だるまさんと成長

『だるまさんが』という絵本がある。同じシリーズで、『だるまさんの』『だるまさんと』という本もある。有名な絵本なので、読んだことのある方も多いと思う。

我が家では、確か息子が0歳の時に本棚に入ったのではないかなぁと思う。少なくとも1歳の時にはあった。保育士をしている私の母が『この絵本はいいよ』とある日3冊セットでプレゼントしてくれたのだ。

息子をひざの上に乗せ、絵本のだるまさんと同じように「だ る ま さ ん が」と言いながら左右に揺れる。そこは普通の絵本と違うものの。最初はただ、文章を読んで絵を見る。揺れる以外は普通の絵本と同じ楽しみ方をしていた。

1歳を過ぎて、段々と意味がわかってきだしてからは、絵本を読む時の動作が増えた。だるまさんが転ぶところでは一緒に転んでみたり、「て」と言いながら手を前に出してみたり、「ぺこっ」や「ぽにん」を一緒にしてみたり。そんな感じである(余談だが、小さい頃から息子は「ぽにん」に一番ゲラゲラ笑っていた。ぽにんって謎の言葉だが、ぽにんはすごい)。

その後、体が成長すると共に、動作も大きくしっかりしたものになってきた。全力で転び、全力で小さくなり、全力で背伸びする。動く度に本人はゲラゲラ笑っていて、とても楽しそうである。少なくとも息子には合っていたようだ。

そんなこんなで2歳頃まではよく楽しんだこのシリーズだったのだが。他の絵本が本棚に入るにつれ、段々と読まれなくなってきた。より物語性が強かったり、文章が多かったり、そんな本に自然と移行していったのである。

少なくとも数ヶ月。もしかしたら1年以上、前回から経ったのかもしれない。先日、息子が久しぶりにこのシリーズを「よんでー」と持ってきた。いつものように膝に乗せ、「だ る ま さ ん が」と左右に揺れる。しかしそこで変化が。

「だるまさん、め、とじてるねー」

だるまさんの表情に気付いたのである。そして私の膝から降り、目の前に立って、目を閉じて揺れだした。

以前読んだ時に表情に全く気付かなかったわけではないのだが、こうして実践するのは初めてのことである。その後もウインクしようとしたり(何度か挑戦したけどできなかった。両目を閉じてしまっていた。ウインクってやろうと思ってすぐにはできないものなのだろうか)、眉毛をハの字にしようとして「できないー!」と言っていたり、怒った顔をしようとするもゲラゲラ笑ってしまってできなかったりした。

他の2冊でも今までは何も言わなかった細かい部分に気付き、それを実践しようとしたりして。あれだけ読んだ本なのに、この歳で新しい気付きがあるものなんだなーと面白かった。年齢なりに観察力が上がって、その分見えるものも多くなるのだろうか。

2歳くらいまでよく読んだ本の大半は、正直今はほとんど読まれることがないのである。本棚もいっぱいだし、そういう本は別の部屋に置こうかなぁと考えたりしていたのだが。こういうことがあるならば、なるべくよく見える場所、簡単に手に取れる所に置いておきたいなぁと思う。本棚配置、悩むところである。

しかし息子の成長を感じられた良い時間だった。絵本は何度も読むので、1冊の絵本が子どもの成長記録とセットになりやすいのかもしれないな。絵本の新たな良さを知った出来事だった。


ではまた明日。

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