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2023年イタリア語検定1級二次試験(面接)当日の様子

こんにちは。
これまでの記事で、2023年に受けたイタリア語検定1級について、パート毎の結果と私の学習方法についてお伝えしてきました。

パート毎の結果と学習方法はこちら↓

検定に関しては、学習方法だけでなく、試験の様子も気になる方もいると思います。
そこで、今日は私が受けた2023年の伊検1級二次試験(面接)当日の様子について、イメージトレーニングできるよう、できるだけ具体的にお伝えします。


試験にトラブルは付き物

今までいろいろな試験を受けてきましたが、試験のたびに小さなトラブルに遭ってきました。トラブル自体はマイナスに思えますが、その経験によって得た教訓が、今回の伊検に活きていたかもしれません。

例えば、
●社内TOEIC(LR)試験で、1日の仕事の後に2時間の試験は体力と集中力が持たず、辛かった
→(教訓)試験当日に向けて体調を整える。体力をつける。前日はよく寝る。
●社外のTOEIC (LR)試験。受検者数が多すぎで、1つの長テーブルに2名の配置。隣の人の貧乏ゆすりで机が揺れ、集中力を掻き乱される
→(教訓)心を無にする。貧乏ゆすりをする彼は、分からない問題でイライラしているのかもしれないと慈悲の心を持つ。
●社外のTOEIC (LR)試験。机の間隔が狭く、すぐ後ろの人の鼻が詰まってピーピーという呼吸音がずっと耳の後ろから聞こえて気になる
→(教訓)試験の日に鼻が詰まって、脳に大事な酸素が取り込みにくくて大変ですねと、寄り添う気持ちになる。同時に、自分は鼻通りが良くてラッキーだと、深い呼吸をして落ち着く。音がして気になる時は片耳を塞ぎながら問題を解く。
●某大学を会場とした簿記試験。「俺余裕」「まぁいけるっしょ」的な会話をする大学生達の「俺できる」オーラに押されて自信なくしそう
→(教訓)人は人、自分は自分と割り切る。自分にできることを淡々としようという気持ちを持つ。
(余談)ちなみに試験後、その大学生は「やっべぇ、全然分からんかった」「終わった」と蒼白な表情を浮かべていました。
●TOEIC S&W試験。用意されていたパソコンのキーボードが自分の苦手なタイプかつカバーがあってさらに打ちにく、専用ソフトゆえにショートカットキー(戻る、カット、コピー等)が使えなくて発狂しそう
→(教訓)落ち着いて一つ一つの入力を確実にする。与えられた環境でいかに実力を発揮できるか、という視点に切り替える
※試験後の要望としては伝えました。
●伊検1級(2022)一次試験前に復習していたカフェに消しゴムを忘れて会場に行ってしまい、直前に思いだして猛ダッシュで取りに行った。試験前に体力消耗。
→(教訓)カフェを立ち去る時に忘れ物がないか、何度もチェックする。時間に余裕を持っててよかったと、再確認。
●伊検1級(2023)一次試験前に復習していたカフェの飲み物か食べ物が合わなくてお腹がグルグル。そういう時に限って「トイレ清掃中」で使えない。慌てて周辺のトイレを探してウロウロ。
→(教訓)試験直前の食事では珍しいものに手を出さない。なるべくお腹に優しいものにする。事前にメニューもリサーチして、いいものがなければおにぎり持参。
●伊検1級(2020)一次試験。会場の壁が薄く、隣の部屋のリスニング問題と自分達のリスニング問題の音声が重なり、聞こえにくい。
→(教訓)実際の会話は雑音の中で相手の言葉を聞き取る方が多いので、試験の音源だけを聞くのではなく、雑音混じりのイタリア語を聞き慣れておく。
※試験後の要望としては伝えました。

