雪上を滑る火花

耐え難い空気を抜け出して
少年とその相棒は
脱出用ボートで
麓の街へと向かった
少年はいつも通りに
振る舞いながらも
骨占いをきっかけに
微妙に変化した
周りの空気を
見逃さなかった
明らかにそれ以前と
感じていたものとは
異質なものだった
何の根拠もない
占いごときで
幾時かを過ごした仲間を
そんなにも簡単に
見放せるものなのだろうか
寧ろ初めから
警戒され続けて
いたのかも知れない
ぼくが勝手に
周りを仲間だと
思い込んでしまって
いたのかも知れない
極め付けは
ぼくが復活した瞬間と
マグマドグマが
裏切る瞬間を
あのなかでは
ザンパムしか
目の当たりにしていないことだ
それが余計に
占いの内容を
裏付けるようにしている
言われた通り
脱出用ボートに
動力源は無かったが
例によって
少年は胸元を伝って
手のひらから
火花渦を巻き起こし
山肌に向けて逆噴射させた
渦巻く火花のなかに
ところどころ
消し炭のようなものが
混じっていた

◆ 戦利品 ─【無言の圧力からの脱出】

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