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住友ゴム(ダンロップ)の除電特許 その2

ではどうやって帯電を解決するのか?

”その1”の続きです。このページから読んだ方は、一つ戻って読んで下さい。住友ゴム(ダンロップ)の特許公報を基に解説しています。
正直、ここまで突っ込んでブログを書いている人はまずいないと思います。

パリ オリンピックが終わりましたが、実はタイヤを使う競技にマジ軽ナットを採用してもらおうと動いていました。例えば、あるスポーツクラブです。
その会社の社長を知り合いなので、自転車のプロチームに提供しようと伝えました。社長さんは「そんな技術があるなら、監督に電話させます」となったのですが、電話はありません。もう一度社長さんに伝えると「えっ、電話ありませんか?もう一度伝えます」となりましたが、結局、連絡はありませんでした。
おそらく、監督は自転車競技の経験も実績もあるのでしょうけれど、技術の知識が無く、マジ軽ナットのパンフレットを読んでも意味が分からないのだと思います。
すごく簡単な事で、動きを邪魔している物(静電気)を取れば、その分少ないエネルギーでも同じ走行が出来る、ただそれだけです。ローフリクションチューニングと同じで、抵抗が減るから効率が良くなる。
私ならタイヤもそうですが、カーボンのフレームも除電します。なぜかと言えば、カーボン繊維は電気を通しますが、樹脂は電気を通しません。
だからものすごく帯電するのです。仕事がら微弱電気が流れる樹脂が手に入るので、小さな部品は自分で成形しています。
これからパラリンピックが始まりますが、車いすでも静電気は帯電します。
まして手でタイヤを回すのですから、転がり抵抗は少ない方がいい、走行安定性が高まれば、競技にも間違いなく有利なのですが…。
次のオリンピックまでには、エネルギー保存の法則を知っている会社かチーム監督に採用されるよう頑張ります。

ものごとを解決するには原因を知る必要がありますが、何が原因か分かっていたとしても解決出来ない事がままあります。それが新しい技術が生まれて解決出来る、そうして人類は進歩して来ました。
このケースはまさしく、原因は分かっているけれど解決出来ていない問題でした。

”その1”に続き、赤のアンダーラインの専門用語を太字にして、一般の方にも分かりやすく通訳してから解説をします。

・転がり抵抗の低減とウェットグリップ性能を得るためにシリカを配合している。

自動車メーカーは少しでも燃費を改善する為に、タイヤを大径化しています。それに伴いタイヤ幅を細くしているのは転がり抵抗を軽減する為。
接地面積が少ない方が転がり抵抗が少なくなり、燃費は良くなります。
空気圧を規定値より上げれば、転がり抵抗が減って燃費は良くなりますが、路面の凸凹を拾い過ぎて、乗り心地やグリップ力が悪くなるのは、ご存じの通り。
タイヤメーカーとしては、ゴムの材質で転がり抵抗を減らす以外に方法はなく、燃費改善目的でシリカを配合したという事です。

2ページの最後の部分とその続き3ページ目です

・導電性カーボンブラックが一定重量以下(少ない)だと体積抵抗率が下がらず、配合量が3重量部(実施例3を指す)を超えると転がり抵抗が大となる。導電性カーボンブラックの配合量を増加させるほど体積低効率を下げることが出来、耐摩耗性も向上する。

導電性カーボンブラックの配合割合が少ないと、カーボンブラックと併せても電導性が悪く、多く配合するほど転がり抵抗が大きくなって燃費が悪くなる。導電性と耐摩耗性を考えれば、導電性カーボンを多く配合するのが良いが、燃費の要求があるからそうも出来ない、ジレンマとなっていて、ゴムの原料だけでは今のところは解決出来ていません。

その後のページでは、実験結果のデータが書いてあります。この特許公報をまとめているのが7ページです。
その内容は、カーラジオ等の電気機器にノイズ(雑音、電波障害)を抑止するには、タイヤの原料に元々混合していたカーボンブラックに電導性カーボンブラックを多く配合すれば解決する。ところが、それでは転がり抵抗が増して省燃費にならない。
それで、導電性カーボンブラックを最低限量配合するに留めて、カーラジオにはノイズが入らない妥協点の配合量を見い出した、という特許内容です。
それでも路面への放電量が不足しているので、タイヤの一部分だけに導通性の高い部分、いわゆる導電スリットを設けて少しでも路面に放電量を増やそうとしています。
それを動画にされた方がいて、メーカーにメールまで送って確認しています。メーカーも丁寧に対応してくれていますね。

確認しただけで、導電スリットは4輪ではダンロップ、ブリヂストン、横浜タイヤ、オートバイではミシュラン、ブリヂストンの一部のタイヤに採用されています。つまり、ほぼすべてのメーカーが静電気の帯電で困っているという事です。
このようにメーカーは知っているでしょうけれど、電気が流れる先は殆どがアスファルト舗装、導電率が低い物質です。路面への放電は当てにならないので、マジ軽ナットから放電する。取り付けは極めて簡単で工具も不要。
3分もあれば取り付け終了です。
トヨタの特許文献を調べると「タイヤの導電性が足らずに、ラジオにノイズが入った」という記述があるので、おそらくはユーザーからトヨタのディーラーに「カーラジオにノイズが入る」というクレームから始まり、タイヤメーカーにその改善要求があって研究して特許を取得した。元テストドライバーとして、そう推察しています。

このようにタイヤメーカーは、車体に蓄積(帯電)され続ける静電気をタイヤから路面に多く放電させたいので、燃費を気にしなければカーボンブラックを多く配合させたい。しかし、多く配合すると転がり抵抗が多くなってしまう。
省燃費の要求性能が強く求められるようになり、それを達成する為にシリカを配合した。すると、相対的にカーボンブラックの混合比率が落ちてしまい、帯電量が増えてしまってラジオにノイズが入ったり、電気機器に電波障害が起こる、これが”その1”のタイトルの「せめぎ合い」という意味です。

