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【セレッソ大阪vs浦和】【浦和レッズvsサガン鳥栖】2020 J1リーグ 第14節、第15節【ぼんやり振り返り】

前回はヴィッセル神戸戦と大分トリニータの振り返りをしてみました。
4-1-4-1の圧迫感にやられた神戸戦と、相手陣形を押し込んでからの回収サイクルが上手くいった前半、修正してきた大分と入る選手のキャラでやり方が変わる後半と目まぐるしい流れでしたが、今回のセレッソ大阪とサガン鳥栖との試合も見応えがあったのかな、と思っています。

特に、ルヴァンカップで既に対戦済みのセレッソ大阪については上手くやらせてもらえないな、という試合を経験している事から今節ではどんな打ち手をぶつけてくるのか、という所に注目したいと思います。
ルヴァンカップでは浦和とセレッソ大阪の4-4-2同士の噛み合わせはありましたが押し込んでからの回収サイクルが上手く回っていた(ように見えた)時間帯から、後半の修正で一気に形勢を引き戻されてしまった試合でしたが、なんで3-0なんて事になったのか、という部分を考えたいな、と。

セレッソ大阪戦 感想

試合序盤のセレッソ大阪は浦和のビルドアップ阻害について、インサイドへのパスコースを制限しながら後退させるような配置をとりつつ、ロングボールの回収、回収後は浦和の配置を動かしながら柿谷を起点に定めながら前線での攻略を狙う形。

浦和は最序盤にコースを切ってくるセレッソ大阪の配置に対して中間ポジションでビルドアップからのボールを受けながら主導権を持とうと狙います。
関根と山中の左サイドの関係性は、攻撃時は関根のポジションに合わせて山中がレーン移動、守備時は山中のポジションに合わせ関根がレーン移動。
トランジション時は空いたスペースと関根の関係性に合わせて、みたいな感じなのかもしれない。

20分を越えたあたりから浦和は中盤を取り所に設定してきた感。
関根が中央にポジションを寄せながらプレッシャーをかけようとしていたが、セレッソのサイドハーフが浮くのをどう見るべきか。
給水タイム後から浦和はビルドアップ時の横軸ずらしがバックラインに見られるように。配給先が見当たらない事からなのかな、と思うがこれによってセレッソ大阪側にセットプレーからの回収サイクルが出来上がる。
ゴールキックになった所で主戦場を前線に持っていきたい浦和なんだけど、興梠がボールを収められなかったりしたのが痛い。
そもそも、ブロックを作られると厳しいという印象は既にあるはずなので攻め急ぎとも言えるんだろうけども。
少し開き直ってサイド深くに狙って配球出来たらトランジション勝負出来るんじゃなかろうか、と思ったりもした。

32分くらいでも顕著だけど、数的同数でパスコースもそれほどない状態ではセレッソもしっかりプレスかけてくる。
そこら辺は中盤の配置とか見てやっているのか、コーチングがあるのかは音声が無いから何とも言えないけど浦和としては早い時間帯で混沌の淵にようこそしたい展開だろうな、と。
36分辺りの浦和の攻め筋も少し不安になってくるのだけど、狭い局面で崩していこうという動きがチラホラ。
狭い局面で人数を書けた結果、トランジション時に割とクリーンな状態をセレッソ側に提供してしまっているのは気がかり。
こうなってくると陣地回復に個人の力で押し通す!みたいな動きや相手のミスが無いと前に進めないのだけど、セレッソのブロックがシュートまでいかせてくれない。
らいかーるとさんがセレッソの4-4-2はお手本のようだ、と形容していたけど局面における人数の多少とか制限の仕方とかつけ入るスキが少ないなという印象は確かに。

前半から既に得点の香りをさせるセレッソと最後の牙城を崩せる気配が出てこない浦和、という構図が出来上がっていてちょっと辛い。
ルヴァンカップの時は浦和にレジリエンスが正常だと誤認させていたと書いたけど、今節はそもそもレジリエンスが機能しているとも思わせてもらえない試合展開というのは「やられている感」が強まって強い気持ちを要求されるなぁ、という感じ。