このように、いろいろなプチトラブルに遭ってきました。数々の教訓をまとめると、

時間にも、体力にも、心にも、余裕を持つ

に集約されます。

それを踏まえて、今回の伊検1級二次試験を振り返ります。

会場までの移動

二次試験の会場は東京と大阪のみです。
私は地方在住で、会場までは新幹線で1時間の距離。幸い私の面接時刻は午後に設定されましたが、慣れない都会で迷ったり電車を間違える可能性もあったので、早めに着くよう出発しました。
切符は事前に買っておき、乗り換え情報もリサーチ済み。無事に最寄り駅まで集合時間の2時間前くらいに到着できました。

都会の駅は出口がいくつもありますよね。駅の中をあちこち歩いて階段を登ると、自分がどの方角を向いているのか分からなくなります。
一歩駅の外に出た私は、現在地を確認する前に、都会の風景に少し感動していました。

少しレトロな雰囲気の残るビルと紅葉した街路樹。シックな色合いのガードレールや階段に、おしゃれな人々が行き交う交差点。

この感覚、久しぶり!
時間に余裕もあるし、行きたい方へ歩きながら会場を下見に行こうと、落ち葉を踏む音に耳を澄ませ、12月の街並みを楽しみながら歩いていたら、なんか嫌な予感。

そこで初めて地図と周りの景色を見比べて知ったのは、私のいた場所は駅を挟んで試験会場とは真逆の方向だということ(!)

「あぶなーっ!散歩してる場合じゃないわ」と心の中で反省しながら来た道を戻り、面接会場へ行き、「イタリア語検定」と書かれた看板を確認。

その後は、事前にリサーチしていた駅ビルのおにぎり屋さんで昼食を取るべく、駅に戻ります。

試験前の食事

試験と食事って関係なさそうで関係あると思います。頭で考えるエネルギー源がなければ、頭も回らないですから。

私は産後に自分や子供、夫の不調を整えるような食べ物をいつも調べては食べてきたので、試験にも良いもの、悪いものがある程度頭に入っていました。

私は過去の経験から、不調になりやすい乳製品やパン類は試験日にはやめようと決めていました。(味は好きなんですけど、お腹がね)

また、脳へのエネルギーは血液によって運ばれるので、血流がスムーズな方がいいです。
そのため、血液がドロドロになりそうな脂っこいものやチョコレートも控えていました。
(過度な油はお肌にも良くないですしね。チョコレートは止まらなくなる魔力が怖い。笑)

血液サラサラになる梅干しを始め、野菜を忘れずに取るようにしました。

味噌汁も、大豆のレシチンが脳を活発にし、記憶力や集中力もた高めるそうなので、試験当日の朝食は必ずご飯とお味噌汁にしようと決めていました。

で、できればお昼もご飯とお味噌汁を食べたいと調べたら、運良く会場最寄駅の駅ビルにおにぎり屋さんがあり、イートインスペースもあったので助かりました。

頂いたのは、玄米ベースで手に入りにくい素材を使ったおにぎりとお味噌汁、ひじきや蓮根のきんぴらなどのおかず。

美味しいだけでなく、じんわりとエネルギーが補給される気がしました。お味噌汁のお出汁の香りもホッと安心できました。

そのお店は人気店で行列もできていたので、食べたらサッサと退店し、駅ビル内のベンチで面接ネタになりそうな本を読みました。
そして、指定時間の30〜45分前に試験会場に着くように、その場を去りました。

待合室

会場に行いたら、まず受付。
3人ほどの会場運営担当と思われる方々が、にこやかに「こんにちは〜」と挨拶してくれました。
スーツ姿で大人数の受検者をさばくTOEICのシステマチックな感じと違い、伊検二次試験はアットホームな印象でした。服装も受検者と変わらない普通の服でした。

一次試験合格通知を見せながら試験時間と名前を告げると待合室に通されました。

待合室は2〜3部屋ほどあり、それぞれ0〜2名の受検者さんがいた気がします。私が入った部屋には、素敵なマダム風の女性が1人。
ずっと黙っているのも気まずく、お天気の話題で話しかけてしまいました。幸い、私よりも試験時間がかなり後ろの方で、お話好きそうな方だったので、少しだけお話して、お互いの緊張をほぐしました。

