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【No.18】採用工学のススメ ~現場から不満爆発のコネ入社がいつまでも無くならない本当の理由~

No.18

━━━━━━━━━━━━━━採用工学のススメ━━━━━━━━━━━━━━━━

    現場から不満爆発のコネ入社がいつまでも無くならない本当の理由

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 みなさん、こんにちは。藤原ユウマです。今週も採用工学のススメをお読み頂きましてありがとうございます。

 東芝の解体が止まりませんね。メディアでは連日「不正会計」が叫ばれ(もはや熱心に「粉飾」というワードを避ける姿勢が滑稽ですが)、グループ会社の解体に歯止めがかかる様子はありません。一時的な利益水増しという損失で済むはずだった会計問題を皮切りに、既存事業の至るところに穴があることが見えて来ています。何より大きいのは、米原発事業でおよそ7000億円の損失が出る見込みであること。結果的に、基幹事業である半導体事業や医療機器事業など、成長が期待される分野の事業を手放さなければならない所まで来てしまっています。

 さらに、一連の粉飾によって影響が出たのは自社だけではなく、東芝株の下落で資産が目減りしたことを理由に、既に損害賠償を求めている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を筆頭に、複数の信託銀行が東芝に対して損害賠償請求訴訟の準備をしているとのことです。請求額は計140億円を超え、敗訴すれば東芝の再建にも更なる打撃を与える様子。

 もはや泥沼という言葉がピッタリ当てはまる同社からは、成長事業も優秀な人材も離れていき、結果的に残るのは組織的な粉飾を容認していた経営陣と打開力の無い組織文化のみになってしまうというデッドエンドです。ここまで来たら、素直に法的整理をするしか無いと思いますが、国を代表する企業ということで政府が何らかの手を差し伸べる可能性も残っています。まぁ、その場合は税金の無駄遣いへ一直線なので、国民としては何も良いことは無いのですが。

 また、東芝社内では社員が転職活動を始めたとのことで、報道するまでもなく当然の流れですね。ここ数年は東芝に限らず、日本を代表する大企業の不祥事や粉飾、業績不振が目立ちますね。仕事柄、就職時の人気企業ランキングでも常に上記にランクインするような企業に入れたと喜ぶ学生や社会人の方と面談する機会も多いですが、入社するタイミングではすばらしく見えても実態は分かりませんし、状況も変化します。

 「安定」とされる企業に入社できても、それが「自分の人生の安定」に強く紐づく時代ではなくなっているにも関わらず、大企業信者は未だに多いですよね。今の時代の安定は、「自分に実力をつける」ことです。所属する企業が業績不振で無くなろうが、自分のことを求めてくれる会社や人がいるかどうかが、生き抜く上での重要なポイントでしょう。「東芝に入社して人生勝った!」と思っていた人にはかわいそうですが、現状では会社のお先は真っ暗ですね。叩けばまだまだ埃が出そうな気がするので、日本を代表する企業の今後を注視したいと思います。

 東芝、グループ会社の株売却へ

 https://this.kiji.is/195480074989174785?c=113147194022725109

 「東芝不正会計で損害」信託銀が提訴へ GPIFも請求

 http://www.asahi.com/articles/ASK1Y5G9SK1YULFA001.html

 さて、それでは今週の内容です。

【今週の目次】

1.現場から不満爆発のコネ入社がいつまでも無くならない本当の理由

2.今週のトピックステーマ

3.気になるアイテム

4.お悩み人生相談 Q&A

5.読者感想コーナー

6.終わりに

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1.現場から不満爆発のコネ入社がいつまでも無くならない本当の理由

 何回かにわたって連載してきた「学歴採用・顔採用・コネ入社が存在することを認めてしまおう」というテーマも今回が最終回。ラストは、コネ入社について考察していきます。コネ入社と言えば、世間的にもあまり良いイメージとは言えず、親や著名人の権力・パワーを存分に使って、無能な若手息子が入社して社員からの評判も悪い、といったケースも良く耳にします。

 けれども、そんな状況下でもコネ入社が無くならないのは何故なのか。多くの人は、もしかしらその理由を「権力者だから人事権を好き勝手で決定できる」と感情論ばかりで考えているかもしれません。ですが、コネ入社には立派な理由があるのです。その構造を理解できれば、貴方は「コネ入社なんてズルい」という低レベルな議論から脱出することができて、企業から求められる「価値の高いビジネスパーソンの思考」に近づくことができるでしょう。では、早速見ていきたいと思います。

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