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【東洋医学】生理物質の病症(虚証と実証)について小学生にもわかるように復習するよ!

東洋医学の病症(病気)とはどんな考え方なのか、小学生にもわかるように復習していく試みです。

病症は大きくふたつに分けられる

病症は大きくふたつに分けられます。「虚証(きょしょう)」と「実証(じっしょう」です。

- 虚証 -

虚証とは、体内の物質量や機能が低下したり、または不足している状態を指します。

- 実証 -

実証とは、体内の物質量や機能が過剰になっていたり、または体内を循環するはずなのに流れが詰まっている状態を指します。

虚証、実証を理解する上で、まず生理物質が体内を循環していることを知らなければなりません。生理物質とは「気」「血」「津液」「精」で、生命活動を維持するために必要な物質です。

めちゃくちゃざっくり言うと……

  • 「気」はエネルギー!

  • 「血」は栄養!

  • 「津液」は潤い!

  • 「精」は生殖!

もっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


虚証×生理物質

「虚」つまり量的に不足していたり、機能が低下している状態。
これがそれぞれの生理物質に当てはまると身体にとってどんな影響があるのでしょう。

気虚

■気が持つ「推動作用」や「温煦作用」が失調すると……

  • 栄養が全身に巡らなくなる・・・・・・・・・・・<倦怠感>

  • 栄養が脳に届かなくなる・・・・・・・・<眩暈(めまい)>

  • 宗気(食べ物+キレイな空気)が少なくなる・・・<息切れ>


■気が持つ「固摂作用」や「防御作用」が失調すると……

腠理の開合(毛穴を開けたり閉めたり)が上手く行かなくなる。

  • 腠理(毛穴)から出てしまう・・・・・<自汗(にじむような汗)>

  • 腠理(毛穴)から入ってしまう・・・<易感冒(風邪ひきやすい)>

「気虚」では、以上のような症状が身体に現れます。

<気陥>

さらに気虚症状が進行すると「気陥」となり、気機(エネルギーが進む向き)の中でも上昇するパワーがなくなります。組織や物質を持ち上げておくことができなくなるので、下記のような症状が現れます。

  • 胃下垂

  • 脱肛

  • 子宮脱

  • 慢性的な下痢


血虚

血虚(けっきょ)とは、血が不足して身体を滋養するチカラが減ることにより起こる病態です。

<滋養作用の失調>
頭部への滋養ができなくなってしまい、下記の症状が現れます。

  • 眩暈(めまい)

  • 顔面蒼白

以下は臓腑+血の不足によりみられる症状です。

<肝血(肝+血)の不足>
肝に関わる滋養不足により下記の症状が現れます。

  • 筋の滋養不足・・・・・しびれ、痙攣(けいれん)

  • 目の滋養不足・・・・・目のかすみ、視力減退

  • 爪の滋養不足・・・・・爪の変形

<心血(心+血)の不足>
心に関わる滋養不足により下記の症状が現れます。

  • 心悸(しんき)・・・・・動悸の意

<神の維持ができなくなる>
神の維持とは脳機能の維持ができなくなること。特に睡眠に異常が現れます。また、下記の症状は心血の不足によっても現れます。

  • 不眠・・・・・寝れねー

  • 多夢・・・・・めっちゃ夢みたわ

  • 健忘・・・・・最近忘れっぽくって……

<経血の不足>
女性に関わる症状として、月経異常があります。ちなみに、女性特有の症状改善に効果的なのが鍼灸治療です。

  • 月経過小

  • 月経痛

  • 色が薄い 等


津液不足(津傷)

津液が不足すると、身体の潤いがなくなり乾燥してしまいます。これにより、次のような症状が現れます。

  • 口腔内の潤い不足・・・・・口やノドが乾く

  • 皮膚や髪の潤い不足・・・・皮膚の乾燥、髪がパサパサに

  • 排泄物の水分減少・・・・・乾燥便、尿量の減少


精虚(腎精不足)

生理物質のひとつ、精が不足することにより現れる病態です。

  • 発育、生長・・・・・発育不良、虚弱体質、不妊、閉経、陽萎、性欲減退

  • 骨の滋養不足・・・・腰膝酸軟、早老

  • 脳(髄海)の滋養不足・・・耳鳴、難聴、眩暈、頭髪の脱毛、健忘


実証×生理物質

<気>気鬱、気滞
気機(気の向き)が鬱滞して発生する病症です。気の生理作用は簡単にいうとエネルギー。エネルギーが停滞することにより、下記の症状が現れます。

  • 張るような痛み・・・・・脹痛

  • 臓腑(肝、心)に関する部位が痛む・・・胸悶、胸肋部痛

  • 消化器系の動きが滞る・・・・・腹部膨満感

  • 精神面に影響・・・・・抑うつ感

<気>気逆

気の上昇するエネルギーが過剰になり発生する病症です。

  • 過剰な上昇作用・・・頭にくる <易怒(怒りっぽい)、頭痛、めまい>

  • 下降作用の妨害・・・上下の流れが止まったり逆流する(咳嗽、喘息、悪心嘔吐、噯気(ゲップ))

<血>血瘀

「血」は「気」に比べて動きにくく、停滞すると瘀血(おけつ)として血脈等に存在し悪さをします。これを血瘀(けつお)といいます。
停滞することで一定の場所が痛くなったり、また刺すような痛みとなります。

<血>血の運行が滞る

  • 場所が同じところ、そして刺すような痛み・・・・・固定痛、刺痛

  • 表面に紫や暗赤色が現れる・・・・・紫舌、暗赤舌、瘀斑(あおぢ)、皮下出血斑

  • 皮膚がカサカサになる・・・・・・・肌膚甲錯

  • 経血が滞って塊をつくる・・・・・・月経不順、月経痛


<津液>痰湿

津液の流れがとまり、ギュッと濃縮されたら以下のような症状が現れます。

  • 湿/水・・・・・浮腫、下痢、重だるさ

  • 飲・・・・・・腹鳴、動悸、喘息

  • 痰・・・・・・咳嗽、眩暈、頭痛、意識障害、食欲不振、皮膚疾患等


※精の実証は?

精は他の生理物質のように循環しているものではなく、必要な分だけ取り出して使う特徴があります。この特徴から増えすぎてしまうことがないので、実証は起きず足りなくなった症状(虚証)のみ現れます。


国試の問題を解いてみよう!

1.虚証の症状はどれか。 (あ第27回-101)[東洋医学概論]

ア.体動が多い
イ.呼吸が荒い
ウ.自汗がある
エ.脹痛がある

2.八綱病証で実証はどれか。 (あ第19回-106)[東洋医学概論]

ア.身体に力が入らない
イ.便秘している
ウ.よく汗をかく
エ.呼吸が浅い



答え

1.ウ 自汗がある。

2.イ 便秘している。


だいぶボリュームありました、最後までご覧いただきありがとうございます!






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