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イタリア語検定1級合格時の二次試験結果と学習法

こんにちは。
この記事では、2023年伊検の二次試験(面接)の結果と、どのような学習が口頭試験に活きたのかという面から振り返ります。


試験結果

私の二次面接の結果↓
37/40点(合格基準24、平均点37.0)

ずばり平均点でした。
40点満点中37点という結果を%に換算すると、92.5%になります。高めな平均点だなと思いましたが、一次試験を突破した人が受ける試験なので、そうなるのでしょうか。一次試験の結果通知にはパート毎の最高点も表示されますが、どのパートにも満点の方がいたので、相当ハイレベルな方も受検されていたと想像します。

一次試験の合格基準を%換算すると、
リスニング: 72.7%
筆記: 67.6%
作文: 60%

対して二次試験の合格基準は60%です。一次試験をギリギリ合格した私が二次試験で92.5%の点を取れたことから、二次試験の採点は優しめ、基準点は低めの印象を受けます。つまり、一次試験に合格すれば二次試験は合格しやすいのではないか、と思っています。

次の項からは、二次試験の点数に繋がった学習法を振り返っていきます。

面接は総合格闘技

これまでの一次試験振り返り記事(リスニング、筆記、作文)で書いた学習法、身につけた力のほぼ全てが二次試験につながったと思います。

リスニング力: 試験官の発言を聞き取り理解する
文法・語彙・慣用句: 聞く・話すための必須道具
長文読解力: 試験官の話が長くなった場合に全体を把握する力、キーワードの短期記憶
作文力: 話す際の文章構築、論理立て
社会問題の知識、自分の意見: 話すための素材

作文のために身につけた筆記体も、ブロック体で書くより脳が活発になるとか。考える力や反射神経に間接的に効いていたかもしれません。

二次試験ではさらに、
理解されるための発音
会話のキャッチボールをスムーズに行う瞬発力、言葉以外の要素(表情ジェスチャー声のトーン)を使いこなす必要があると言えます。
まさに、あらゆる能力・技を出す総合格闘技。

もちろん試験官と殴り合うわけではありませんが、それまでの学習で得た力を総動員するので、どんな学習も無駄ではない、全て繋がっていると思います。

自然な会話をたくさん聞く

私はこの2〜3年は、読み書きの時間が取れないのでリスニング中心で学習を進め、自然なネイティブの音声を繰り返し聞いていました。
特に面接においては、YouTubeの会話動画を参考としました。
こちらの記事の最後に再生リストのリンクがあるので聞いてみて下さい↓

この他に参考としたのは、イタリア語学習者とイタリア語講師との会話動画です。どういう話し方だと理解されるのか、または理解されないのか、という点を知りたくて。

中でもトピックの選び方、主張の仕方ですごいと思った方の再生リストをシェアしますね。

↑(動画本数なんと65本!)
このCamilaさんはブラジル人なので母国語はポルトガル語。イタリア語以外の言語も学びながらご自身もポルトガル語の講師をしている方です。

65回分のレッスン動画には何人かリピート受講している先生もいて、段々とテーマも深くなっていく様も興味深い。これを2〜3年かけて2周くらい流しました。

レッスン動画をながら聞き(たまにチラ見)することで、レッスンを疑似体験できるのも、自分がレッスンを受けるための心の準備ができていいですね。

最も見習いたいと思ったのは、細かい間違いを気にせず主張を続けるという彼女の姿勢です。

間違いを恐れて沈黙したら、何も伝わらない。
頭の中で組み立てていると、時間がなくなる。
とにかく何か言えば次への会話につながると。

それに対して、相手の発言内容が分からない場合は、分からない部分を聞き直す必要がでてきます。普段の会話なら何の問題もないでしょうが、試験においては自分の意見を主張する時間のロスにつながる気がします。逆に、相手の言った事をその場で全て理解できれば、あとはボールを投げるだけ。

そのため、自分で文を作り出す事よりも、文章や相手の発言を理解することを重視しているSteve Kaufmann氏(20カ国話者)の学習メソッドは結果的に会話力向上への近道なのではと思います。

Steve Kaufmann氏についても、こちらの記事で取り上げています↓

日本語でのインタビュー動画も見つけたので紹介します↓

↑3:40あたりから日本語学習についての話になりますが、次のポイントはイタリア語学習においても大切な視点だと思いました。
最初は発音できなくて当たり前。最初から完璧を求めないし、できないことを気にしない。少しずつ良くなると信じる。実際によくなる。
文法も最初は分からないし、すぐ忘れるのも当たり前。(=一度で分かろうとしない。分からなくても凹まない)でも繰り返しやれば脳が慣れる。

「たとえ文法用語を知らなくても、この場合はこう言う、というのが言えて伝わればそれでいいんです」との発言を聞いて、外国語が好きだけど文法用語や細かい分析が苦手な私のような人にも合った方法があるんだと安心しました。

もちろん、伝統的な文法用語を用いた学習や構文分析、用法分析等がやりやすい人、苦にならない人はそれが合っていると思います。 

自分の特性を知って、自分に合う方法を見つけられれば、それがその人にとっての最適・最短ルートになるのだろうと思います。

余談ですが、上の動画、最後の数分は中国語で会話されてます(字幕なし)。さっきまで日本語を話していたカナダ人と日本人が、中国語で爆笑しながら話すなんて、おもしろすぎ。

シャドーイング、オーバーラッピング

リスニングで耳を鍛えたら、今度は発音・発話の練習です。これも「ながら」で行いました。

私は一つのオーディオブックやYouTube動画を繰り返し聞くようにしています。意味が6割以上取れて来たら、シャドーイングします。

シャドーイングとは、英語のshadow (影)から来る用語で、後からついてくる影のように、音声に少し遅れて復唱していくことです。
(イメージ↓)
音声:  Dobbiamo evitare l’inquinamento.
自分の声:        Dobbiamo evitare l’inquinamento.