後半の最序盤に浦和がトランジション時に人数をかけながら横断し、チャンス目前という所で橋岡のパスが相手に渡ってしまった場面、レオナルドを囮にして興梠に配球したかったんだと思うけど、その後のネガティブトランジションでの挙動が失点シーンを呼んでしまった様に見える。
もちろん、都倉のヘッドは素晴らしいものだったけど後半早々にこの入りは少し集中力を欠いてしまっているのでは、と思わないでもない。
失点後は両サイドのクロスを頼りに挽回しようと試みるも、トランジションからの陣形回復が非常に早く、サイドに展開出来た頃にはクロスに対する準備が出来ている場面がほとんど。
それでもシュートにまでこぎつけるのは流石と言えるのだけど、可能性が高いかと言うと、それは難しい。

武藤・杉本、汰木と積極的な選手交代を見せたけどスペースが出来てきたと見た所での汰木の投入は良かったのかもしれないけど、トランジション時に汰木にサポートが入れられたかと言うと中々難しい局面が多かったのかなと。汰木が独力で突破できるだけのモビリティを備えた時が楽しみですが、トランジション設計について汰木に対しては策を講じてあげないといけない状況はまだ続くのかもしれないな、と思ったり。

3失点目は、初見の時にもツイートしたと思いますが西川が岩武をもっと信用してあげていたらなかった失点。
もしかしたら、西川としてはそのまま蹴り込んで攻撃に繋げたかったのかもしれないけども。
ちょっと、岩武が可哀想な失点だったな、という感じでした。

今節は、総じてみるとしっかり立ち回られたな、という試合でしたがセレッソの復元性の高さはロティーナ監督の手腕が光っているなー、と思うと同時にどこかの記事でセレッソのやり方をしっかり言う事聞いてやり通せる選手も凄い、という言葉を思い出すわけです。
実際に、バックラインにしても中盤にしてもここまでしっかりと戦術的に仕事を行えないとこの様な試合にはなりませんし、大分戦の前半の最序盤や終わりごろに見えた浦和の課題にも通じるものがあるのかもしれないな、と。
今シーズンに関しては以前にも述べた通り、浦和レッズとして多様な個性を持った選手を受け入れるだけの器を作る段階だと思っているので、この一大事業を見届けよう、というスタンスでいますが、この先どの様になっていくのか楽しみ半分、不安半分はまだまだ続くな、と。
というわけで、次は鳥栖戦ですが・・・文字数・・・!?

サガン鳥栖戦 感想

サガン鳥栖は新型コロナウイルスの影響でしばらく期間が空いていましたが、コンディション調整など相当に気を遣わなければならない期間を越えて横浜FC戦では3-0と気合十分な結果を残してからの浦和戦だったわけですが試合開始からお互いに積極的にプレッシャーをかけ合う展開。

この試合ではまだスタートポジションが右サイドハーフだった柏木ですが、中盤にボールを当てて横断しながらパスアングルを探るなど、より展開しやすいアングルを求めて中央にポジションを動く傾向は変わらずといった趣。
ただ、鳥栖も柏木のスライドが間に合わない事を狙ってかサイドチェンジで浦和の右サイドを狙っていきます。橋岡が釣れればそれでよし、柏木が間に合うならやりなおし、くらいの勢いだったんじゃないかなと。
浦和も左サイドハーフに配置した関根を積極的に使おうとし、展開としては対角線での仕掛け合い。
しかし、11分の浦和の失点は対角を意識した結果なのか重心を上げたところで縦に大きく通され、クロスからの失点。
岩武はセレッソ戦での失点を挽回して欲しい所でしたが、結果的に反応が遅れてしまった事が悔やまれます。とはいえ、改めてケアしなければならないエリアの優先順位を思い出す流れでした。

浦和は給水タイム後から横に早くボールを動かす事でパスアングルを作り25分の興梠の惜しいシーンを作ります。
軸をずらす、縦に早く、という部分で狙いは見えたシーンだと思いますが、ここら辺の積み重ねやインテンシティの維持が出来るかどうかというのはひとつの見所なんだろうな、という気はします。
こうして見ると、浦和はひとつひとつの試合を積み重ねる事で局面やフェーズに対してどの様に振る舞うべきなのか、という武器を少しずつ積み重ねていく事は出来ているのかな、と思ったりもします。
少し時系列が飛んでしまいますが、川崎フロンターレ戦で見せたボールを早く動かす、インテンシティを高くやり続けるという部分でひとつの集大成に近いものを見せることが出来た試合もいくつか頭の中に浮かんできます。
そのフェーズに対しての振る舞いは追々まとめてみようと思いますが、悲観的な観測が出てくる要因というのは今思えばそれほど無いのではないか、と思えるチャレンジを浦和は見せてくれているのではないかと思います。