私が名前を呼ばれた時は、お互いに”In bocca al lupo!” “Crepi!”と励まし合ってお別れしました。

準備室

呼ばれて案内されたのは「準備室」。私と2名の計3名が同時に呼ばれ、指定の席に案内されました。

そこには私の名前が書かれた紙と、面接テーマの資料が3種類、メモ用のA4用紙1枚が置いてありました。視界の隅に入ってきた他の受検者さんの資料はどれも全く違うものでした。どうやらテーマが重複しないように用意されていたようです。

3つの資料はそれぞれA4用紙1枚で、テーマの表題とそれに関する質問が4〜5つ、問題点を表す風刺画が1つという構成でした。
昔インターネットで調べて読んだような、長文2〜3ページの資料はありませんでした。

私は3種類のテーマの中から最も意見が言いやすいものを選び、メモ用紙に意見と理由、具体例、解決策などを列記。準備時間は運営担当の方からの説明(日本語)が5分、自分の準備15分くらいだったと思います。

入室時のハプニング

時間が来たら指定の面接室へ向かいます。
「SunnyさんはAの部屋へどうぞ」と、部屋番号を伝えられました。
他の2人も同時に別々の面接室へ。

すると、他の人が入るはずの部屋で、前の面接がまだ終わっていないことが分かりました。
日本人の運営担当の方は
「あれ?◯◯(ファーストネーム)また喋りすぎてるな?全く、いつもこれなんだから。」
とニコニコ顔で呆れてるのか、しょうがないなぁと受け入れているような面持ち。
試験室に割って入るのもできないので、緊張して待機する私たちに優しく話しかけて下さいました。

「怖がらずに、リラックスして挑んでくださいね。会話を楽しむつもりでやれば大丈夫ですから。」

と励ましの言葉を私達にかけつつ、その場をつないでくれました。これだけでも、前向きになれますね。

そして、ついに試験室へ入ります。
ドアをノックすると、中から
“Avanti!” (どうぞ!)
の声。
どうやらイタリア人試験官は男性のようです。

ドアを開け、明るくにこやかに挨拶。
“Buongiorno!” (こんにちは!)
と交わす。あら、日本人の試験官の方は女性なのね、と確認。2人ともニコニコ顔です。
うんうん、出だしはいい感じ。と、ドアを閉めようとしたその時、ドア枠とドアが少し干渉して、閉まらないんです。

「あれ?」と思って少し強めに押しても、閉まらない。
気まずい沈黙が続きます。
次で閉めたい、と、ほんの少しだけ強めに閉めたつもりが、

バッターーン!!!!!

…え、今少し部屋全体が揺れました?という位の衝撃を感じながら、ドアは閉まりましたが、私の体は固まりました。
心の声は「やってもーた」です。

昔ながらの日本企業の就職試験の面接でやったら意地悪なおじさまが1人くらいは嫌な顔しそうな(←偏見あり)爆音でした。

ゆっくり振り向きながら
“Scusate!” (すみません!)
と平謝り。試験官のお2人は気さくに
“Non ti preoccupare! Tranquilla.”
(心配ないよ。大丈夫。)
と慰めてくれました。トホホです。

入室後

部屋の雰囲気は、上のイラストに似ていて、学者のオーラを放つメガネのイタリア人男性と、柔らかな雰囲気の日本人女性という2人の試験官が何やら紙を手に机の向こう側に並んで座っていました。
私は机を挟んで正面に。(イラストのようなお茶はもちろんありませんでした)

まずは自己紹介をお願いしますと言われました。名前と居住地を言った時点で、遠くから来たことが分かるので、どうやって来たのか、どのくらい移動時間かかるのか、という話から盛り上がり、電車の話に脱線しかけました。

