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2023年イタリア語検定1級 に合格した私のリスニング学習法

こんにちは。
前回の伊検合格報告から間が空いてしまいました。
この記事では、2023年伊検でのリスニングパート結果と、それまでの1年間の学習方法をリスニングの面から振り返ります。


試験結果

直近の伊検1級3回分 リスニングパート結果↓
 2020年 17/22点(基準点16、平均点15.8)
 2021年 (受験せず)
 2022年 18/22点(基準点17、平均点16.7)
 2023年 19/22点(基準点16、平均点15.7)

平均点と基準点の傾向から、基準点は平均点に応じて設定されるようですね。
2023年ミスした3問についての反省は、
・1語目に発音され単語を聞き逃した → 最初の単語から集中すべし
・単語の意味が分からなくて勘で回答した → 単語の意味が分からなくても、冠詞(性数)等の他の要素から推測して、正解にたどり着くこともできたよね、
などでした。
それでも、受検の度に1点ずつ増えているので、リスニング力が少しずつでも上がってきているはず(と自分に言い聞かせる)。

次の段落からは、私のリスニング学習方法について詳しくお伝えします。

ネイティブ音声を「繰り返し」聴く

イタリア語に限らず、私の主な学習タイミングは、通勤中でした。
都会で電車通勤していた頃、電車内でTOEIC問題集や簿記の本を読んだり書き込んだり、アプリで仕分け演習したりという「目を使った勉強」ができました。しかし、車社会の地方に住む今は、通勤で本を広げる時間がとれません。そこで、一番簡単に勉強できる方法が「耳から」でした。

通勤以外では、家でも家事育児で常に手が塞がっている事が多いので、伊検の過去問題集を開いて音声を聞きながら解くのが無理だったんです。
「目を使う勉強時間」がいつ取れるかもわからなかったので、毎日少しでもイタリア語を聞くことを重視して「ながら聴き」(手は別の作業をしながら空いた耳で音声を聞くこと)をすることになりました。

具体的には、

・オーディオブックの1つ、AudibleYouTube動画を使い分け
・重要視したのは途切れない連続再生
・同じ音声を何度も繰り返し聴く

という方法に落ち着きました。

消去法で残ったこの方法しかなかったわけですが、ある日「ながら聴き」をしていた時に流れてきた説明を聞いて、この「聴くだけ」という方法でもいいんだ!ということが分かりました。

それは、20ヶ国語を操るカナダ人のSteve Kaufmanという方の主な外国語学習方法が、

「自然なネイティブ音声繰り返し聴くことと、読むこと」

だと知ったからです。彼のメソッドは、米国の言語学者Stephen Krashen(第二言語習得が専門で受賞多数)も認めるものなのだそうです。

この事を知ったきっかけは、たまたま見ていたYouTube動画(イタリア語チャンネル) の運営者(イタリア人男性のAlberto)も、同じアプローチで6ヶ国語くらい話せるようになったそうです。

それについて彼が語っている動画のリンクを下に貼り付けるので、
聞いてみてください。
(注意点: 1回で全て聞き取れなくても気にしない!4〜5回聞いて6割分かればOK!そのくらい気軽に聞けば良い、と彼も言っています。)

まずは、彼が動画配信を始めたばかりの頃(2015年)の動画です。
1人で編集に試行錯誤している時期なので、苦手な演出があれば飛ばして、
5:30からのSteve Kaufman の話を聞いてみてください。↓


次は、上の動画から5年後(2020年)、彼自身の講座PRの一貫で紹介した
「イタリア語を話すための7つの秘訣」の一つ目「聴くこと」。
6:10あたりで前述のStephen Krashenの発言について、8:42あたりからネイティブ音声リスニングについて話しているので、聞いてみてください。↓

上の動画から2年後(2022年)、ついにSteve Kaufman氏へインタビュー!
聞く・読むといったインプットの積み重ねがなぜ重要か、話しています。↓

これを知って、いやぁ、かなり安心しました。
聴くしかできないという状況が、自分が思っていたほどハンデではなく、むしろリスニング以外にも効果があったなんて🎵
という事で、自信を持ってネイティブ音声の繰り返しリスニングに取り組んできました。
※注意
上の動画で、文法なんて不要というような発言がありますが、日本人の場合は、日本語とイタリア語の文法が全く違うので、基礎文法を押さえる必要はあると思います。でも、一通りやった後は、繰り返し聞くことで学んだ知識が身についていくそうです。
おでこにポストイットを貼った状態(知識だけ)から、自分の血となり肉となる感覚(まさに「身につく」)に近いのかなと。

