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#36 卒園おめでとう🌸

 昨年より『りんりんコンサート』でお世話になっている地元の幼稚園。卒園生お別れ会の当日がやってきた。昨夜の雨もすっかり上がり、おひさまが園庭を照らしている。『りんりん』の総監督である夫の指示のもと、いつも通り大荷物を運び込む。現地では、実家の両親が先に到着し私達を待っていた。
 園長先生(牧師先生)が笑顔で迎えて下さる。母はとても嬉しそうに挨拶し、杖をつきながらゆっくり中へと足を運んだ。母はいつもの指定席に腰を下ろす。私達はセッティング開始だ。

 飾り付けは前回のクリスマスと同じというわけにもいかず、100円均一で調達したピンク色のモール、桜の造花などを使用。礼拝堂に『卒園式感』があっという間に広がる。
 保育士のiさんは本番直前まで保育中のため、リハーサルなしの一発勝負。今日はお楽しみ給食ということで、園児みんなでホットドッグ🌭を作っているのだとか。楽しそうな様子が目に浮かぶ。りんりんのセッティングがそこそこ完了した頃、何やら見知らぬお方が・・・。
『〇〇新聞に取材の声かけておきましたよ😊』
園長先生がニコニコ顔で話された。
『😳⁉️』
まじですか💦一気に緊張感が走る。困惑するnさんを励ます私。
『安心して。新聞に音は載らないから。笑』

 ホットドッグが完成したところで、保育士のiさんが合流した。可愛い園児達が、みんな手をつないで礼拝堂に入ってくる。
 ㊗️卒園 りんりんコンサートのはじまりはじまり〜♫

①ロケットにのって(こども讃美歌)
 🌸子供達の歌&手話と合わせて演奏
②たいせつなたからもの
 🌸卒園生が卒園式で歌う曲を披露
③つばさをください
 🌸天国の叔母との思い出を乗せて演奏
④きらきら星
 🌸園児が鈴を鳴らして、りんりんと合奏

 曲の合間には、次の曲で使うベルに配置転換する。進行役の私が園児と会話でつなぎ、iさんとnさんが配置転換を行う。進行係の私の問いかけに、恥ずかしそうに答える園児達の笑顔がたまらなく可愛い❤️
 時には良く響かせ、時にはあたふたしながらもプログラムはどんどん進む💦演奏中のミスはいつも反省点ではあるが、園児や保育士さんには大変喜んでいただき、あっという間の30分だった。

 園児達が、お楽しみ給食を食べるために退室した後、〇〇新聞の記者さんのインタビューを受ける。
ハンドベルが母から受け継がれたものであること、クリスチャンである祖父母が礼拝に通い続けた歴史ある教会であること、またここでハンドベルを演奏させていただける喜びなどを話した。
 新聞記者さんは、当然だが様々な事実関係をしっかり確認する必要があるようで、名前や連絡先、その他細かいことまで、申し訳なさそうに繰り返し聞いてこられた。続けて生年月日を聞かれ、その質問に答えた時には予想通りの反応。
『えっ、お母様と誕生日が同じなんですか!』
『はい。なので、母のハンドベルを受け継ぐ使命を与えられていたような気がしています。』
子供の頃、『母と誕生日が同じ』であることが何となく嬉しかったが、その理由がようやくわかった気がした。

 あいにく、翌日の〇〇新聞にはりんりんの記事は掲載されていなかった💦どれだけ時間をかけてインタビューされても、記事にならない可能性の方が大きいとは聞いていた。ホッとしたような、残念なような・・・といった感じだろうか。
 教会での演奏は、幼稚園のためであり、私にとっては何より母のためなのだが、今日のりんりんコンサートが今にも記憶から消えてしまうほど、母の認知症は進んできている。
『記憶はなくなっても、その時、その一瞬を楽しく過ごしてくれていれば良しとする。』
母と同居している姉が、私にそう話す。

 母は口を開けば、いつも誰かに対する感謝の気持ちを述べている。
『うれしいな。ありがたいな。』
すぐに記憶をなくす母だが、感謝の気持ちだけはなくさず持ち続けているようだ。これが母の本質なのだと思うと、喜びが溢れ出す。

 母の記憶の隙間を埋めるように、この春もまた満開の桜を見せてあげたい🌸

りんりんへのお礼にと、手作りクッキーを頂きました。
キーホルダーのプレゼント✨


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