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「ある行旅死亡人の物語」感想

みなさま、お久しぶりです。前回の記事から1年が過ぎてしまい、さすがにさぼりすぎたと反省して久々に記事UPします。

震えるほどに面白い本

少し前になってしまうのですが、久々に夢中になって一気読みした本があったので、そちらを紹介したいと思います。

「ある行旅死亡人の物語」という本です。

はじまりは、たった数行の死亡記事だった。警察も探偵もたどり着けなかった真実へ――。
「名もなき人」の半生を追った、記者たちの執念のルポルタージュ。ウェブ配信後たちまち1200万PVを獲得した話題の記事がついに書籍化!

2020年4月。兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死した。現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑鑑......。記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。舞台は尼崎から広島へ。たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは?
「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。(Amazonより)

共同通信社に勤める2人の記者が、兵庫県尼崎市のとあるアパートで孤独死した女性の謎を追うノンフィクションです。

「会ったこともない女性の謎を追う」というコンセプトが宮部みゆきさんの『火車』に重なって感じられたのですが、本文にも『火車』の名前が出てきましたね。違うのは、こちらは調査対象が既に個人だということ。
そして事実は小説よりも奇なりで、解ける謎と解けない謎があります。けれどそれがまた、リアリティがあっていいんですよね。
読んだ日の私の仕事に大幅に遅れが出ましたが、読了の満足感には代えがたいので後悔はありません。

その人が存在していた痕跡

故人に対して不謹慎ながらも、謎解きの面白さがあります。けれど、それ以上にこの本は、
・「その人がその人であるという根拠は何か」
・「私が存在していたという痕跡は何が残るか」


という、ある種の哲学を投げかけてくる本でもありました。
私が死んだら、一体何が私の人生を想起させてくれるんでしょう?

そして私個人としては、もっと家族の写真を紙焼きで残そうと思いましたた。結局、後々まで残るのは紙焼きした写真なんですよね。
私は写真はたくさん撮るほうですが、ほとんどが私のスマホ→クラウド保存で終わっています。もし私が突然死とかしたら、娘の子供時代の大量の写真とかサルベージしてもらえるか分からりません。これからは、家族旅行の画像などもまめに現像しようと決心しました。

(「ある行旅死亡人の物語」本文より)

この個所が好きでした。完全はないと知りながらも、故人への興味や想いが記者2人を突き動かしていることが、よく伝わりました。

映画化の際のお願い

これだけ面白い作品なので、きっと映画化とかされるんじゃないでしょうか。その際に、制作陣のみなさまに私からひとつお願いがあります。

それは、「主人公のアラサー男女の記者2人に、恋愛ねたとかぶっこむのは止めてくださいね」ということ。そういうの全く要りません。あの二人は、色恋ナシのバディだからいいんですよ。
そこだけ、くれぐれもよろしくお願いいたします。

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電子書籍出版しました!
(Kindle版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間
(紙版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

レギュラーで書いている主な執筆媒体のご紹介です。
ぜひ読んでみてください♪

サライ.jp

「novice」
https://no-vice.jp/?s=Naoko+Kurata

「イエモネ」
https://iemone.jp/article/lifestyle/naoko_kurata_518/

「現代ビジネス」(不定期掲載)
http://gendai.ismedia.jp/list/author/naokokurata

「Glolea!」(プロフィール&執筆記事一覧)
http://www.glolea.com/ambassador/kurata-naoko/profile

「未来住まい方会議」(執筆記事一覧)
http://yadokari.net/author/kurata/

「TABIZINE~人生に旅心を~」(執筆記事一覧)
http://tabizine.jp/author/kuratanaoko/

「ima(今) 海外リポーターが伝える世界の生活情報サイト」 (執筆記事一覧)
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