仕事が面白くないのは、誰のせいか。
私が、「仕事が面白い」と感じるようになったのは、だいぶ遅いです。
社会人になって9年目になってからくらい。
(これに限らず、全般に、いろんな気づきや成長は遅い方です。)
そのきっかけは、その前年のMBA留学先でのクラスメイトたちとの会話でした。
つまらない仕事と思っているのは自分だけ
留学先では、世界各国の、同世代(多くは自分より年下)のエリートたちと沢山出会いました。
最初にすることといえば、自己紹介。
みんなキャリアに関心がありますので、「今までどんな仕事してたの?」という話になります。
当時、自分の仕事に自信を持っていなかった私は、妙にひねくれた感じで自分の仕事について話しました。
そうすると、「それ、面白そうな仕事だね」と言われる。
まさか?と耳を疑ったけれども、次に話す相手も言う。他の人も言う。
だんだん、「そうなのか?」と思い始める。
そして、ある日、彼らと話していて、ハタと気づきました。
私が、仕事を楽しんでなかったんだ。
仕事を面白くしていなかったのは、私なんだ。と。
留学前の私は、とにかく自分のキャリアに自信がなくて、
「このままここで働いていたら、どこにも通用しなくなる」とか、
「今の自分が転職しても、できることは何もない」などと思っていました。そして、
「いつかこの会社を辞めてもやっていけるように」とか、
「何か専門的な知識を身につけないと」などという思考回路でした。
志望して入った会社なのに、不思議なものです。
別に転職したい先があるわけでもないのに。
具体的に成し遂げたい夢があるわけでもないのに、将来のことばかり心配して、
全然、今にいない。
「何か」を探して、思考がフラフラと彷徨ってる。
その結果、どういうことが起きるかと言うと、毎日の仕事に全身全霊でいられない。
頑張っていたし、かなり残業もしていたし、ちゃんと仕事はこなしていたと思いますが、まさに「こなす」とか「指示されたことをやる」という姿勢。
自分からクリエイトしていく感じは薄かったと思います。
皮肉なのだけど、面白い仕事をしたいと思って入社したのに、全然今にいないから、面白いとは感じられなかった。
そもそも自分にとっての「面白い」って何なのかすら、わかっていなかったのかも(今だって模索中)。
仕事は、コミットすると面白くなる
社費で留学させていただいていたので卒業後は元の職場に戻りましたが、上記の同級生とのやりとりを思い出して、新しい配属先で、目の前の仕事をとことんやってみようと思いました。
そして、それをやってみて、わかったのは、
自分ごととして取り組めば取り組むほど、仕事は面白くなる。
取引先との関係も深くしていくほど、仕事は面白くなる。
ソツなくやってるくらいじゃ、面白くならない。
会社のお金ではなく、自分のお金をこのプロジェクトに注ぎ込むとしたらどうか。
決裁を取るためだけに稟議書作成しているときには素通りしそうなところにも、私が自分のお金を投じるならばこれは知っておきたいと思うような、取引先に確認したくなるポイントが沢山見えてきます。
たまたまこの時の上司が、コーチングなども学んでいた方で、何か相談に行くと、
「あなたは、どう思うの?」
「で、あなたは、どうしたいの?」
と毎度返されるので、なおのこと、担当したプロジェクトが自分のものになっていきました。
むしろ、会社のお金を使わせてもらって、多方面のプロフェッショナルと仕事したり、投資できるってすごい。
会社の名刺を使って、会ってみたい人に会えるってすごい。
若手の頃、「もっとオーナーシップを持て」と上司から指導されたことがありましたが、当時、その意味が理解できていなかった。正確に言うと、当時正しく理解できていなかったことが、後になってわかった。
自分の仕事として指示された範疇をやりきる程度では、オーナーシップとは言えないのだと、後になってやっとわかりました。
仕事を楽しむ人はどこでもやっていける
その後、私はCTIのコーアクティブ ・コーチング®️、コーアクティブ・リーダーシップ®️に出会い、コーアクティブ®️の概念を、コーチングとは無縁の会社の仕事の中にも持ち込むようになるのですが、
そうやって「自分の色」を出し始めていくと、ますます仕事は面白くなっていきました。
やってみたいアイディアもどんどん湧いて、実行に移していくようになります。
楽しいばかりではなく、思い通りに行かなくて悔しかったり、納得できずにムカッとすることも増えました。
そして、不思議なことに、それと反比例するように「ここであくせく働いていても、どこに行っても通用しない」という焦りや不安は減っていき、「どこに行っても、まあきっと何とかなる」というような心持ちになっていきました。
もちろん、ここにはビジネススクールの卒業を経て自信がついたという要素も多いにあることは否定しません。
ただ、同じ組織の中でも2〜3年ごとに部署異動があって毎度新しい仕事をやってきた経験を振り返ってみると、
どのような仕事の中にも普遍的なものがあると感じます。
だから、どこかで、人間関係を構築して、成果が出せるということは、他でもきっとやっていける。
実際、転職して行かれた方々を見ても、そう感じます。
一緒に仕事できて楽しかったな、また一緒にお仕事したいなと思う人たちは、年齢にかかわらず、異業種であっても活躍されてる。
今の仕事を楽しんでいる人、面白く仕事ができる人は、どこにいっても大丈夫。
だから、今いるところでとことんやりきってみろ。
面白い仕事が割り当ててもらえるのを待つのではなくて、自分で仕事を面白くしてみろ。
面白そうなものが社内にあるなら、自分から絡んでみろ。
やりたいようにやって、組織からはみ出てしまうくらいになってから次を考えろ。
その時には、次にやりたいことのネタかタネがきっと見つかってる。
昔の自分に言いたくなる言葉です。
余談ですが、今の仕事を楽しんでいる方が、プライベートも充実すると思います。
将来について心配ごとがあると、プライベートの時間も、悩んだり、その悩み解消のための不思議な行動(私で言うと、ガラに合わなさすぎる米国公認会計士の勉強 ……)に出て、楽しむ時間も奪われる。遊んでいても、「こんなことしている場合だろうか」と、心から楽しめなくなってしまいます。経験談より。
「仕事が面白いとはどういうことか?」について、以前、Podcast・独立後のリアルでも話しました。よかったらこちらもお聴きください。
●独立後のリアル #13 仕事が「面白い」とはどういうことか
では、今日もよい一日を!
◆今日のカバーアートは、PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像です。
この記事は、2020年7月20日公開のここみちノートをリライトしたものです。また、2020年10月14日配信の「ここみち便り」でも紹介しました。
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●関連書籍
『採用基準』 伊賀泰代著(ダイヤモンド社)
『リーダーシップの旅 見えないものを見る』野田 智義・金井 壽宏著(光文社新書)
『四つの約束』ドン・ミゲルルイス著(コスモスライブラリー)
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