「遠いと言っても1時間なんだね。僕だって1時間かけてきてるよ」
「新幹線で通勤する人もいるらしいってほんと?」

など、電車の話に花が咲きそうなところを冷静な試験官の方がスムーズに軌道修正。

次に、
・イタリア語学習期間
・イタリア語を始めたきっかけ
・イタリア語検定で難しいと感じる部分
など、これもそれぞれ話が膨らみました。

これがrompere il ghiaccio (英語のice break )、つまり、試験官と受検者が打ち解けるための会話だったのだと思います。

いよいよ本題へ

一通り会話で打ち解けた後に、
「今回の試験に選んだテーマは何ですか」
と聞かれます。

選んだテーマを伝えると、最初になぜそのテーマを選んだのかと聞かれました。 
それから、その社会現象についてどう思うか、メリット・デメリットを両方伝え、問題点の解決策を話しました。

こちらが一方的に主張するというよりは、会話に近い雰囲気で、
「こういう事象もあるようだけど、君はどう思う?」
「こういう可能性もあるかもしれないと思うことはあるかい?」
と、質問や試験官の意見、経験を聞きながら、交互に話していたと思います。

さらに、会話が盛り上がって「これも言いたい」という気持ちが出てきました。試験官の話が落ち着いた時に話し始めようと、タイミングを見計らい、スッと入り込んで話すことができました。話の途中で割り込むのではなく、相手が話し終わって満足した後に次に繋げるような話をテンポよくする、というのができた感触がしました。

相手に質問してもらってからでないと自分から話そうとしなかった(それしかできなかった)昔の自分を思い出し、進歩を感じた瞬間でした。

話しやすいテーマを選んだおかげで自然と会話でき、沈黙になることなく、堂々と主張することができました。

ただ1点、途中まで慣れなかったのが、イタリア人試験官の目力。  

欧米では、相手の話を聞く場合、相槌を打たずにじーっと見つめて聞くのが良い聞き方とされているとどこかで読んでいました。とはいえ、私の住む日本の小さな町ではめったにお目にかかることのない大きな青い瞳にじーーっと見つめられると、すごい圧を感じてしまいました。

しかも私のスピーキング能力を正確に判断しようとする集中力からか、表情もコワモテ風になり、下手したら私睨まれてる?と錯覚しそうになるほど。でも慣れますね。目を見て伝えるのもイタリア語の話し方なんだと。
だんだん怖くなくなりました。

むしろ、私が話し始める度に、さっきまでの笑顔が一瞬で真顔になるので、その表情の変わり具合が面白くて笑いそうになりつつも、顔には出さないよう、表情筋を調節しながら応答していました。
無事に、吹き出したり、失礼な態度を出したりせずに面接を終えることができました。

お礼を言って、部屋を出てドアを閉める時、最初のような爆音は出したくなかったので、最後はかなりゆっくりと閉めるよう心がけました。その扉を閉めきる直前に2人の会話が聞こえてしまいました。

“Anche questa ragazza è stata molto brava.” (この子も結構上手だったよね)

“Sì, sì.” (うんうん)

そこでドアが閉まったのですが、

「どうか、その後にma(でも)が続きませんように」

と祈り、試験関係者の方々にお礼を言って会場を後にしました。 

まとめ

以上が、2023年のイタリア語検定1級二次試験の当日の様子です。

例に漏れず、小さなトラブルはありましたが、時間、体力、心の余裕を持つことで、大きなミスなく乗り越えることができました。

今後、イタリア語検定の二次試験を受ける予定のある方は、私のダメなところを反面教師に、参考にできそうなところはどうぞ盗んで下さい。そして、もし自分だったら?とイメージトレーニングしてみて下さい。

うまくできる自分をイメージして学習すると、自己イメージも高まり、力を出せると思うので。

今後は、検定に特化せず、イタリア語学習で直面する壁とその乗り越え方について、私の経験を振り返りながらお伝えしようと思います。

今回も長い記事になりましたが、お読みいただきありがとうございました。

それではまた!

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