習慣化

今回もできるだけイタリア語を聴く時間を多く取れるよう工夫し、耳が空いている時はほとんどイタリア語を聞いてきました!
これは去年の記事でも書いていますが、単調な動きをしている時ほど、耳からスッと頭に入る感覚があります。私は次のように自分の活動に応じて聴くメディアを変えて、最低でも1日数分から1~2時間は聞いてました。

目をよく使う時(運転)や体を動かす時(歩く、掃除、洗濯物を干す)は音声のみ(私はオーディオブック)
同じ場所で作業する時(皿洗い、台所周りの掃除、洗濯ものを畳む)はYouTube

習慣化のポイントは、ハードルを少しでも下げること。具体的には
●オーディオブック(オーディブル)アプリをスマホのホーム画面の開きやすい場所に置く
外出用イヤホンはカバンの中に常備。家用イヤホンはすぐ出せる場所に置いておく。
●1回で完璧に聞こうとしない。なんとなくの全体像を把握する。少なくとも4~5回は繰り返し聞く。2~3回目で分からなくでも落ち込まない
●オーディオブック:原著や和訳本があると単語や意味を確認できるので、すでに持っている伊語原著日本語や英語原作本のイタリア語版を聴きました。
●YouTube:再生リストを全部流す。これで、再生ボタンを押すために手作業を止める必要がない。イタリア語字幕付き動画なら、基本は字幕を見ないで、聞き取れない時だけ見る。最初から字幕を読みながら動画を見るのは
リスニングではなくリーディングになってしまうのでダメ、と、何人ものイタリア人講師が動画で言ってました。
●自分が何となく分かる程度の難易度のものを選ぶ。(簡単すぎても難しすぎても時間がもったいない)

実際にリスニングしたもの

上記のようなポイントを踏まえて、この1年間、リスニングしてきたのはこちらです。↓

オーディオブック

私はAmazonの「オーディブル」使用中です。
月額1500円でイタリア語聞き放題。1年で1万8千円。
一方、語学学校の1級対策コースは通学・通信も3か月で約3万~9万円。
そもそも、私の住んでいるところは学校もなく先生もいない。
1次試験までに通信講座やオンラインレッスンを受ける時間もなく、子供を預ける人もいない(夫激務)。
自分の状況から、耳が空いた時にいつでも聞けるオーディブルはコスパ良いと思います。ちなみに、オーディブルは入会手続きなしでも、個別に作品を購入することができます。

以下のタイトル部分をタップ/クリックするとサンプル音声(1~10分)が聞けるページが開きます。(作品全体の長さと個別価格も載せますね)

Kitchen(吉本ばなな原作「キッチン」伊訳版)(台所用品や料理関係の単語多め。登場人物の雄一がユウイキと発音されています)4時間10分 ¥1,100  
Wabi Sabi di Selene Calloni(にほんの侘び寂び。日本人としてはなんとなく感覚のあるような侘び寂びについての解説と作者の日本での体験談)
13時間19分 ¥1,100
Sostiene Pereira di Antonio Tabucchi(軍事独裁政権下のポルトガル。反体制側の若者との出会いによって人生が大きく変わる新聞記者の話。体制側を恐れて本音を発言できない雰囲気が、ここ数年の行き過ぎた監視社会とかぶって怖くなりました。和訳本は「供述によるとペレイラは…」須賀敦子)
4時間31分 ¥1,400
Delfini(吉本ばなな原作「イルカ」伊訳版)(様々な形の恋・愛、妊娠と出産を通じて変わる主人公と周りの人々)5時間32分  ¥1,000
I social network di Giuseppe Riva (SNSの歴史、変遷、リスク)
6時間53分 ¥1,100
Lucertola(吉本ばなな原作「とかげ」伊訳版)(6編の短編集)
3時間30分 ¥700
Diario di preghiere (三島由紀夫短編全集「花ざかりの森」の1作。伊訳版。病弱同士の少女と少年との出会いとすれ違い、再会)1時間25分 ¥1,000
Resto qui di Marco Balzano(イタリア北部のドイツ語圏だった町Curon。ファシズム政権によってドイツ語禁止、イタリア語を強制され、戦後はドイツ語も公用語となるもダム開発によって町の中心地が水に沈んだ町に生きた人々の話。ストーリーはフィクションですが、上記の内容は史実)
4時間49分  ¥2,500
Le sette regole per avere successo di Stephen R. Covey(英語原作で日本でも定番の自己啓発本「7つの習慣」の伊語版)17時間43分 ¥2,400
※1つの習慣に関するパートを繰り返し聴いてから次の習慣のパートを聴くという方法で、今は4つ目の習慣を聴いているところです。

