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【鳥栖vs浦和】【柏vs浦和】J1リーグ 第22節、第23節 感想【これもサッカー】

さて、FC東京戦で少し重い感じになった後に名古屋グランパス戦で以前より頑張ったぜ、と気持ちを持ち直す事ができた前節までですが、今回はサガン鳥栖戦と柏レイソル戦です。

サガン鳥栖とは前回対戦から1か月程度での再戦という事で、それほど間は空いていませんが強度の高い試合になるのではないかという予感と、柏レイソルはオルンガへのリベンジと行きたいところですが、クリスティアーノの復帰によりオルンガ第2形態へといつの間にか進化していました、ガッデム!
この2試合はシーズン終盤を占う上で割と大事な試合だったんじゃないかな、とも思いますので、そこら辺を意識して見てみたいな、と思います。

サガン鳥栖戦 感想

浦和のスタメンは前節から好調を見せているマルティノスを右サイドに、柏木をセンターハーフに配置する形。

あ、カメラの位置がピッチを俯瞰する様な形になっているの凄い見やすい。

開始2分でのフリーキックで柏木と関根が並んでいたのはトランジションを意識してのモノなんでしょうか。微妙に、右足のキッカーは武藤が担っているようなイメージがありましたが。

配置は4-4-2同士で噛み合いそうな展開のはずなのに、微妙に噛みあわない感じは面白いな、と思いますがそれぞれの前線の振る舞いとそれに合わせてセンターバックの振る舞いが違う、という事が言えるのかもしれません。浦和の4-4-2はゾーナルと言われていましたが、鈴木大輔がスタメンで出たあたりから迎撃守備を行うことが増えた事により、バックラインをどうしても維持しなければならない、という意識からは解放されたように思えます。

ミドルサードからの守備時に中盤で人数が足りなければ(守備の人数が余っていれば)中盤に対して人を見る傾向が強まっていますし、以前なら柴戸が無理やり帳尻を合わせていたであろうシーンでも前後の人数調整で処理しようという意識が見えるケースが増えている様に思えます。
結果的に3バック気味になる瞬間もありますが、ここら辺は人数が足りているかどうか、という事と余った方のセンターバックがカバーできると言うことでセーフという判断なんだろうと思います。
逆に言うと、サイドバックの選定はその部分が結構効いているという事なのかもしれませんが、宇賀神の起用が増えた事の一員なのかもしれないな、と思います。

さて、試合に話を戻すと前回の対戦と比較しておとなしめの試合展開が続き、どちらもそれなりに深く侵入も出来るし、クロスやコーナーのチャンスを得る事が出来ていますが、どちらかというと浦和がトランジション時に空いたスペースを攻めることが出来ているかな?という具合。
もちろん、その中心には柏木がいる訳ですが以前も書いたようにコンディションの良さを感じさせる柏木は守備時のマイナスが減る事によって収支は必然的にプラスに回る訳で、純粋にボールの扱いでトランジション時に人をはがせる、であったり良い位置にボールを展開できると言ったスキル以上に周りの人間を動かして「場面」を作ることが出来る、という点でスペシャルな部分を存分に見せてくれている様に思います。

浦和がうまくプレーサイクルを回していけている場面では必ずコーチングが機能していると思うのですが、その役回りの筆頭が柏木なんだな、という。
その視点で見てみると杉本なんかも相当いいコントロールをしている場面を見ることが出来るというのは是非覚えておいて欲しい所ですが。

後半に入ってからもお互いに右サイドを攻め合う展開。お互いに陣形を広げて相手のプレスの食い付き具合によって攻め手を変えていきます。浦和はマルティノスのインスイングのクロスや興梠へのディフェンスライン裏への配球などを狙っていきますが、裏への配球はプレスで詰まってきたところからの回避以上の成果は中々見られず。
鳥栖も浦和のブロックを攻略するには連動面で物足りなさを感じさせる場面が続きますが、それでも体で押し込んで64分にPKを得ます。
これは鳥栖がミスをしたことにより失点を回避。浦和はPKと同時に汰木と長澤を投入します。これにより、柏木が一段上に上がります。これは、前線で柏木が仕事を出来るように、中盤は交代選手の運動量を維持していれば状況を維持できるという事を意図したものなのかな、と思います。

終盤の交代では山中がサイドハーフに入るなど、なりふり構わずという体制で逃げ切った浦和ですが、トランジション時に柏木がボールを持つことが出来ればしっかりとチャンスを作ることが出来る、という事を改めて実感させるものでした。これまではサイドハーフの位置から中に入る動きを中心としてボールを受ける形が多かったですが、2トップの一角に入って下がってボールを受ける、という形でも一定の成果を上げる事が出来ることを示しました。

ただ、これは相手のトランジション設計や配置の距離感などによって成否が決まりますので、今節の鳥栖の様なチーム相手でないと難しいかな、という思いもあります。どちらかというとオプションとしてのニュアンスが強い。
そして、これによって興梠に多くのタスクが寄っていってしまっている状況が続いていましたが、柏木も多くのタスクをこなすことになるのかもしれない、というシーンでもありました。
ボールをキープできるかどうか、キープした上でボディアングルを作ることが出来るかどうか、という部分での課題を柏木と興梠でしか解決できていないという部分は、他の選手たちの奮起に期待したいな、と思う次第です。

