【短編小説】 いまは、ちょっと。
カチカチ、カチカチ・・・
「あ、終わったのかな」
シャープペンシルの芯がノックしても出なくなった。
ちょっぴり出ている芯を掴んで引っこ抜く。
カチカチカチ
芯が出て来ない。
シャカシャカシャカ・・
芯は数本入っている。
詰まっているのかな?
シャープペンシルの穴を覗いてみる。
小さな音?が聞こえる。
「・・・あ~あ」
「あはは、おつかれさまぁ、がんばれぇ」
甘ったるい話し方の女の子の声が聞こえた。
カチカチ、カッ
シャープペンシルの先からシュルルルっと茶髪のセミロング、ピンクのキャミソール、超ミニスカートにピンヒール、真っ赤な口紅でバチバチのアイメイクの女の子が這い出て来た。
「いらっしゃいませぇ☆ 何色になさいますぅ?」
しなを作りながら聞かれた。
「え・・? いや、あの、なにこれ?」
「ボトル、入ってますぅ?」
「いや、あの、黒い芯・・・」
女の子は小さく舌打ちをして、シャープペンシルの穴に戻って行った。
おおお??
急いでシャープペンシルをノックしまくった。
カチカチカチカチカチ・・・
芯が出て来た。
ほっとした。
「何だ、今の・・??」
混乱しつつも黒板の数式をノートへ書き写そうとしたら、ニルニルニルっとした書き心地。
なにごと??
甘い香りがする・・。
ポッキーだ。
直ぐにチョコの部分は終わってしまって、クッキーになってしまった。
もう、ノートは粉まみれ。
なんだよ、これ!!
イライラしてポッキーの芯を引っこ抜いてクチに入れた。
食ってやろうと。
「んごっ!!」
吐き出したものはシャープペンシルの芯だった。
シャープペンシルの穴からは賑やかな女の子達の笑い声が聞こえた。
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