上記タイトルの合計時間は44時間9分。
仮に全て3回繰り返し聞いたとして、132時間27分。(実際は5回以上聞いたものもあります)

一方、過去問のリスニングパートは約30分。
伊検公式サイトでは過去12年分の問題をe-ラーニング購入できるので、全部購入したとして(リスニング+文法筆記で¥6,600)、12年分を22回繰り返すと上記と同じ時間になります。
紙の問題集は8年分購入可能なので、全部購入すると¥26,400で、33回繰り返すと132時間になります。

私は、いろいろな分野の話題に触れることで、語彙も増やせるのではないかと思います。


YouTube

YouTubeは字幕付き動画もあったり、文字起こし機能があって、聞き取れなかった箇所の単語・フレーズを見ることもでき、何より、聞いただけでは分からないイタリア特有の物や状況を見られることが大きいです。
イタリアに住んでいるわけでも、気軽にイタリアに行ける状況でもないので、遠い地の様子を見られるYouTubeってすごいですね~。

ということで、以下のチャンネルの再生リストをあれこれ聞いていました。
おすすめの再生リスト名にリンクを貼っているので、聞いてみてください。

↑上で紹介した動画のチャンネル。再生リストの数と動画数が多いです。
"S1: ♯Learn Italian show"(236本)  "S2: #Learn Italian show 2017"(43本)
"Quarantena Coronavirus Italia"(45本)

↑日本語専攻の2人によるチャンネル。日本語字幕あり。
このイタリア語聞き取れるかな?」(19本)の再生リストがお勧め。

↑文法解説が多めではあるもののリスニング練習に良い再生リストが沢山。発話はゆっくりめ。"Italian listening comprehension"(17本)

↑ここ最近で1番のお気に入り。自然なスピードの面白くて興味深いテーマの会話動画が豊富。"Conversazione naturali in italiano"(22本)

↑イタリア人向けのチャンネルなので発話スピードは速め。特に、再生リスト「italiani in Giappone 」(8本)の最後にある精神科医の彼のスピーキングは今の私にはとても速いと感じました。挑戦しがいがあります。

↑再生リストには多くのポッドキャストがリスト化されていて、映像がない分耳だけに集中できます。"Cultura italiana: Podcast in italiano per stranieri di livello intermedio/avanzato"(50本)

まとめ

以上が2022年の伊検から2023年の伊検までに行ったリスニング学習です。

検定問題の過去問リスニングはしませんでした。
これまで何度も伊検を受けてきていて、大体のリスニングパートの流れを知っていたからです。
(昔は、試験前に過去問リスニングもしていました)

ディクテーション(聞いて書きとる)もしませんでした。というか、できる環境ではなかったので。でも、ディクテーションなしでもリスニングパートの点は上げる事ができました。

また、伊検合格が学習の目標ではなく、あくまで学習の成果を確認する通過点(たとえ不合格でも点数の推移が出る)として考えていたので、リスニング自体が楽しめて、聴解力を上げながらもイタリア語学習以外でも勉強になるような時間にしたかったので、教材音声を使わない、このような内容になりました。

何より、自分が聞きたいと思わないと続かないので、オーディオブックのレビューや動画の再生回数といった人の評価で判断するのではなく、自分の好き嫌い、興味があるかどうかを意識して選ぶと無理なく続けられると思います。

今後も、このような形でリスニングを続けていきますが、同じくイタリア語を学習する方の参考になれば幸いです。
それでは、また!Buon studio!

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