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テレワークがもたらした働き手の生活と価値観の変化とは

新型コロナウィルスの感染拡大が起こって以降、テレワークを導入する企業は増加し、現在では被雇用者のうち、テレワークの経験者は3割を超えています。
今回は、テレワーク=「情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」によって、働き手の生活にどのような変化が起こり、そして働き手の価値観は今どう変化しているのかについて、ご紹介します。

1.テレワークが生活にもたらした3つの変化とは

テレワークの中でも、特に働き手の生活に大きな変化をもたらしたのは在宅勤務の形態です。従来のオフィス出社型に比べて時間や場所の制約が減り、自由度が高くなりました。
働き方の自由度が生活に与えた変化を下記3つに分けてみます。

1-1. 仕事場と生活圏が近くなった

在宅勤務の場合、通勤時間が不要になり、稼働前後の時間を有効に活用できるようになりました。また、オフィスに出社する場合でも、時差出勤やフレックス制度の利用などにより、無理なく出社をすることができ、出勤に対してのストレスを減らすことが可能になりました。

緊急時(災害や子どもの体調不良など)の対応がしやすくなることで安心感が増しました。台風が迫る中、電車の運行状況に気を取られる必要がなくなりました。また、子どもの学校・保育園からの急な呼び出しがあったときに、仕事を大きく中断することなく対応することも、場合によっては可能になりました。

1-2. ワークライフバランスが変化した

在宅勤務の場合、自宅で過ごす時間が増えることによる家事・育児時間の増加が男女問わず起こっています。

夫婦での家事・育児の役割分担にも変化が起こっています。
政府がまとめた2022年版少子化社会対策白書によると、コロナの感染拡大前に比べ、夫のみ役割が増えたとの回答は、夫がテレワークをしている場合で36.8%、通常の働き方をしているケースで15.8%と2倍以上の開きがでています。
白書では、テレワーク普及で家庭内の分担を見直すきっかけになっている状況がうかがえるとしています。

1-3. 住む場所の自由度が高くなった

在宅勤務がメインの場合、自宅とオフィスの通勤距離の制約が薄まります。それにより自宅を選ぶ際に、より生活環境を重視したり、自身のライフスタイルに合った地域を探したりすることが可能になりました。
場合によっては地方移住や海外移住など、フルテレワークを活用した自宅選びも可能になりました。
内閣府の調査によると、地方移住に関心があると回答した人は回答者全体の37.2%、20代では45.2%でした。

 出典:第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)

配偶者の転勤で正社員のような中長期での働き方ができないことに悩む方がいます。
その他に育児や介護で生活と仕事の調整が難しいと感じる方もいます。
そのような場合でも、テレワークにより継続した就労や、新たな就労機会を得ることができるようになりました。
このことは、当事者本人のキャリア形成だけではなく、家族全体でのキャリアビジョンの選択や設計にも大きな影響を与えています。


2. テレワークを経験した働き手の価値観の変化とは

テレワークを経験した働き手は、生活に起きた変化とともに、働き方・ワークライフバランスに対する価値観にも影響がでています。

2-1. 働くうえで重視するものが明確になる

テレワーク下で生活に様々な変化を受けたことで、自身にとって快適な働き方・生き方は何かを問い直す機会になりました。

下のグラフでは、働くうえで重視するものの項目すべてでテレワーク経験者の数値が高くなっていることがわかります。
これは、テレワーク経験者が自身の価値観をしっかり認識したからこそといえるでしょう。

また、圧倒的な差として、「テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方ができること」が重視されている点も注目です。

 出典:第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)


2-2. 自律した業務遂行と働き方の選択

また、テレワークで身につけた仕事の姿勢からも、価値観の変化が起こっているといえます。

テレワークの働き方は、メンバーと直接顔を合わせることなく業務を行う特性上、1人ひとりの自律性が必要です。
テレワークと併用されることの多いフレックス制度の利用や自宅の仕事環境づくりなど、働き手側が仕事の進め方や取組み方を自ら最適化して成果をだしていく姿勢が求められます。

従来のような受身の仕事環境からの変化に戸惑いや難しさを感じることはありますが、それを乗り越えてテレワーク環境に順応してくると、働き手は“自分で選ぶ・決める”という自律した考え方へのフィット感が高まります。

このような価値観の変化は、自律したキャリア形成、多様性を内包した組織づくりなど、これからの組織の在り方に必要とされている方向性に整合のとれた流れであるともいえるでしょう。

2-3. 生活と仕事を統合するという考え方

自律した考え方と生活に起きた変化が合わさることで、ワークライフバランスの面でも価値観の変化が現れてきています。

従来の働き方では、仕事と生活の両立を促されても仕事に柔軟性がなければ生活を調整せざるを得ない、もしくは生活に重心を置きたい場合は仕事をセーブする必要があることが現実としてあったと思います。

しかしながら、テレワークはそこにパラダイムシフトを起こしました。

在宅勤務で物理的な仕事と生活の境界線が近くなることに加え、多様な働き方が認められることによって、仕事と生活を調整する(バランスをとる)のではなく統合するという考え方であるワークライフインテグレーションの考え方に近づいているといえます。
例えば、フレックスタイムやワーケーションはその考え方にフィットした制度であり、リモートワークと併用されることが多い制度になります。

ワークライフインテグレーションとは、仕事も生活(仕事以外の活動)も全て人生の一部であり、どちらもともに満たしながら人生を充実させることが可能だという考え方です。
テレワークをうまく使いこなしている働き手にとっては、この価値観の変化が仕事を選ぶ上でも取り組む上でも非常に大きな考え方や行動の変化に結びついてきていると感じます。

まとめ

テレワークを活用した働き方を経験することで起こる生活の変化とそれに伴う価値観の変化についてまとめました。

別の調査では、テレワーク経験者の約9割は継続した活用を希望するとの結果も出ており、テレワークの働き方で得たことが、その後の働き方の軸になっている様子が伺えます。

また、これからの人口減少に伴う企業の人材戦略や組織づくりにおいて目指す姿と、テレワーク環境によって起こる様々な変化の方向性はフィット感が高いであろうことも分かりました。

すなわち今後企業にとってテレワークは、次世代の組織づくりにおいても重要な制度の1つとして検討・活用する価値の高いものだといえますし、テレワークの導入有無が、優秀な人材の獲得や離職防止にも大きく影響してくるでしょう。

trustyyleではテレワーク導入及び活用の伴走をご支援しております。
ぜひお気軽にお問合せください。


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