【読書】 急な描写に焦ります。 ~ 姫君を喰う話 ―宇能鴻一郎傑作短編集― ~
前回の傑作短編集を読みまして、これはもうひとつの短編集も読まねば!!と静かな思いを秘めておりました。
本屋さんへ立ち寄った時に発見して、素早く購入。
表紙の「姫君」の何とも言えない表情にぐっとくるものがあります。
こちらは宇能さんが芥川賞を受賞した「鯨神」も収録されている6篇。
短編集のタイトルにもある「姫君を喰う話」は、雑多なモツ焼き屋でたまたま隣に座っていた男に“聞き手”となる男が話し掛けたところから話が始まります。
このモツ焼き屋のモツの描写がたまらなく、いまの猛烈な暑さも相まって「生ビールいっちょ!!」と誰にともなく注文したくなりました。
モツ焼き食べたいわぁ・・と思っている内に、隣に座っていた男の問わず語りが始まります。
読み終わる頃にはモツ焼きねぇ。。とアンニュイな気持ちになりました(笑)
続く「鯨神」は捕鯨に命を懸ける村と、そこに生きる男女の物語。
巨大な鯨を神と崇めつつ、仕留めることでその男が村の中でのし上がれる習わし。
その巨大な鯨に父親を殺され、大黒柱を亡くした厳しい家庭環境に育つ男が主人公。
巨大鯨との戦いのシーンが凄まじく、人が束になったとて無力で全然対峙出来ないものだと思い知らされます。
男は最大のチャンスを物にしますが、それ以上の対価を支払うことになり、そして初めて鯨神と本当の意味で向かい合います。
他に魅力溢るる4篇。
意外と胸のすく話、そりゃねぇだろう!な話、おいおいおいおい!!な話、因縁を感じる不思議な話。
特に「ズロース挽歌」、満員電車で周りの方の目に触れそうなタイミングでの読書は危険です!!(笑)
単なるエロ話ではない、読み応え充分な短編集です!
だいぶ前に頂いたもの、今週いただいものをシレっと。
お読み頂いた皆さま、有難う御座いました♪