柏レイソル戦 感想

さて、クリスティアーノが復帰した事によってオルンガ第2形態が浦和の目の前に立ちはだかる事になった今節ですが、「実は、柏ってオルンガじゃなくて江坂がヤバいんじゃない?」という観測も一部ではあった通り、江坂に苦しめられた記憶があります。
浦和として、どのように戦い、そして試合終了を迎えたのかを少し考えながら見ていきたいと思います。
実は、ちゃんと試合を見ることが出来ていなかったので、これはほぼ初観戦、という事もあって楽しみです。

今節もマルティノスがスタメンですが、ここ数試合で見せたサイドでの推進力やカウンター時の威力を見れば、打ち合ってくれる相手に対して非常に有効なカードである事は間違いがありません。
2トップに武藤と興梠を配置しましたが、予想される展開として興梠が中盤を助ける事で汰木・マルティノスの両翼がどれだけ事由を得ることが出来るか、が焦点になるのかな、と。

柏のビルドアップはセンターバックが開き、前線が浦和のバックラインをピン止めしつつ浦和のプレス時の振る舞いに合わせてオルンガが下りたり中盤が配置を維持しながら前進を試みます。柏は前線に届けるルートが豊富な事もありますが、オルンガに当ててもよし、サイドから早めにクロスを上げるもよし、と浦和のディフェンス陣を楽にはさせてくれません。
前線にオルンガ、江坂、クリスティアーノと注意すべき選手が豊富にいる事もありますし、江坂に至っては中盤で起点にもなれる非常に厄介な存在です。トランジション時に江坂がボールの逃げ道として存在しつつ前線でも厄介な仕事をこなす事で浦和の陣形も中々前で圧縮しきれません。

押し込まれてからのトランジションの逃げ場にマルティノスが出てくるケースが頻発しますが、橋岡のサポートとの連携を取る場面は少なく、インサイドでスペースのある状態で貰えればインスイングのクロスなどでチャンスを演出しますが、橋岡との連携が見られない事を織り込まれたからなのか失点シーンはマルティノスがボールを狩られた所から江坂に独走を許してシュートを決められてしまいます。直後に挽回できるチャンスがありましたが、これは不発。

全体的に、双方積極的に攻め合う展開でしたが、浦和はネガティブトランジション時に柏の前線への配球を阻止したい狙いは見えるものの失点シーンの様に押し込み切れない段階でライン間、またはミドルサードでボールを失った時に簡単にボールの前進を許してしまうなど、どちらかというと柏のペースで進んでいた前半だったんじゃないかと思います。
マルティノスのインスイングのクロスは可能性を感じさせるものの、そこに拘泥する様子も見られ、守備時のポジションのズレも致命的でないものの少し気になります。

後半に入って早々、浦和は積極的に仕掛けていきます。トランジション時にやっと汰木からのクロスやライン間でのパスの出し入れからシュートを狙っていきますがゴールを割りきれないシーンが続きます。
どうも、後半に入ってからトランジション時にマルティノスは持ち過ぎないように意識している様にも思えますが、興梠のボールの引き出すタイミングが早まったせいなのかもしれません。

ネガティブトランジション時の戻りの速さに改善が見られる一方、ボールを保持して前進する際には足りない人数を揃えながら3段階くらいのステップを踏んで進むシーンや、速攻を打つ場面でもしっかり並走できるポジションを取りつつ柏のディフェンス陣を背走させて余裕を削りながら惜しいシュートを打つ場面が見られます。

同点弾も惜しいシュートを柏のゴールキーパーが弾いた事によるコーナーキックからでした。これはジャッジリプレイでの検証で汰木がオフサイドポジションにいた事が明示されましたが、線審の位置からでは見にくい場所でもあったのは仕方のない所なのかな、と。無邪気に喜ぶわけにもいきませんが、これもサッカー、という場面なのかな、と思います。

後半になってからはマルティノスがケアされていった反面、汰木へのサイドチェンジや興梠への裏への配球が効果的に決まる場面が増えていきます。
特に、汰木の充実ぶりは今節は目を見張りましたし、サイドチェンジ後のボールを受けるまでの駆け引きでトラップ一発でプレッシャーを交わした場面なんかは、これまである種切羽詰まった感のあった振る舞いからは想像できないものだったのでちょっと感動しました。

そういえば、今節での大槻監督の交代のカードを切る場面とタイミングはピッチ上の現象をしっかり見ながら打っているな、という印象はあります。
レオナルドの投入後、若干流れが悪くなってきたところで杉本と柴戸を投入、中盤を助けるタスクのフォワードと中盤のカバーを行う人間を入れて自分たちが起こしたい現象に対して手を打っているなと感じさせるものでした。ただ、それが結果に繋がるかと言うと確約されるものは何も無いのがサッカー、杉本の惜しいヘディングもありましたが、最後までゴールを割る事は出来ずに試合終了の笛を聞く事になりました。

総じてみると、真っ当にぶつかり合った結果、多少の幸運もありつつ互角な展開で見ごたえのある試合だったと思います。
ただ、失点のシーンの様に試合中で効果的だと実感したプレーに拘泥して周りの状況とそぐわない振る舞いをしてしまうとしっぺ返しを食らうよね、という事もまた突きつけられた試合でもあったので、このゆらぎの部分をいかに自分たちのコントロール下におけるかどうか、というのは負ける様な試合を減らす意味でも大事なんじゃないかな、と思います。

そして、やっと現実の時間に追いつきます。
次は仙台戦。6点を取って圧勝した試合ですが、前回対戦とどの様な違いがあったのかを楽しみに見ていきたいと思います。

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