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【院試解説】令和2年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 高分子科学 (2)

こんにちは やまたくです。

本日は前回に引き続き

令和2年度 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 高分子科学 (2)

を解いていこうと思います。

問題自体は著作権の問題で載せることはできないので、大学のホームページからご覧になってください。

(2)はラジカル重合の開始剤に関する基礎的な内容の問題でしたね。

簡単すぎるのでいきなり答えにいこうと思います。①のA〜Eの解答は以下のようになります。

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(a)は過酸化ベンゾイル (BPO)、(b)はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)という典型的なラジカル開始剤です。いずれも、代表的な油溶性の開始剤なので、塊状重合、懸濁重合、溶液重合に使用されます。

②の問題は①ができていれば簡単でしたね。答えとしては下記のようなラジカル種が生成します。

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前回の(1)から今回の(2)まで比較的簡単な問題が続いたので追加でよく出題される問題にも触れておこうと思います。

<問題>一般にBPOとAIBNではどちらの方が開始剤効率が高いでしょう?化学反応式と合わせて答えなさい。

<答え>BPO

<理由>AIBNは再結合と不均化による二種類の失活様式が考えられるが、BPOの場合不均化は生じず、失活するのは脱炭酸後の再結合のみであるため。

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当たり前と言えば当たり前ですけどBPOが脱炭酸前に再結合したところで、開始剤に戻るだけなので開始剤効率が下がるわけではありません。またBPOの場合、水素の引き抜き反応が生じるような活性な水素が存在しないのでAIBNに比べBPOは高い開始剤効率を示します。

質問やコメントがあれば残していってもらえれば嬉しいです。

(この記事は100%合っていることを保証する解答ではないので間違いがあるかもしれません。もし間違い等があればコメントで教えて頂ければ幸いです)

ご愛読いただきありがとうございます