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「人事は公平でなければならない」という思い込みがイノベーションの阻害要因

昨今『戦略人事』というワードを見聞きすることが増えた気がします

「え?『企業は人なり』って言うんだから そもそも人事って戦略的なものじゃないの? なんで今さら?」

なんとなく『戦略人事』というワードだけが 先走っている感は否めませんが?

『戦略人事』のオレ流解釈


ダイバーシティ経営の目的は?

私はズバリ

ダイバーシティは イノベーションのためにやる

と理解しています


変化のスピードが早く 不確実な時代において 企業が生き残っていくために必要なことは?

「イノベーションによる新たな価値創造」

このことに異論を唱える人は少ないと思います


『戦略人事』⇒「戦略と人事の融合」⇒『イノベーションに適した人事』

と考えても 間違いではないと思っています



マイルス・デイヴィス流『戦略人事』


マイルス・デイヴィス・カルテットに トニー・ウィリアムス(ドラマー)が加入した時は 17歳でした

マイルス・デイヴィスは 彼の才能に惚れこんで ジャズクラブでも法律をかいくぐるべく知恵を絞ります

① トニー・ウイリアムスが演奏している間だけアルコールの販売を止める② ファーストセットだけ別のドラマーにたたかせ その間にお酒を売り、セカンドからは トニーにたたかせて お酒の販売をストップする

もちろん 今の時代では『アウト!』ですかな?(笑)

またマイルス・デイヴィスは、幼さが残るトニー・ウイリアムスに口ひげをはやさせました


マイルス・デイヴィス曰く

「オレはこのたいしたチビを聴いただけで、久しぶりにたまらなく興奮してきたのがわかった。トランペッターというのは、すばらしいドラマーと演奏するのが大好きだが、オレは奴を聴いた途端、その場で、こいつはドラマーの中でも飛び切りのミュージシャンになると確信した。」



ジョン・コルトレーンは 地方(ノースカロライナ)からニューヨークに出てきた当初は 『ヘタクソな芋テナー』 と揶揄されていました

その後 コルトレーンは マイルス・デイヴィス・カルテットのメンバーに抜擢されるますが 評論家や観客から

「あのヘタクソなテナーを辞めさせろ」

と酷評の嵐でした


しかし マイルスは絶対に替えません

1955年のマラソン・セッション4部作(Cookin' Relaxin' Workin' Steamin')のテナーは ジョン・コルトレーン です


ところが マイルスは コルトレーンを 一旦クビにします

それで コルトレーンは ほんの数ヶ月だけ(1957年)にセロニアス・モンクのカルテットに参加することになります

この経験によって コルトレーンは 専売特許『シーツ・オブ・サウンド(敷きつめた音)=16分音符を基調として 高速でフレーズを構成して吹きまくる奏法』のヒントを掴んだと言われています



そして マイルスは コルトレーンを呼び戻して『カインド・オブ・ブルー』という名盤が生まれました

マイルスは 音と音の『間』が大切なモード奏法と コルトレーンの『シーツ・オブ・サウンド(敷きつめた音)』とのコントラストが 『全体最適』になると考えていたんでしょう



本質において一致 行動において自由 すべてにおいて信頼


In essentials unity, in action freedom, and in all things trust 


『essentials(本質)』=『ミッション』の全員一致が大前提で

そして お互いの信頼関係を築けていれば 

細かなルールやマニュアルがなくとも 自由に行動することが許される


これが「理想の経営の状態」を表すフレーズ

本質において一致 行動において自由 すべてにおいて信頼


私はこのフレーズを スターバックスコーヒージャパンの元岩田松雄CEO著書で知りましたが 古くからあるキリスト教の教えです

このフレーズは ドラッガーの本にも書かれていますが 『本質の一致』に関して 『非営利組織の経営』で次のように指摘しています

最初から全員一致ではダメ うわべを決めただけでは 問題の本質に辿り着かない
信頼が生まれるには、あらゆる反対意見が公にされ、真摯な不同意として
受け止められなければならない


”うわべ”でなく 「反対意見は真摯なる不同意」として受け入れられて 組織のメンバー全員 『ミッション』 が腹落ちするまで語り合うことが 最も重要だと


リーダーの役割は

ミッションを浸透させ メンバーを信頼し 責任を持たせ、自由に判断し行動することを許すこと


楠瀬啓介さんが この投稿で指摘されている

いま現在の前提条件を皮膚感覚として把握しているのは、マネジャーではなく若手社員たちである可能性が極めて高い

同感です!


ジャズにも基本ルールはある


ジャズコンボは

『essentials(本質)』=『ミッション』=『曲の全体最適』

という 本質の一致 はメンバー全員に浸透しています

(本質が一致していなければ ボロボロの演奏になります)


即興演奏といっても最低限のルールはあります

● 曲は「テーマ」と「コード進行」が決まっている
● 曲の「コード進行」は繰り返される
● 曲の流れは「テーマ」→「アドリブソロ」→「テーマ」
● 「アドリブソロ」では「コード進行」に合わせてアドリブで演奏する

ジャズにも譜面は存在していますが「テーマ(メロディ)」と「コード」だけで構成されたシンプルなものです 


ソロ・パートでは 各メンバーに 『権限移譲』『自由裁量』 


アート・ブレイキー 曰く

私は無秩序が嫌いなんだ 自由は好きだけど。 秩序がなければ 困難でしかない。だから私たちはアレンジに重きを置いた。そしてスーツを着て身なりをきちんとしてお客様に対して十分配慮したんだ。



人事は公平でなければならない?


従来通りの 新卒一括採用・終身雇用の考え方に基づいた採用方式では 

どうやったって「自社では通用する人材」と思える 同じような人しか 組織に取り込まないでしょう


ダイバーシティが進めば 当然 採用方式だって変わっていかなければなりません


ジャズコンボ型組織・・・即興演奏・・・破壊的イノベーション向き

オーケストラ型組織・・・譜面通り・・・持続的イノベーション向き


この2つの組織は そもそもの発想の原点が違いますので マネジメント方法が異なって当然です


同一企業内で 『知の探索』組織と『知の深化』組織の両方を行う『両利き経営』を目指すのならば


今の時代「公平な人事」などありえない 

 「役職は役割で 偉さではない」

という認識の文化を醸成する必要があり

  『個性を評価する 評価できる 人事』


これが必須条件と 私は考えます



現実的な落しどころ


NORIKO MURAKAMIさんの投稿の一部を拝借しますが

何を守り、何をやめ、そして何をするのか リーダーの決断が、転機を生み出します

このフレーズに尽きると思います


現実的な方法として考えられるのは?

長期展望下での メイン事業とは別の 

『個性を認める』採用方式・人事評価制度の スピンアウト組織を作る

● このスピンアウト組織で 様々なトライアルを行っていく

● イノベーション創造のプロセスも含めての成功事例を作る


こんなところでは?


この動画は 必見です!

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