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大和選手抹消理由に感じるメンタルの問題への社会認識

今シーズン特に代打での不調が目立ったベイスターズ大和選手が登録抹消。

その抹消理由が「精神面の鍛錬を含む」と発表された事で憶測も含めて様々なことが言われています。

大和選手の実際のメンタルの状態は分かりません。
それは大前提になりますので、あくまでプロスポーツにおけるメンタル不調とはどういう事かという広い意味でのお話をします。

私は自分自身も鬱によるメンタルケアを受けた経験がありますので、その経験も踏まえた上でこの件に感じる事について書きたいと思います。

まず、ベイスターズには進藤メンタルコーチがいるわけですが、メンタルコーチがいながら何故不調者が出るのかという疑問を持たれる方もいると思います。

スポーツメンタルコーチと、メンタルケアというのはよく知らないと同じようなものと考えてしまうかもしれませんが、実は正反対と言っても良いくらい違うものです。

進藤コーチのようなスポーツメンタルのスペシャリストは、競技者に対してモチベーションの上げ方やリラックスの仕方などメンタル面から競技のパフォーマンス向上を補佐する役目。

メンタル面からのアプローチでプラスを生み出す仕事です。

一方で、精神的な不調や不安、躁鬱状態などをカウンセリング等の手法によって回復を図るのがメンタルケアです。

こちらはメンタル面からのアプローチで、マイナス状態を通常の状態に戻す仕事です。

なので、選手がモチベーションを上げたいとか試合で力まないようにしたいとか考えた時には進藤コーチの出番となります。

ですが、例えば誹謗中傷を受けて精神的に酷く疲労しているなどの状態は基本的に進藤コーチの守備範囲ではありません。

また、メンタル不調に陥った人を「メンタルが弱い」と評価する風潮が社会的にありますが、それは全く違います。

メンタルが不調に陥るかどうかというのは、その原因の大半を「環境」が占めます。

不調に陥りにくくするような考え方の技術もありますが、それにも限度はあります。

もし周りに「あいつはメンタルが弱い(もしくは強い)」と評価している人がいるとしたら、それは基本的にその人が適切な環境に置かれているかの違いでしかありません。

メンタル不調に陥る要因の一つには「孤立感」あるいは「孤独感」があります。

人間は社会的な生き物ですから、「この場所にいる事を誰にも求められていないのでは」と感じると、大きな不安やストレスに襲われます。

学校や会社などでもそうです。

これを解消するために必要なのは、「あなたはこの場所に必要だ」と実際に感じてもらうか、本人がそう感じることの出来る場所に移動するかです。

昨今、プロ野球選手だけでなく様々な著名人に対する誹謗中傷が問題になっています。

こういう時にこそファンが「あなたはこの場所に必要な存在だ」と伝え続けることが大切です。

野球ファンであれば、成績の出ない選手やチームに不満が溜まることもあるでしょう。

ただそれは誰かに直接ぶつけるのではなく、自分で処理するべき自分の課題です。

テレビの前で一人で文句を言う事を誰も咎めはしません。(家族に不満は言われるかもしれませんが)

しかし、ファンが選手のパフォーマンスを落とすような事をするのは何も良い事に繋がりません。

ハッキリ言ってメンタルは鍛えれば強くなるというのも迷信です。

鍛錬してメンタルコントロールの技術を身につければ負担は減らせますが、根本的にメンタルそのものが強くなっているわけではない。

と言うより、そもそもメンタル不調を患うような人の方が、日常から様々な事を考えてメンタルを疲労させています。

大して何も考えず、それこそ安易に相手の悪口を言ってストレスを発散してしまおうとするような人よりも遥かに、メンタル不調に陥る人の方がメンタルは耐久性があると思います。

プロ野球選手などの著名人だけではなく、私たちのような一般人にもメンタルというのは非常に関連性が高いことです。

にも関わらず、多くの人の認識が誤っていたり、不十分だったりする分野でもあります。

これを機に一人でも多くの人に、メンタルについての認識を深めていただけたらと思います。

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