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【救急疾患を知ろう】 熱性けいれん ①疫学

第一回の投稿は「熱性けいれん」についてです。
熱性けいれんは、お子様をお持ちの方や、子供たちと接する機会の多い方にはおなじみのトピックかもしれません。
しかし、この疾患についての知識は、ある程度持っている方もいれば、全くない方もいるでしょう。今回は、そんな方々に向けて、熱性けいれんについて詳しくご紹介します。

分かりやすさを心がけていますが、情報量も多いため、基本的には複数記事に分けてご紹介していきます。長文は疲れますからね!
ですので、お時間があるときにご覧いただければと思います。

①は疫学(どんな病気?)
②は定義(正確な病気の定義や種類について)
③は実際に起こった際の対応や注意点、病院でする治療の簡単な説明をします。

それでは、熱性けいれんの紹介を始めましょう!

熱性けいれんとは?(疫学)

熱性けいれんは、乳児や幼児に起こる最も一般的な神経発作疾患です。

UpToDate®︎

神経発作疾患ってなんぞやってなりますよね!
簡単にいうと、
身体のけいれん(手足のピクピク、ガタガタ)や目の上転(上を向きっぱなしで目が合わない)などが急に起こり、その後もいつもと様子が違う状態です。
まとめると、
お熱がある子どもが、けいれんをする かつ/または いつもと様子が違う」※
といった感じです。
※厳密には定義があり、詳細は次の記事「熱性けいれん②」で説明します。

子どもは神経細胞の発達が未熟で脆弱なため発熱に弱く、痙攣を起こしやすいと言われています。
また、悪寒などによる震えと混同することがありますが、違う点は通常の熱性けいれんの最中は会話などの意思疎通はできません。


次に熱性けいれんという病気は一体どんな特徴があるのか。
以下に箇条書きで説明します。

  • 月齢6ヶ月から60ヶ月に起こり、発症時期のピークは12ヶ月から18ヶ月

  • 子どもの2-4%で発症。ただし日本などのアジアでは最大10%程度と多い

  • 一度でも熱性けいれんを経験した子どもの3割程度が再発する
    ①家族がなったことがある、
    ②1歳未満での発症
    ③発熱してから1時間以内に発症
    ④39度以下での発症
    どれかが当てはまる場合は通常の2倍以上なりやすいです。

  • わずかに男の子の方がなりやすい(女の子の1.6倍)


そして、どんな子がなりやすいのかも気になるところですよね。
なりやすいリスクについても知っておきましょう。

  • 高熱(39度以上)

  • ウイルス感染、いわゆる風邪とされるもの
    ※インフルエンザ、コロナ、アデノ、ライノ、RSなど

  • 特定のワクチン接種(ただし、ごくわずかになりやすくなる程度)
    ※四種混合、麻疹、風疹、おたふくなどのワクチン

  • 遺伝、家族性(細かくはあまりわかってはいない)
    兄弟、特に一卵性の双子や、両親が過去に発症している場合


以上のことから、子供を育てるご家庭において大切なのは熱性けいれんに関する情報を事前に知っておくことです
兄弟、親、または親の血縁者の中に、熱性けいれんの経験があるかどうかを確認しておくことが賢明です。
なぜなら、実際に子供が熱性けいれんを起こした際、両親はパニックになり、不安を感じる方々がたくさんいるからです。

しかし、熱性けいれんは発熱の一般的な反応であることを覚えておきましょう。
そして、熱性けいれんは多くの場合、良性の病気であるとされています。この知識を持っていることは、少しの安心材料となり、不安を和らげるのに役立つでしょう。


次の記事では正確な病気についての定義などについて説明します!

この記事の不明な点や尋ねたいことがあればコメントどうぞ!
お疲れ様でした。

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