうことだと詰め寄ります。
実は・・と事情を説明する堤さん。
「息子」は子どもの頃に母親(妻)と不慮の事故で亡くなっており、そんな事実は納得いかずにクローンの息子を病院で作って貰った。
ひとりだけ作って貰うはずが、ふたり作られていた、これは自分にとっても寝耳に水だ!!と、自分の浅はかな考えを棚に上げてプリプリしている堤さん。
「真面目な息子」の瀬戸さんだけ愛して、思い通りに育たなかった自分はほったらかしにしやがって!「真面目な息子」なんか殺してやる!!と憤る不良風の瀬戸さん。
まあまあまあ・・と堤さんは宥めますが、後日、不良風の瀬戸さんは有言実行してしまったうえに自分自身も殺めてしまいます。
さらに日が経ち、「結婚し子どももいる幸せな家庭を持つ息子」の瀬戸さんがいることを知り、堤さんは会いに行きます。
「真面目な息子」と「不良風の息子」の「自分」の存在を認識していたけど、自身はそのことについて特にこれといった思いは無いと語り、堤さんとの会話も先の二人のように侃々諤々となることもなく、イマイチ噛み合いません。
堤さんが「もう一度やり直そう」と思って病院に“依頼したこと”は、実は亡くなった二人を含めた三人どころか総勢二十人も「息子」のいる事態となっており、これから堤さんは彼らとどう向き合って行くのか??
今の医学ではクローン人間は禁じ手となっていますが、確か科学的に「作成」は出来る段階にあり、実際に中国では「ゲノム編集された人間」を作り出したり、ブタの臓器を人間に移植したなどのニュースを読んだことがあります。
出生前診断も選ぶという意味では「自然」では無いように思ったりします。
人の仕事がAIに奪われるかもしれないということも話題になっていますが、科学や医学の進歩が人間の限界というか本来の限界点を超越してしまいコントロールが効かない世界が展開しつつある気もします。
未来を夢見たり、希望を感じることは生きる上でとても大切です。
それは過去と現在があり、実際にあった出来事に思いを馳せつつ、これからを大切に過ごしていくぞ!!と思うことに繋がるんじゃないかと思います。
今回の舞台はかなり自分にとって特異なセリフ回しや展開が多く、とても難解でした。
作・演出がイギリスの方というところで、海外の方とあまり触れ合う機会の無い自分にとっては、深く理解出来ない部分が多かったのかなぁっと。
演者さんの演技はとても自然に感じたので、もったいない観方をしてしまったようで悔しいところです。。
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