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2022年イタリア語検定1級 1次試験の結果と勉強方法振り返り(作文編)

2年前の2020年、しっかりした復習もしないまま思いつきで10年ぶりに受けた伊検1級。結果はリスニング、筆記、作文の3パート全て基準点に満たず、平均点前後。基準点ギリギリの2010年より少し落ちたレベル。2021年は英語を使った別の活動に専念するため、イタリア語検定は受けられず。2022年は意識的にイタリア語時間を作って、自分に合ったやり方で少しずつ勉強し、10月に受検。
11/3にインターネット上で合格者番号と合格基準点が発表されました。
結果はまた不合格だったんですが、
リスニング 18/22点(基準点17、平均16.7)
筆記    22/38点(基準点24、平均21.1)
という結果(作文の結果は後日分かる予定)で、
・リスニングも筆記も平均点より上
・リスニングは基準点超えて81%の正答率
と、2年前の前回よりは進歩。

これまで、リスニング筆記(リーディング)の点が伸びた理由を振り返りました。

そして、11/25には作文の点数も含めた結果が返ってきました。
作文 20/20点 (基準点12、平均12.2)
なんと、作文は満点でした。びっくり。
今日は作文の点につながったと思う勉強方法について振り返ってみます



両実家遠方+週のほとんどはワンオペという条件と、仕事+3児の母(小学生2人+保育園児)+地域の子供会役員という役割があった今年は、勉強時間作りから考える必要がありました。書く時間の確保については、前回の記事に書いた通りです。その中で作文に活きた工夫を一つずつ挙げていきます。


手を使って紙に書く

これって当たり前かもしれませんが、前回受検時の2020年は、パソコン上で勉強していたんです。ワードやエクセルに本の文章をそのまま打ち込み、日本語訳や不明な単語の意味をコメントでつけるという方法。これは、イタリア語検定の前に受けた、TOEICスピーキング&ライティングの対策としてやっていたことを、そのままイタリア語にも応用したのです。なぜこの方法だったかというと、TOEICスピーキング&ライティング試験は、パソコンのキーボードで文章を打ち込み、マイクに向かって話して録音するというものだったからです。なので、TOEIC S&Wの対策としてタイピングに慣れておく必要がありました。しかし、紙に手書きするイタリア語検定1級には向いていませんでした。そこを、あまり深く考えてなかったんです。

イタリア語検定1級(確か2級も)は、紙の問題冊子を見ながら、筆記パートはマークシート方式、作文は手書きで文章を書いていく方式です。なので、当然、手に慣れさせる動きは、タイピングではなく鉛筆を持ってスラスラ文章を書いていく動作です。

今はアプリも沢山あって、鉛筆を使わなくても語学学習できる時代です。でも、イタリア語検定1,2級を受けるなら、手で書く時間も必要です。しかも、手で書いた方が脳科学的にも覚えやすいことが分かっているそうです。ネット上にあるイタリア語ネイティブがすすめる勉強方法の動画や記事でも、ノートに書くことが挙げられています。それなら、やるしかないですね。

筆記体で書く

高校生のころ、英語のノートを筆記体で書いていた友達がいて、ビックリした覚えがあります。
「大変でしょ?」と聞くと、
「一続きで書いた方がつづりも間違えないし、速く書けるからメリットの方が多いよ」と返ってきました。その時は、そこまでする熱意もなかったのでブロック体でずっと書いてきましたが、時間のない今の状況で考えれば、
・綴りを間違えにくい
・速く書ける
という2点は、とても魅力的。

しかも、筆記体の醸し出す品の良さには憧れもあります。この年になると日本語でも、大人っぽい品の良い美しい字を書きたいと思う事が増えてきました。せっかく一からやり直すなら、筆記体でも変わらないんじゃないかと思って、文法演習の回答も全て筆記体で書くようにしました。

英語と違うイタリア語の筆記体

筆記体で書くぞと思っても、中高生で全く筆記体を身に付けなかったので、何かお手本を見ないと何もできません。そこで、インターネットで調べると、まずは子ども向けの筆記体練習帳が出てきました。しかし、イタリア語の筆記体というフレーズがタイトルに入っている練習帳でさえ、Amazonで出てきた練習帳のレビューを見てみると、「これはイタリアの学校で習うものではない」と書かれていることが多かったんです。そこで私は、ブロック体では同じアルファベットでも、筆記体の書き方は言語によって異なることを知ります。イタリア語の筆記体を調べるため、ネットの検索もイタリア語でキーワードを入れます。

“scrivere in corsivo italiano “
(意味: イタリア語の筆記体で書く)

