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【病理学】ビタミンが足りないor多すぎるとどんな影響があるのかご存知ですか。


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今や当たり前となったサプリメント。そもそもサプリメントは医療費が高額なため支払うことができないことから、栄養素を補うために産まれたものです。

今回ご紹介するビタミンをはじめ、プロテイン等で補うタンパク質、無機塩類(ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、銅etc)、水等……身体を構成する要素がたくさんあります。
足りなくなったり、または過剰にあると身体に対してどんな影響があるのか、今回はビタミンについてひとつずつみていきましょう。

水溶性ビタミンと脂溶性ビタミン

言い忘れてた。ビタミンは体内で生成することができず、食事等から摂取する必要があります。そのビタミンには2つのタイプがあり、それが水溶性(水に溶ける)と脂溶性(脂に溶ける)です。脂溶性は水溶性に比べ、体内に蓄積しやすいのが特徴です。

さて、どのビタミンが水溶性、脂溶性なのかがわかるゴロを紹介しましょう。

脂溶性は、DAKEです。
これだけで覚えられます、その他は水溶性です。
稀にDEKAで覚える派もいます、どっちでも一緒です(笑)

ビタミン欠乏症

ビタミンが欠乏する要因はいくつかあり、ひとつは食事等による摂取不足に起因するもの、そして体内に障害があり、ビタミンの吸収、輸送、貯蔵ができないことに起因するものがあります。

では、各ビタミンが欠乏することであらわれる症状をみていきましょう。

ビタミンA欠乏……夜盲症、眼球乾燥症

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ビタミンAが欠乏すると、夜盲症(とり目)と呼ばれ、暗いところでよく見えなくなります。ボクの恩師が76歳、第一次ベビーブーム世代で栄養が取れない方も多かったのだそう。よく転けるのを見ていたお兄さんがとり目だと気づき、診断されたのだとか。ロドプシンが生成されなくなることが要因です。

ビタミンD欠乏……くる病、骨軟化症

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ビタミンDは骨形成にかかる栄養素です。
欠乏すると、くる病が小児でかかる疾病、そして骨軟化症が成人でかかる疾病です。ともに石灰化障害と呼ばれ、骨形成ができなくなることに起因します。骨量は同じなのに、スカスカになってしまうのですね。
公害のひとつイタイイタイ病も、同じく石灰化障害が引き起こすものです。


ビタミンK欠乏……出血傾向

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ビタミンKが欠乏すると出血傾向になります。アザができやすかったり、鼻や傷口からの出血、また胃や腸内が出血しやすくなります。

ビタミンB1欠乏……脚気

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脚気はご存じの方も多いでしょうか。浮腫や下半身の倦怠感、しびれ等が起こります。これを判定するのが膝蓋腱反射といって、膝蓋骨尖(膝の骨の下)の凹みをトンと叩くテストがあります。ピンッと跳ね上がると正常、反応がないと腰随(L2〜4)の神経障害を疑うこととなります。


ビタミンB2欠乏……口角炎

ビタミンB6欠乏……皮膚炎、口内炎、舌炎

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ビタミンB2、B6は他の要素とともに皮膚や爪、髪の毛、粘膜等を正常化する働きがあります。これらが欠乏した際に各部位に起きる炎症です。前段階では肌荒れ等がサインになることもあります。


ナイアシン欠乏……ペラグラ

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「ペラグラ」とはトウモロコシを主食にしている地域の風土病です。ペラグラでは、認知症、下痢、炎症等の諸症状がみられます。ナイアシンを多く含む食品は、たらこ、豚レバー、エリンギ、ピーナッツ等があります。

ビタミンB12欠乏……悪性貧血

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悪性貧血は「巨赤芽球性貧血」とも呼ばれます。赤血球が肥大して血管をなかなか流れることができず、結果として貧血の症状になってしまいます。
よく比較されるのが鉄欠乏性貧血で、これは女性の閉経等により赤血球の数が減少することが原因です。

ビタミンC欠乏……壊血病

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ビタミンCが不足すると、壊血病といって出血傾向に陥ります。血管を形成するコラーゲンが不足し、血管壁が脆くなることで出血しやすくなります。
その昔、世界一周を達成したマゼラン艦隊も長い航海で野菜や果物が取れず、壊血病に苦しんだのだとか。

ビタミン過剰症

それでは、今度は逆にビタミンが多すぎると人体に対しどんな影響があるのかみていきましょう。脂溶性ビタミンは体内に蓄積するため、以下の症状が現れます。
※鍼灸の国試的には重要ではないそうで、ふーんでOKです。

ビタミンA過剰……骨折しやすい

ビタミンAを過剰に摂取すると、骨折しやすくなります。

ビタミンD過剰……高カルシウム血症

ビタミンDは小腸に働きかけ、カルシウムを吸収しやすい環境をつくります。それが過剰になると、血のカルシウム濃度が高くなります。

国試の問題を解いてみよう

ビタミンとその欠乏症との組合せで誤っているのはどれか。(はき第13回-50)[病理学]

  1. ビタミンC ─── 悪性貧血

  2. ビタミンB1 ─── 脚気

  3. ビタミンD ─── 骨軟化症

  4. ビタミンA ─── 夜盲症






<答え>


1.ビタミンCが欠乏すると、
といって出血傾向になります。



以上、ビタミンの過不足がもたらす人体への影響について綴りました。最後までご覧いただきありがとうございます。

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