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広告デザイン界のトップスター大貫卓也さんがAR表現に挑戦したHiroshimaAppealポスターが体験できる。

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広告の世界で育った僕たちにとって、大貫卓也という人は特別な存在です。永遠に超えることのできないと感じる壁であると同時に、同じ時代に広告世界を生きてきたことを嬉しく誇りに感じる存在。これまでどれだけ、大貫さんの仕事集のページをめくってきたことか。

そんな大貫さんが、JAGDA、広島国際文化財団、ヒロシマ平和創造基金が主催・実施している「ヒロシマ・アピールズ」の本年度版のポスターを作った。デジタルな広告世界にあまり踏み込んでこなかった大貫さんがチャレンジしているAR表現。

こちらは、アドタイに引用されている大貫さんのコメントです。

「長年、広告という多くの人へ伝えることを生業にしてきました。今日よりも、少しでも明るく楽しい未来を提示することが広告だと思っています。しかし今回、わたしは原子爆弾の脅威を今の若者へ歴史としてではなく、ライブ感をもって伝えることが、原爆という事実を風化させずに、心に刻むことになるのではないか、そのほうが希望のある未来に協力することになるのではないかと考えました。原爆を体験した語り部が減少していく現在、原子爆弾という存在をきちんと後世へ伝えていくヒロシマ・アピールズという活動に関わることは表現者として身の引き締まる思いです。

今回のポスターはAR(拡張現実)を使用したポスターです。スノードームには平和の象徴である白い鳩が入っています。そして、通常ならスノードームには白い粉が封入されているものですが、この作品には黒い粉が封入されています。携帯をこのポスターにかざすことで、このポスターは動き出します。それも、時間を巻き戻すように。やがて黒い粉がドームの中に充満し、平和が踏みにじられた様子、戦争、原子爆弾、黒い雨などが想起され、戦争をリアルに感じることとなり、胸をしめつけられるかもしれません。その黒い粉はやがてゆっくりと地上に落ちてゆき、そこに微動だにしない白い鳩があらわれます。スノードームとは本来、ゆっくりと雪が落ちてゆく様子を見ることで各々に自分なりのストーリーを想像させる、そんな装置でもあると思っています。この作品は、原子爆弾にリアリティーを持たなくなってしまった世代の若者へ、一瞬でも、考え、想像させる時間を持ってもらうための表現として考えています。さらに言えば、戦争や原爆についてガラス越しに俯瞰して眺めている人に対して気が付いてほしいこと。それは、ガラスに閉じ込められた白い鳩はまだ自由に飛び立ってはいないということ。白い鳩が、世界中で自由に飛び立つ日が来ることを願っています」

こちらで体験できます。https://www.jagda.or.jp/news/5681/

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