【映画感想】プロミシング・ヤング・ウーマン
パステルカラーで統一された美術背景にレイプリベンジが描かれるガーリー+ポップと胸くそ悪さが同居する作品。
全体的に面白くは観たのですが、難点も。
キャシーの行動原理が、いまいち真に迫ってこない。
劇中ではとことん画面に出てこないニーナ。
彼女の身に何が起こったのかだけははっきりしていて、その他は『頭が良かった』『いろんな男と寝ていた』『泥酔していた』という情報のみ。キャシーとニーナがどのくらい親密で互いに影響しあっていたのかという内面の描写がない。そのためキャシーがニーナの復讐に動く原動力の強さは何故なんだろう……と感じた。
……自分は。
事件後は人間不信+男性嫌悪MAX状態の精神で、不埒な男への制裁は(てめぇらみたいなクソ野郎がニーナを殺した)という代償と彼女を救えなかった自分への自罰的な感情が入り混じっていた故の自傷行為みたいな面があったんだろうと自分は解釈していて、そこは納得してるのですが。
バチェラーパーティーにひとり乗り込んで行く覚悟と"それ"を予期した手配。
ハンデがあっても男が本気出せば力では敵わないという事実を前提に"もしも"の事態に備えた彼女の行為は、ほぼ自殺行為と同等なんじゃないかと思ったりします。
どのくらいの強い結びつきが彼女とニーナとの間にあったのかは分からない。
ニーナが壊れた時にキャシーも壊れ、ニーナをレイプした男が結婚すると聞いた時に再び怒りがブーストしたのか。
ニーナの件で裁くことが出来ないなら、自分の身を掛けて奴等を裁きの場へ引摺り出してやる、そこまでの強い決意が何ゆえなのか。
……絶望なのかなあ。
キャシーの怒り、その他の登場人物(加害者/傍観者/動画を拡散した人間+それを見て楽しんだ人間)の保身や自分勝手な言い訳が到底許せる弁解ではないのに、画面は可愛いらしいパステルカラーの絵面というアンバランスさがグロテスクに思える。
甘くて可愛い見掛けでも女性を舐めんなよという暗喩?
ポップでキュート、映えを意識した美術。
それにキャシーを始め、見目の良い男女達。
主要な男女のルックスを美男美女で揃えた復讐劇という点に、少し引っ掛かりを感じたのも事実(何かで読みましたが美人程、凄惨な目に遭いやすいという傾向があるようですが)
個人的に複数の瑕疵は感じるものの、サントラが良かったり、キャシーの(男なんてクソ)と(女だからって容赦しないあんたも同罪だクソが)という態度が清々しかった、あとナースコスに萌えたのでトータルで面白かったです。
……我ながら面倒くさい感想だ😂
おしまい。
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