少し試合の話からはそれてしまいますが、柏木がセントラルハーフに戻ってきた時に大槻監督はコンディションを理由に挙げていました。
恐らくではありますが、この鳥栖戦でも柏木のコンディションを測りながら見ていたのかもしれません。実際に、柏木の動きは少なくともスプリントやインテンシティの面で相当に向上していた節があります。
昨シーズンの疲れ切った動きから考えると見違えているんじゃないかと。
無論、トランジションが激しく変動する様な試合ではさすがに難しさはありますが柏木を起用する事での収支は利益側に傾いているのではないかなと思える動きだったと思います。

さて、試合に戻って。
VARがあったら審議対象になっていたかもしれないプレーが前半終了間際にありましたが、後半は開始早々からボール回収やネガティブトランジションでの予防が利いているな、と思わせるシーンが続きます。
一瞬、橋岡が外されてシュートを打たれますが、その後の速攻から1点を返します。トランジションで優位に立った、というよりは鳥栖の緩いプレーに助けれられた側面はありますが後半の入りから浦和が積極的に仕掛けていった結果、と言えるのではないかと。

そして鳥栖の2点目以降はややオープンな展開になると思いきや、思いのほかインテンシティ高めの流れが続くんですね。
そんな中でも途中交代で入った杉本だったり、エヴェルトンだったりがコースを作るサポートの動きだったり相当脳内のリソースが削られている状況ながらしっかりと動けている様に見えるのは流石だな、と思いますし・・・って79分の西川のファインセーブ!

そして80分の武藤のナイスゴールが生まれる訳ですが、シュートを打つ前のボディアングルの作り方とか素晴らしかったですね。
よーし、これで!と思いきやそうもなかなかいかないのが難しい所。
少しばかり(主に怪我しそうという意味で)危ない場面も出てきたりしましたがお互いに強度を保ちながらスリリングな試合となったのではないでしょうか。
惜しむらくは、85分の杉本のシュートとかステップが合わなかったのかもしれませんがバチンといってもらいたかった。

という訳で引き分けに終わった試合でしたが、総じてみれば積み重ねは間違いなく見えてきているのでは、という試合でした。
それぞれのフェーズで確度を持って狙う事が出来る打ち手を増やしていく事を目的として見ていくのであれば、ビルドアップ時のバックラインは槙野にせよデンにせよ持ち上がる事にチャレンジしていますし(その後の展開についてはまだまだでしょうが)、中盤についても関根のモビリティは相変わらず良い武器だと思いますし、柴戸が攻守両面で自信をもってプレー出来ている場面が増えている事に期待が膨らみます。
柏木についても前述の通りコンディションは相当に良くなっているはずで、右サイドハーフでも十分計算できる状況だな、と思える試合だったと思います。
レオナルドについてが一番懸念されるところではあるのですが、シーズン序盤の「なんやかんや点を取る」という場面が少なくなっていっているのが気になります。もちろん、プレス時のカバーシャドウとか上手いんですよ。しっかりコースを切っていますし。
ただ、プレスのタイミングであったりメンタルコンディションと周りがうまく連動してくれない場面でフラストレーション溜まっているのでは、と思う場面もチラホラ。結果的に、レオナルドが本来やらないで良いのであればやらない方が良い仕事までやらざるを得ない状況になっている事は彼にとってマイナスなのでは、とも思っています。
その為にフォワードの相方がやるべき事は、と考えていくと興梠がどうあるべきか論になっていくので今のところは詳しくは控えますが、昨シーズンも考えていた浦和の今後についてそろそろ「アフター興梠」の事を真剣に検討すべき時期なのではないかな、と思ったりもします。

彼に依存しすぎていた部分もありますし、興梠が輝ける場面を作ってあげる事も出来るはずなんですけど、今のところはまだまだ興梠の所で無理を利かせてもらえると助かるという場面が少なからずある事は否定できないな、と。
それが、この先の試合でどの程度改善される見込みがあるのかどうかも含めて、強い気持ちでゆるゆる見返し感想を続けてみようと思います。

お次はコンサドーレ札幌戦と川崎フロンターレ戦。
さっき、時系列は~って書きましたけど、意外と近かった!(笑)

それではまた。

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