この特許で少し位の帯電量では、ラジオにはノイズが入らなくなったかも知れません。しかし、あくまで妥協点を発見しただけです。うがった見方をすれば、燃費を少し犠牲にしたクレーム対策とも言えますね。
日本人は疑い深く、知らない事は受け入れない方が多いので「タイヤが帯電しているのを放電させる」工夫をご紹介します。乗用車のタイヤ側面を見て下さい。車をお持ちでない方でも停めてある車でOKです。
丸で囲んでいますが、ほぼ全周細かい筋が掘ってあります。20年程前にタイヤを見て「なんでこうしているのだろう?」と思っていました。だってそうでしょう?筋を作るのには金型を削るというコストがかかるのですから。
この筋は路面への放電量が不足しているので、側面からも放電量を増やす涙ぐましい努力の痕跡なのです。少しはお役に立ったでしょうか。
しかし、ゴムから放電させるのは路面よりあてにならない。
だからトヨタも金属を使っているし、マジ軽ナット特殊金属なのです。

タイヤから放電させたい証拠です

タイヤの導電性について、今後はどのような技術が開発されるかは分かりませんが、現状では、タイヤのゴムの原料で低燃費性と高い導電性の両方の要求を解決する方法は見つかっていません。それを解決するには、ゴムの原料以外の方法で解決するしかありません。

タイヤの三つの役割です

1.駆動を路面に伝える
2.クッション性を確保する
3.車体に帯電している静電気を路面に流す

この3つの要素をバランス良くする事で、相乗効果が起こります。逆にバランスが悪いと悪い循環に陥ります。これはマジ軽ナットでの除電についても同じ事が言えます。その除電技術で3番を大きく引き上げます、するとそれに伴い1番2番の性能も向上します。
「タイヤの回転が良くなるだけではなく、振動が減った。コーナーも曲がりやすくなった」とのインプレッションを頂きますが、タイヤの三つの役割の能力が上がったからで、私からすれば当たり前の事です。
タイヤが軽く回った方が、タイヤの負担は減りますよね。除電は走りが良くなるばかりではなく、タイヤの寿命が延びるからコストも下がるのです。

今使っているタイヤを走行距離何㎞で交換したのかを記録している方は、是非、次にも同じタイヤにして記録し、比較して下さい。
それをしているマジ軽ナットユーザーの方からすでに「寿命が長くなった」と報告を受けています。もちろん、私はそうなるであろう事は知っていました。除電は物価高騰が止まらない今の時代に合ったコストダウンにもなるチューニングなのです。

グリップが良いタイヤは路面の凸凹を拾い過ぎて乗り心地が悪くなったり、転がり抵抗が増えてハンドルが重くなったりする場合があります。
ところが、除電によって接地感(路面を捉えているフィーリング)が増すのに、ハンドリングが軽く良くなり、振動や転がり抵抗が減るというタイヤショップさんもビックリの走りになる。
これが「タイヤメーカーの設計思想に近づく」という意味です。タイヤ自体は潜在能力を持っているのに、静電気が邪魔をしているのです。
静電気の悪影響を除電して走行性能を上げるのが、トヨタのアルミ板を使って除電する方法で、実際にレースで使われている技術です。

これも素晴らしい特許で、知名度も高いです。トヨタ純正のアフターマーケットパーツとしても販売されています。ただ、接着剤で貼り付けるので、再利用が出来ません。面積で除電するので、ある程度の面積と比較的平らな場所にしか貼り付けられない、入り組んだ場所や回転する部分は剥がれると危険ですから使用出来ません。
つまり、キーポイントである”地産地消”、つまり静電気が発生している場所で除電出来ないケースがあります。

この動画の解説にありますが、車体に帯電している静電気がボディーを伝わって来て、ハンドルのコラムからドライバーに伝わって来た所で帯電する。それをシューズメーカーのアキレスと開発した、除電するドライバーシート(オプション)で 除電する。つまり、車体からシートまでは常に静電気が帯電しています。
静電気が流れていて”地産地消”ではありませんから、伝わってくる間に悪さをするはずです。これには根拠があって、電気の特性で放電している箇所めがけて静電気が流れて行きます。川が上流から河口に流れるのと同じですね。
車体を流れて行く間には、どこかの動く部品を通って流れて行く場合もあります。すると、その部品の動きが悪くなる。

工場で使っているような、一度に大量の静電気を除電する装置を付ける方法もなくはないですが、まず装置自体が重い、外部電源が必要、そして値段が高い。車やオートバイの場合は、やはりトヨタも考案したような、電気を使わずに自己放電する方がメリットが大きいのはお分かり頂けるでしょう。
そうなると、トヨタの特許かマジ軽ナットのどちらかを使うしかありません。トヨタの特許も素晴らしいのですが、残念ながらタイヤ用としては販売されていないようです。
タイヤを設計思想に近づけたい方はネットショップで簡単に購入出来ます。梱包料はなし、送料実費でお届けしております。

マジ軽ナットシリーズはホンダのエコランや工業高校の授業、一部レースでも採用されています。
お知らせ
毎月出店しているエクスチェンジマートに出店の申し込みをしました。
今月は8月18日(日)早朝5時から開催の予定です。5時前からすごい数の来場者が並ぶオートバイや自動車に特化していて、昔風に言うなら部品交換会です。

天候による延期の可能性がありますので、開催場所も含めてホームページでチェックをお願いします。毎回、このような感じで出店しています。

馴染みのマジ軽ナットヘビーユーザーも来店します

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