画像検索すると、お手本が出てきました。

YouTubeでも、イタリア語の筆記体を教えてくれるチャンネルが見つかりました。

↑こちらの動画では、Aから一つずつゆっくり解説しながら進んでいきます。ブロック体も隣にあるのが助かります。

これを、例えばノートの空いてるところに全てのアルファベットの筆記体を大文字と小文字でメモ用に書いておきます。初めはコレにすごく時間がかかりました。なんせ、見たことも書いたこともない文字です。新しい動きに私の右手はかなり苦戦しました。力んでしまって手も疲れたり。それでもなんとか「マイお手本」をノートに書きました。これで、何度も動画を見直す必要はなくなります。

次の問題は、一つ一つの文字をどう繋ぐか、と言う問題。これについては、次の筆記体変換サイトを活用して、コツがつかめるまでは1単語ずつ調べました。

https://fontmeme.com/it/font-corsivi/

例えばScrivere in corsivoというフレーズをGastonDemaというフォントで変換すると、下図のようになります。

↑筆記体変換後

これを何回か繰り返すとだんだん文字と文字の繋げ方が分かるようになります。ただ、どうしても機械的な性質上、線が繋がらない組み合わせも出てくる事があります。そんな時は、ブラウザで画像検索するとヒントが出てきます。

文法演習を筆記体で

前回の記事では、文法演習の本の問題をできるだけ解いたと書きました。その時も、全て筆記体で書いていたのです。
例えば、冠詞の問題で、「定冠詞を入れましょう」(mettiamo l’articolo determinativo) とあって、il, lo, l’, i, gli, la, le の中から選んで書く場合も、上記変換サイトで選択肢を変換しておいて、見ながら書いていきます。

↑定冠詞(i を入れ忘れました。。)

さらに、冠詞と名詞は組み合わせで覚えた方が良いので、問題には冠詞だけ書くようにとあっても、ノートには冠詞+名詞で書きます。めんどくさいようで、これが、後々の作文で活きてきます。例えば、bottigliaの定冠詞は何でしょう?

          ↓

          ↓
          
          ↓

はい、laですね。なので、筆記体だとこうなります。↓

↑la bottiglia

こういう感じでノートに書いていきます。上の図では、tの横棒(trattini)は離れていますが、私はつなげて一気に線を引いています。ちなみに、書きながら、発音もします。発音を確かめたい場合はインターネットでいくらでも単語ごとの音声が出てきます。正しい発音を確認して繰り返すことで、リスニングできるようになります。(bottiglia の発音は↓をクリックしてみて下さい。再生ボタンで音声が流れます)


文章も丸ごと書き写す

次に、文法演習で、「一つの文章の中に空欄があり、そこに入る単語を書く」と言う問題では、前項と同じ発想で、ノートにただ1単語を書くのではなく、文を全て書き写しました。
そうすることで、文全体の流れの中で、各文法事項の練習ができます。
私が使っていた問題集は、例文が豊富で、しかも基本的な単語を使っているので、書きながら単語の復習もできました。身近な単語だけどイタリア語では知らなかった、というのもいくつかあって、それはノートの余白に別途日本語の意味と併せて書いておきました。

この方法では、例えば冠詞演習のパートであっても、前置詞の使い方が確認できたり、似たような語順に繰り返し触れることで「こういう表現の時はこの語順」というのが頭に入るようになりました。

余談ですが、私が使っている本は面白い例文があって、書きながらクスクス笑ってしまうほど楽しく学習ができました。『大事な用があってもう30分遅れてるから、そろそろ行かないと』とか、「大事なのに30分遅れるんかいっ」と思わず突っ込みたくなるものとか、恋愛系では嫉妬あり(『なんでアイツと出かけるんだよ!』)、裏切りあり(『私は浮気なんてしてない!一度しか…』)で、情熱的な喜怒哀楽の感情が文面から伝わってきます。もちろん、真面目な例文が多いですよ。だからこそ、上記のようなのが際立って面白かったです。
ちなみに、使った本はこちら↓

↑写真は第12版とありますが、2020年購入時は第15版が届きました。


本の文章をそのまま書き写す

前項と同じことなんですが、文章の流れの中で身につくことがいろいろあります。演習問題は基本1文ですが、本はずーっと続いていきます。すると例えば、代名詞(i pronomi)がいろいろ出てきます。このlo、la、 neは何のことかなと考えて繋がりがわかるとマルをつけたり線を引いたり、動詞と結びつけたり、手を動かしながら視覚的に印象づけるために書き込みます。

私が試験前に書いたのは吉本ばななさんの「キッチン」の冒頭数ページ。いわゆる「精読」という方法で、ノートに2〜3行空けて書き、単語の意味や動詞の原型など、少しでも疑問に思ったり引っかかった所を調べてメモしていきます。全て3行空けるとノートのスペースももったいないので、1行書いて不明点がなければすぐ下の行に書いていきました。

試験直前の精読ノート

↑この頃になると、筆記体にもだいぶ慣れてきました。ところどころ怪しいところはありますが、ブロック体を書くのとそんなに変わらないスピードくらいにはなりました。

ネイティブに無料添削してもらう

コレまで書いた手書きの流れと異なるんですが、外国語学習者用のSNSであるHelloTalk も2022年から始めました。
これは、スマホにアプリを入れて使うのですが、これの良いところは語学を勉強する者同士が無料で添削し合えるところなんです!

