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ギムレットには早すぎる ~e-Agencyを退職しました~

「ギムレットには早すぎる」 

『Long Goodby』(レイモンドチャンドラー作)で、私立探偵フィリップ・マーロウが語った言葉だ。

ここでのギムレットは、それを飲んだら生涯会わないという友との言外の誓いである。

e-Agencyというデジタルマーケティングの会社に勤めて5年4か月。僕はギムレットを飲むこと(退職する事)にした。

e-Agencyに入ったのが、ちょうど35歳を迎える月。
「35歳になったら自分の武器で生きていく!」
大学を卒業してからずっと自分のキャリア形成に対する合言葉。

それまで続けてきた「創る」という自分のベースに何を乗せるのか? を考えた際に選んだのが、「マーケティング」だった。
そんな、僕が入ったころのe-Agencyは、所謂制作会社からマーケティング支援会社へ移行する途中だった。

5年を振り返ってみると、2/3は「ブラック企業並み※に毎日終電までハードに働いたWEBディレクター・UXディレクター」時代と、1/3は「学びながら進めていった先端のデジタルマーケティングのプランナー」時代の2つに分かれた。
当初望んだ通りの「創る」と「マーケティング」の両方に取り組ませていただいた。
※今は、とってもホワイトな会社です(笑)あしからず。

でも、満足できない自分が常にいた。

「マーケティングじゃねぇな!」と実は、結構早くから気づいていた。
でもやってみなければわからないから、やってみた。
そして確信した。
「0→1」が、一番自分が活きる道だと。
(こうやって、言葉にするとほとんど安っぽく聞こえてしまう)

きっかけは、6年前に読んだ一冊の本。それが自分の中に種を植えて、
気がつかないうちに木になっていたそんな感じだった。

デザイン思考が世界を変える』(ティム・ブラウン著、早川書房)

IDEO流のデザイン思考、共感と実験、発散と収束、より良い問いの設定。
書いてある言葉すべてが刺激的で、全てに共感して「なんにも言えねぇ」と心の中で叫んだ。

元々、ずっとプランナーとしてロジカルシンキングとクリティカルシンキングの両方を使ってきた。
それでもうまく解決できない課題があって、何が駄目なんだろうとずっと悩んでいた。

その答えが、あった。

デザイン思考を体系的に身につけたい! という思いが抑えられなくなった2018年4月に、慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)に入学した。

そこでは、デザイン思考×システム思考という独自メソッドを一から学んだ。2年間で多くのプロジェクトに参加した。

「本気でその課題を解決したいのならば、世界中でその分野では自分が一番といえなければ駄目」
「ソリューションは、ぎりぎりまで絞り込んだ本質にしか価値は無い」
「アイデアやソリューションがどれだけイノベーティブでも、社会に実装されなければ無意味」
「検証! 検証! 検証! 頭で考えるな、プロトタイプを作れ!」

毎日遅くまでチームメンバーと大学でアイデア創出、ディスカッション、プロトタイピングを繰り返した。
休日は、実質0になったけど(家族とも会えなくなった)、刺激的で楽しすぎる日々を過ごした。

修士論文では、「チーム」における「ビジョン」について研究を行った。創造的活動にチャレンジするチームが、
継続的にパフォーマンスを発揮するために必要なものは「チームビジョン」と「個人ビジョン」としてまとめた。

そして、気がついた。創る+αで生きていくと考えていた「+α」は、実はいらなくて「創る」それだけで良い事を。
この2年間「創る」ということに徹底して向き合ってきた。
そして、それを支えるものが「マーケティング」「デザインプロセス」「システム思考」「チーム」「ビジョン」だった。
5年遅れたけれど、【断固たる決意】ができた。

転職活動していく中で、これから自分が社会にどう貢献していくかについて、ビジョンをまとめた。
忘れないように記録しておく。

「私は、人が成長することにおける、今まで見ていなかった新しい視点の提供を体験を通して行っていく。
人が、自分の既存の枠の外にある世界を認識し、そこに向かって旗を立てることを手助けする。
誰もが平等に機会を得ることが出来て豊かに明るい未来を創り、楽しめる人を増やすことを行う。
そのために社会システムを俯瞰的に見て、全体構造を把握し、人々が輝いていける新しいシステムやサービスをアーキテクトしていく」

ここで最初に書いている、「頑張っている人の成長を助ける」は、元々ずっと自分が持っていたライフビジョンだった。
どんなかたちをもっていても、頑張る人を助ける自分でありたいと思っていた。

そして3月2日より、「 “人”の成長を通じて(PERSON)社会の課題を“解決”する(SOLUTION)」PERSOLで、サービスデザイナーとして新規事業・新サービスに携わってくことになる。

ギムレットは飲んだ。
武器も持った。
決意も固まった。
後は、新しいものを生み出して社会実装するだけだ。

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