元の音声がゆっくりめで、フレーズを覚えた場所は音声と同時に被せるオーバーラッピングをしました。
(イメージ↓)
音声:        Dobbiamo evitare l’inquinamento.
自分の声: Dobbiamo evitare l’inquinamento.

私は車通勤なので、車の中で音声を流しながらシャドーイングやオーバーラッピングをしていました。また家の中でもネイティブ音声を聞きながら、できるだけモノマネして再現するようにしていました。

この場合、自分の性に合わせてお手本となる音声を探すといいと思います。男性と女性とでは話し方や声の高さも違う上、性数による語尾変化も異なるので、同性の人をマネした方が間違えにくく、自然なスピーキングになるのではと思います。というわけで、私は女性の音声中心にモノマネ発音練習をしました。

YouTube動画では、話し方も個性が出ますね。 おっとりゆっくり話す人、チャキチャキの人、かっこいいお姉さん、お母さん的な温かみのある人、サバサバした人。
自分にしっくり来る人をモデルにして、その人のトーンや声の高さ、話すリズムなどを参考にしました。

あとは、能動的な音読ができればよかったのですが、なんせ読む時間が取れなかったので、潔く諦め、聞きながらできる方法を地道に続けました。

オンライン会話レッスン

まとまった時間が取れないとは言え、さすがにレッスンなしで試験に挑むのは避けたい。
でも地方在住で近くに学校もなく先生もいない。そもそも通う時間がない。

ということで、単発のオンラインレッスンを、スケジュールが許す限り受けることにしました。

オンラインレッスンで選んだのはカフェトーク。

先生の紹介動画や詳しいプロフィール、先生からのメッセージなどが豊富なので、事前に先生の人柄を知る事ができ、不安を最小限にして申し込める点が良いと思います。15分のお試しレッスンもあり。

この記事執筆時(2024/2/20)時点で、カフェトークには66人のイタリア語講師の先生がいます。

内訳は、
イタリア出身: 39(居住地: イタリア23、日本9、ドイツ2、オーストラリア1、ポルトガル1、ブラジル1、イギリス1、スペイン1)
日本出身: 20(居住地: 日本8、イタリア10、ドイツ1、スペイン1)
ウルグアイ出身: 1 (ウルグアイ在住)
ドイツ出身: 1 (イタリア在住)
カザフスタン出身: 1(イタリア在住)
ブラジル出身: 1(ブラジル在住)
ロシア出身: 1(ロシア在住)
エジプト出身: 1(エジプト在住)
フランス出身: 1(日本在住)

出身国や居住地だけでも多様ですが、年齢や得意分野、趣味も皆さん違って個性的。


先生の選び方は、人それぞれですが、私の優先順位はこれ↓
1. スケジュールが合う(空いている時間が少なかったので、日時指定の講師検索をしました)
2. イタリア出身(本番を想定して)
3. 日本在住(自分の意見や経験が日本ベースなので、理解されやすい方が話がスムーズかと)

そもそも私の空いている時間が少なかったので、スケジュールが合う先生自体がそんなにいませんでした。そのため、決めるのも簡単。先生のプロフィールや画像、動画、口コミ、価格などから絞りました。

受講できたのは30分×6回。
少ないですよね。でもこの時間を捻出するのも一苦労で、用事が押して間に合わないんじゃないかと焦ったり、レッスン中に子供が入ってきそうになったりと、ヒヤヒヤでした。

全部で3人の先生に教えて頂きましたが、指導方法も三者三様で面白かったです。どの先生も親身に、限りある時間で最大限の知識やアドバイスを与えて下さいました。

イタリア語会話のブランクは10年以上なので、レッスン途中で言葉が出てこなかったり、止まってしまったりと、試験への不安もよぎりました。
でも沢山褒められ、勇気づけてもらえたので、試験当日は自信を持って行くぞと覚悟が決まりました。

イタリア語会話の前に、新しいツールに出会う度に毎回手こずる私はカフェトークへの登録や設定、慣れないSkypeに戸惑ってしまいましたが、慣れるとオンラインレッスンは便利ですね!
今後も定期的に(月1回でも)レッスンを受けたいと思います。

まとめ

以上が二次試験の結果と学習方法でした。

面接対策の9割が「ながら聞き」でも、実際の会話を毎日聞いて、口を動かす訓練を続けたおかげで、自然とフレーズが口から出てくるようになったのは発見でした。

毎日たくさん繰り返し聞くことで、
聞ける→読める→書ける→話せる
と4技能が繋がりました。
※実際にはもっと複雑で、矢印がいろいろな方向に行き交うようにそれぞれが影響し合っていると思います。

イタリア語を伸ばしたい方は、今より少しだけでも多めに聞いてみて下さい。聞くだけなら楽に続けられるし、継続する事で、力がついてくると思うので。

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それではまた! Alla prossima volta!


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