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介護におけるICTとは?どんな効果がある?
高齢化により、人手不足が深刻な介護の現場では、ICTの活用により、業務負担の軽減や生産性向上を進める動きが広まっています。
ところで、ICTとはそもそも何なのでしょうか。そして、介護の現場にICTを導入すると、何ができて、どんな効果が期待できるのでしょうか。
今回はICTとは何か、介護の現場にICTをどのように活用できるのか、そして、導入したときに考えられる効果についてご紹介します。
介護におけるICTとは?
ICT(Information and Communication Technology)とは、インターネット等の通信を使ってデジタル化された情報をやりとりするコミュニケーション手段、もしくはそのために提供される技術サービスのことです。
人が人を直接ケアする仕事が多い高齢者介護では、利用者や利用者家族、スタッフ間、介護施設全体とその関係各所との間でさまざまな情報伝達やコミュニケーションが必要になります。
介護におけるICTとは、必要な情報をデジタル化することで業務を円滑にする一つの手段です。近年ではいろいろなICTサービスが生まれており、介護の現場はこれからより一層ICT化が進むと考えられています。
なぜ介護のICT化が必要なの?
その理由は、超高齢社会の日本で起きている人材不足という課題が根底にあります。
内閣府が発表した「令和3年版高齢社会白書」によると、高齢者(65歳以上)が総人口に対して占める割合は28.8%と国民の約3.5人に1人が65歳以上になります。一般的に、全人口に占める高齢者の割合が21%を超えると「超高齢社会」と呼びますが、現在の日本はすでに「超高齢社会」の段階に突入しており、今後ますます高齢化は加速していくと見られています。
一方で介護人材においては、2025年度末には約243万人の需要が見込まれており、こうした状況を受け、介護現場における業務効率化や介護人材の確保、介護サービスの品質向上等を目的として、厚生労働省など政府・行政も積極的にICT化を進めています。
ICT化できる介護業務の例
ICTによりさまざまな介護業務の人的負担が軽減できると考えられます。
例えば以下のような業務にはICTが活用できます。
介護記録のデジタル報告
利用者の介護記録やケアプラン、アセスメントシートなどの作成は、これまで手書きの紙で保存され、利用者の介護状況の把握や介護保険請求などに利用されてきました。捺印・コピー・郵送等の手間がかかり、事務作業が煩雑になる上、後々に書類を見返したくても、見つからず苦労しがちです。介護記録の記入や書類仕事に時間をとられて利用者ケアの時間が充分に取れないなどの問題点も出ていました。介護記録をデジタル報告に置き換えることで、書類作成の時間が削減でき、さらに必要なときにはいつでも簡単に見返すことができるICTの活用は、スタッフ間の情報共有に大きく役立つと考えられます。
情報のリアルタイム共有
利用者の身体介助や生活援助を行う介護のシーンでもICT化が可能です。介護スタッフがスマートフォンやタブレットなどを持ちながら介護業務にあたることで、利用者の健康状態などを他のスタッフにリアルタイムで共有でき、素早く対処ができます。情報伝達のスピードロスをなくし、介護を行う上でのトラブルも未然に防げる可能性があります。
センサーによる見守り
介護現場で働く介護スタッフは、利用者の様子を確認しながら他の作業をおこなっています。数多い利用者の離床や在室状況を管理するのは、介護スタッフにとって負担の大きい業務の一つです。利用者の居室に見守りセンサーを設置することで、万が一の事態が発生しても、すぐ発見対処できる策もICTの一環です。施設玄関、エレベーター等が予期せず開閉した場合にアラートが鳴る仕組みにすれば、利用者の徘徊防止等にも役立ちます。また、見守りセンサーの設置による遠隔監視は、在宅介護をする家族にも活用できます。排せつ予測システム
利用者の排せつ介助においては、排せつのタイミングは人によって異なり、排せつのタイミングを予想しても対応が遅れてしまうこともあります。排せつ予測ができるICTシステムを導入することで、排せつのタイミングが通知され、排せつケアに関する申し送り事項の引き継ぎ業務を効率化したりできます。
介護現場にICTを導入するメリットや期待できる効果
今度はICTの活用により、介護の現場にはどんなメリットや効果が生まれるかについてご紹介したいと思います。
スタッフの業務効率アップ
「賃金構造基本統計調査」統計によると、2019年時点で福祉施設介護職員として働いている方の平均年令は42.6歳です。(参考:政府統計ポータルサイトe-Stat|賃金構造基本統計調査)
現代の平均的な40代前半はパソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスにも慣れ親しんだ方が多く、手書きよりもキーボード入力・タップ入力の方が好まれる傾向にあります。事務作業のICT化では、スタッフの負担が軽減されるだけでなく、空いた時間で利用者とのコミュニケーションを図る機会が増やせるということは大きなメリットになります。
離職率の低下
介護スタッフが働きやすい職場環境であれば、退職する方も少なくなり、スタッフの離職者率低下が期待できます。ICT化によってスタッフ間のコミュニケーションが円滑になる利点も、人間関係によるスタッフの退職を防ぐ意味では効果的です。
ケア品質の向上
スタッフの入れ替えが少ない介護施設は、人員が安定しているためケア品質もおのずと向上します。利用者にとっても精神的な安定が図れるため、よりスムーズな身体介助等が行えるという好循環が期待できます。
まとめ
今回はICTを介護業務に採り入れる方法や期待できる効果などについてご紹介しました。ICTの導入は介護スタッフの働きやすさと介護サービスの向上、ひいては主役である要介護者の満足につながります。
トライトグループでは、介護現場のICT推進等に向けた新たな取り組みをスタートしています。
トライトとNTT東日本がICT化支援による介護事業所の生産性・サービス向上に向けた連携を開始
https://tryt-group.co.jp/archives/4757/
人材だけは解決できない、待ったなしの介護現場において、ICTをうまく活用することが、持続可能な介護サービスの提供に向けた糸口になると期待しています。
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