何かを見て書くのではなく、自分の知ってる単語と文法事項を駆使して、オリジナルの文章をかくだけでもアウトプットとしては良いのですが、やはり添削が必要。間違いはちゃんと指摘してもらいたいです。

このアプリの中には本当にいい人が沢山いて、善意で添削して、解説してくれる人もいます。さらにアプリの特性として、イタリア語学習者の投稿はイタリア語ネイティブの画面に上がりやすくなっています。同じように、日本語学習中のイタリア人の投稿が、日本語ネイティブの私の画面に表示されるので、添削してもらうだけではなく、お返しのつもりで私も日本語を添削したり説明したりしています。

完全にオリジナルな作文を書くのは、本当に時間がかかります。単語一つから調べて、冠詞や形容詞、過去分詞の性数を確認して、時制を考えて。。。ってやってると、初めは2行の投稿に30分以上かかったりしてました。それでも自分では気づかないところで間違えるんですよね。それを添削してもらうことで自分が間違えやすいところが分かります。

今の私の生活パターンでは、定期的にスクールに通ったり、定期的に宿題のあるオンラインコースを受けるのはとても難しいので、できる時にできることをやれば良いこのアプリ活用が合っています。

もちろん、SNSなので、気をつけるべきこともあり、それは利用前にインターネット検索して、変な人に絡まれた体験談とか、トラブルに巻き込まれない方法や、変な人に絡まれないようにするプロフィールの書き方とか、いろいろ参考にさせてもらいました。

注意点さえ気をつければ、本当に便利だと思います。気になる人はHelloTalk をチェックしてみてください。


さまざまなテーマの動画を見ておく

イタリア語検定1級の作文の問題は、テーマが与えられ、それについて記述する問題です。2010年頃に受けた問題は記憶すらありませんが、2020年と2022年では次のような違いがありました。

2020年→日本(または世界)において直近話題になったテーマに関して現状を簡単にまとめて、良い点悪い点を述べる。

2022年→直近の話題というより、現代社会で何度か取り上げられることのあるテーマについて、自分の意見を述べる。

2020年の問題は、日本社会でも新しい単語が次々出てくるテーマだったので、それを表すイタリア語を知らずに苦労しました。しかも、まだ育児が忙しくてニュースなど時事問題を追いかける余裕もなかったので、知識不足から、語る内容が思い浮かばず、むりやり単語数を稼いだ感がありました。

この時の教訓はこの2つ。
・まず背景知識がないと、自分の意見すら持てない→意見がないと、書けない
・知識を得るだけではなく、常に物事を良い点、悪い点の両面で見る癖をつけたうえで、自分の意見をまとめておく必要がある

そこで、2022年は作文問題のテーマになりそうな時事問題や社会情勢などを扱うイタリア語の動画を見ることにしました。私が見ていたのは、YouTubeのこちらのチャンネル↓

Geopop (ジェオポップ)というチャンネルで、さまざまな話題を分かりやすく手短にまとめてくれています。上の動画は、今開催中のサッカーワールドカップに合わせたのかはわかりませんが、ゴールラインテクノロジー(スピードカメラとチップ入りボールを使ったサッカーのシステム)の概要と仕組みに関する動画です。

このチャンネルのよいところは、「説明するイタリア語」を学べるところです。作文では必ず冒頭部分に一般論などの説明文が必要だと思いますが、私の普段の学習方法では、なかなか説明する表現に出会わないので、とても勉強になりました。

このチャンネルで今年私が見た動画テーマは、日本の概要、氷河期、福島県水素発電施設、Russo-Ucraina戦争、マンハッタン計画(広島と長崎に投下された原爆に関する計画)、トンネル工事の仕組み、インターネット上のクッキーの危険性、国会への法律案提出方法、政党の作り方、森林火災、インターネットの歴史、コロンビアのジャングル、植毛、夏の車はエアコンと窓を開けるのとどちらがガソリンを節約できるか、などです。
このように、取り上げるテーマが幅広い上に、執筆時点で570本以上も動画があるので、どんな人も一つくらいは見たいテーマがあるのではないかと思います。

これで、それぞれのテーマのぼんやりとした全体像が何となくつかめます。内容が分からない場合は日本語で調べて学べるときもあります。とにかく、自分ではなかなか調べないテーマを提供してくれるところが私は気に入っています。

