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【アート旅】ルーヴル美術館展 愛を描く in 国立新美術館

 こんにちわ。TRIP_YUKOです。先日、国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 愛を描く」に行ってきました。

 国立新美術館は、常設展がなく企画展示のみ行われる美術館です。大規模に行われる美術展、特に著名なものは大体まず国立新美術館で開催されるので、国立新美術館の展示はいつも楽しみです。

 今春は世界的に有名な「ルーヴル美術館」の所蔵品から。こうした世界的に有名で貴重な絵画が日本にいながらにして見られるのはありがたい限りです。

 コロナの入場制限も緩和され、チケットも取りやすくなりましたが、それでも一週間前の時点で朝イチや昼イチの良い時間は完売していました。国立新美術館はとても大きく、入場可能者も多いはずなのにこの状況。人気はすごいですね。

■愛がテーマ

 今回の展覧会のテーマは「愛」。神々の愛、キリスト教の愛、恋人や家族の愛、官能の愛、悲劇の愛…など色々な形の愛が描かれた、16〜19世紀の73点の名画が展示されています。
 目玉はフラゴナールの「かんぬき」というフランス名画。26年ぶりの来日です。

■国立新美術館の展示にハズレなし!

 国立新美術館の展示は昨春の「メトロポリタン美術館展」以来の来訪。
 前回のメトロポリタン美術館展は2回見に行っちゃったほど素晴らしい展示だったのですが、国立新美術館の展示はやっぱり凄かった!

 ここ数年美術館や美術展に行き、素人ながらになんとなく質や保存状態などの違いが分かるようになってきました。

 今回のルーヴル美術館展も明らかに質が高い。絵画の保存状態が良いのはもちろん、絵画や美術に詳しくなくても凄い!と思わせる、有無を言わさぬ絵画そのものの画力。やっぱり国立新美術館の展示はハズレがありません。

■音声ガイドは女優の満島ひかりさん

 展覧会の楽しみの1つが音声ガイドです。美術に造詣のない私にとって音声ガイドの説明はとてもわかり易く、カジュアルに楽しむことができるアイテム。
 人気の展覧会の場合は混雑で絵画のキャプションに近づくのが難しい場合も。遠くからでも絵について理解できるので便利です。キャプションには書いていないことも話してくれることが多く、より絵画への理解が深まり、より楽しめるのもポイントですね。

 大きな展覧会だと、著名な俳優さんが音声ガイドを担当されることが多く楽しみのポイントでもあります。ルーヴル美術館展では、実力派女優の満島ひかりさん。安心して聞くことができました。

■心惹かれた作品TOP3

(購入したポストカードより拝借)

ドメニキーノ『リナルドとアルミーダ』

 詩人タッソーの叙事詩に出てくるワンシーンを描いた絵画です。劇中を切り取ったような分かりやすい見た目の作品。色んな比喩や暗喩が散りばめられていて、探して自分なりに解釈するのが面白そうな1枚です。

 十字軍壊滅の命を受けた魔女アルミーダが魔法でリナルドを誘惑したものの、恋に落ちてしまった2人。恋をしてしまったアルミーダの可愛らしさが表現されているように感じました。

 この後物語としては二人は別れを迎えます。恋は成就しませんが、二人が共有した穏やかなひとときがたしかに存在したし、二人の間にきっと嘘はなかったのだろうと優しい気持ちになりました。

サミュエル・ファン・ホーホストラーテン『部屋履き』

 一見、人物が描かれていない風景画。脱ぎ散らかった部屋履き、かかったままの鍵。人物は描かれていないのに人がいる、さっきまで人がいた香りがしてくる観る側の想像を掻き立てる1枚です。

 慌てて出ていったのか、それとも中に人がいるのか…?捉え方は見る人に委ねられています。
 見えているものは静止しているのに、その奥の見えない空間は動いているように感じられますね。
 ちなみに私が想像したストーリーは昼下りの情事かな。 

ルイ=ジャン=フランソワ・ラグルネ(兄)
 『デイアネイラを略奪するケンタウロスのネッソス』

 写真というより、本物が目の前にあるかのようなスゴすぎる画力が圧巻。
 私は写実的なものが好きなので、肌の質感がとても美しく描かれているところに惹かれました。むしろ写真や本物の人間よりも何倍も魅力的に感じる。

 ネッソスに抱えられているデイアネイラの白い肌が美しく、一目惚れして奪いたくなるネッソスの気持ちもなんだか分かってしまうような。(^_^;)
 よく言う「女性の白い肌」ってこういうイメージなんだな〜と男性目線が分かった気がします。

 4者4様の躍動的な動きの描写も凄い。モデルを同じ体勢にしたとしても絶対にこうはならないですよね。うーん凄すぎる!!!

■撮影可能エリアもあり!

 ルーヴル美術館展では、最後の展示エリアが撮影可能になっています。大盤振る舞い!

撮影可能エリア

 展覧会のチラシやポスターにも使用されている『アモルとプシュケ』も撮影が可能です。

アモルとプシュケ

■鑑賞のまとめ

 ルーヴル美術館の所蔵品がやってくるということで、もともと期待値が高かった展覧会でしたが期待値以上の満足度の高い作品群でした!

 今回のテーマは『愛』。テーマ名からしてヨーロッパの作品だし神話をもとにした作品達なんだろうなぁ〜と『神聖なもの』を想像していました。つまり直接的に言うと、裸が描かれていたとしても官能的な要素は無い絵画達。想起させない絵画をイメージしていたんですね。

 ところが実際に鑑賞してみると、哲学的なエロスが多くの絵から感じられ大変驚きました。表現力が素晴らしいというのは勿論ですが、そもそも表現していいんだということ。表現することの必然性・普遍性みたいなものを感じて、絵に自分の中で納得するものがありました。

アリ・シェフェール
『ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊』

 絵画には感情の機微がいつも表現されます。しかし、愛とりわけ恋や性愛は、ポジ・ネガが複雑に絡み合う難しい感情であることを今回の展覧会の絵画から感じました。またそんな難しい感情でさえも絵画でこんなに表現できるという芸術の凄さを見せつけられたように思います。

 やっぱり質が素晴らしい国立新美術館の展覧会。ぜひお見逃しなく!
 以上、【アート旅】ルーヴル美術館展 愛を描く in 国立新美術館のお出かけでした。

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