YouTubeの良い点は、コメント欄のイタリア語も勉強になる点です。炎上したコメント欄の言葉遣いは作文にはふさわしくないですが、このようなテクノロジーや自然、時事問題に関する客観的な動画の場合はコメント欄も落ち着いていることが多いので、参考になります。コメント内容も、投稿者の意見、リクエスト、賛辞など、さまざまですが、特に個人的な意見のコメントが参考になりました。

YouTubeには他にも沢山のチャンネルがありますが、上で紹介したチャンネルを他と比較して選んだわけではありません。気になるテーマを検索して、たまたま見つけたチャンネルが気に入って、試験対策にもなるので見ているだけですが、この偶然の出会いが好きなんです。リスニング音源も文法演習本も文法解説書も、内容も大切ですが、感覚的に好きなもの、惹かれるものを選んでいます。それが私にとって続けられる秘訣の一つです。

本番ではどうだったか

2022年の試験本番では、作文テーマが最新の時事問題ではなく馴染みのある内容だったことに加えて、個人的な意見を述べるだけで良かったので、2020年より書きやすい課題だったと思います。「あなたの意見を書きましょう」という内容の文章を見てホッとしたのを覚えています。

作文の構成としては、次のような流れで書きました。
・導入部分で一般的な内容を説明
・自分の意見を簡潔に書く
・自分の意見を掘り下げる
・自分の意見に関連する事象・問題を説明する
・問題に対する対策の良い点悪い点
・最後に自分の意見と提案でまとめる

冊子の下書きページに書いてから、解答用紙に清書しましたが、時間もないのであまり大きな変更はできません。なので、文法事項をチェックしながら、読める字を意識して書いていきました。

ずっと練習してきた筆記体のおかげで、書くスピードも若干早くなったのではと感じました。それでも、謎の緊張感から心臓がバクバク、呼吸しても酸素が薄く感じ、手には力が入り、手汗も出て、時々手も震える、かなり体力を要する作文パートでした。。。

作文の清書が終わって余った時間は10分程度。綴りの間違いをチェックし、文字崩れた単語を書き直す。筆記パートのマークミスがないかもチェックして、あっという間に試験終了となりました。

作文における反省点

いくら書きやすいテーマだったとはいえ、繰り返しの表現が多かったのは試験中に書きながら反省していました。イタリア語のニュースの記事やコラムなどでは、同じ物事・人物を指す場合にも単語を変えて表現することが多いそうです。
日本語では用語を統一する美意識がありますよね。それに対してイタリア語では同じ単語の繰り返しよりも、さまざまな単語・表現を使った文章が良い文章という価値観なのだそうです。その点では私の語彙力ではそんなに表現も広がらず、似たような表現を2回も3回も使ってしまいました。それ以外には思い浮かばず。。。

新しい表現を覚えるには、まずは1パターンだけ身につけて、それが反射的に出るようにするのは大切だと思います。でもその1パターンに慣れたら、引き出しを増やす努力も必要なのだと感じました。

また、イタリア語における作文の書き方を調べておいても良かったと思いました。何となく、英語の感覚で「結論(今回の試験の場合は自分の意見)を先に書く」ことは意識しましたが、全体の構成など、つらつら書いただけなので、不安でした。今後の学習の一環として取り組んでいきたいと思います。

来年へ向けて

2022年は、イタリア語検定の過去問は一度も解きませんでした。私の場合、2020年に過去問をいくつか解いており、さらに本番の試験も経験して、試験全体の構成や雰囲気、かかる時間の感覚がつかめていたので、それをさらに繰り返すよりは、基本の文法からやり直すべきだと考えたからです。

今回のイタリア語検定1級一次試験、私の合計得点は60点でした。そして、合計得点の基準点も60点でした。イタリア語検定は合計点だけでなく、パート毎の基準点もクリアする必要があります。私は筆記(リーディング)パートの基準に2点足りなかったので、来年はリーディング対策となる勉強により時間をかけつつ、リスニングと作文もより上を目指していきたいと思います。 

とはいえ、頑張ってばかりだと体も限界がきます。今月は一年の疲れも溜まってきていたので、意識的に睡眠をとり、お風呂やストレッチなど、リラックスの時間を持つようにしました。また、家族と一緒にお笑い番組名を見て笑ったり、体を動かしたり、一人で車を運転しながら大声で歌ったたり(笑)するのがストレス発散に効いてることを実感しました。人間やはりリフレッシュも大切ですね。

今後は、リラックスやリフレッシュの時間にも負荷のないイタリア語時間を取り入れてみたいと思います。

なかなか身近にイタリア語を勉強している人がいないので、これを読んでいるあなたがイタリア語を勉強中でしたら、お気軽にコメントいただけると嬉しいです。

それでは皆さま、ごきげんよう〜☆

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