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ロックダウンのローマより。今知って欲しいイタリアの現状10

昨年よりイタリア在住のoishissimoです。

イタリア全土がロックダウンとなって,今日で35日目。

都市封鎖を1か月間体験した経験がみなさんの対策の役に立てばとの思いで、イタリアの現状をまとめました。

イタリアといえば,陽気で,からっとしていて,太陽が似合うイメージ☀️
全土封鎖となったイタリアの現状は,みなさんの想像するイタリアのイメージからは,残念ながら少し遠いと思う。市内はまるでゴーストタウンのよう。

いつも行くバールで,エスプレッソにもりもりパンナをのせてくれるちょっとお顔は怖いけれど優しいおじさん、小銭の持ち合わせがないと今日はプレゼント!とおまけしてくれるお花屋さん,パニーノ屋さんの気さくでかわいいお姉さん。
もちろんみんな家の中。どうしているかな,元気かな,とそれぞれの顔を思い浮かべることしかできない。

こんなに活気のないイタリアは,初めてです。

今のイタリアの状況は、1ヶ月後の日本かもしれない。
コロナウイルスは感染力が強く、ロックダウンが行われていない日本ではより速く、広範囲に感染が拡大すると思います。

ここでいうロックダウンとは、外出禁止と州間、市内での移動制限要請、一部例外を除いての商業活動の禁止です。※イタリアの場合

実際にイタリアでは感染拡大防止対策として、今どんな政策が行われ、どんなことが起きているのか。

イタリアの現状10
1. イタリア全土の移動制限

3月8日に,3月10日朝よりイタリア全土に移動制限が適用となる首相令が発令となった後,実施までの約2日の間に,特に伊北部から伊南部へ移動する人が多かった。伊北部は商業の中心、工業地帯が多いため、ヨーロッパ・イタリア各地から出稼ぎに出ている人が多いことから、実家に戻ろうとする動きをとる人が多かったようです。この事実は、イタリア全土でコロナウイルスの感染が拡大した理由の1つだと思います。そのため、大都市からそれ以外の中規模・小規模都市への移動は自粛してください。

2. 外出の禁止
証明できる仕事上,健康上,生活上必要な理由(スーパーでの買い物,散歩など)以外の外出は基本的に禁止。4月からは屋外でのジョギングなどのスポーツが禁止になりました。学校は休校、公園も封鎖されています。

3. 外出時には証明書類(自己申告書)の携行が必要
コロナウイルスに感染していないこと、外出の必要性を証明するための自己申告書です。
内務省指定のフォーマットは、これまで4度改訂されました(最新版は3月26日改訂のものです)。上から個人情報、外出の理由、移動の開始地点から終了地点まで明確に記入する必要があります。検問時には、フォーマット下方に日付、コントロールを受けた場所、自分のサインをし、警察官のサインをもらう必要があります。
(実際の自己申告書フォーマット)

4. 警察官による店舗・通行人への検問
主に主要駅やジャンクションで警察官による検問が行われています。違反が確認された場合には行政罰(罰金,営業停止処分など)を受けなければなりません。自己申告書への虚偽の理由記入も罰則の対象になります。違反をする人・店舗が多いことから、罰金の規定が厳しくなり、罰金の上限が最大3000ユーロ(約36万円)に引き上げられました。

5. 一部例外を除いての生産活動停止
営業しているのは、スーパー、薬局とテイクアウトサービスのみ行うレストランのみです。基本的には営業時間を短縮しての営業で、スーパーは19時までの営業です。公共交通機関は、減便等の対策をしつつ運行しています。乗車率はとても低く、大体1台のバスに数人のっている程度です。

(営業短縮の上、「配達のみ」の営業を行うパニーノ屋さん)

店舗側が人員削減の上営業している場合が多いことから、入店時に人数制限があり、商業施設の規模によりますが、1度に入店可能なのはだいたい5〜10人程度です。そのためお店の外には列ができています私はこの間45分並びました…(ディズニーランドかと思いました)。並ぶ際には最低1メートルの距離を保ち、入店時には手指の消毒とビニール手袋の着用が必要です。

(張り紙には1人出たら1人出てね、と書いてあります)

6. 感染者数の遷移

イタリア全土ロックダウンから1ヶ月経過しているにも関わらず,4月10日、たった1日で新規感染者数は3,951人、死者数570人でした。ピークはすでに越えたという指摘もありますが、まだまだ油断できない緊張した状況が続いています。そのため、外出、移動、生産活動の制限に関する首相令の効力期間が延長され、4月10日付けの首相令で5月3日までになりました。5月3日までに状況が良くなれば、一部の生産活動の規制緩和も検討されます。

7. マスク着用が州法律で義務化
4月4日、ロンバルディア州で外出時にマスクまたはスカーフを着用して、感染防止のために鼻と口を覆うことと、営業注の店舗では、顧客に消毒液と使い捨て手袋を用意することが義務化されました。トスカーナ州では外出時はマスク着用の義務化、ヴェネト州ではスーパー・市場での着用が義務化となり、州ごとに異なるようです。ラツィオ州は今のところ外出時のマスク着用は義務化されていませんが、私は外出時には着用するようにしています。イタリア人はマスクをつける習慣はありませんでしたが、現在はほぼ全員がマスクを着用しています(マスク慣れしていないためか大丈夫!?とつっこみたくなるような着用をしている人も見かけます)。マスク着用の義務化については、検討中の州も多いようです。

8. 治安悪化
銀行になりすましてSMSやメールを送信し、銀行口座情報を聞き出す詐欺、政府機関職員になりすまして自宅に侵入(空き巣)する事例、銀行強盗,ひったくりなどが増加傾向にあります。
コロナウイルスの感染拡大防止措置のために職を失った(稼ぎがなくなった)人が多いこと、外出禁止の状況で、通常時よりも人通りが少なくなっていることが影響していると考えられます。
この状況下、常に家にいるから大丈夫という気持ちは危険です。いつも以上に、怪しい情報は信じない、戸締りに気を付けることを徹底しましょう!

9. 経済政策
個人事業主、フリーの労働者へ600ユーロ給付されます。4月1日よりサイトを通して3月分の給付金の申請が開始しました。INPUS(社会保険制度)のサイトからアクセス可能ですが、アクセスが殺到していてなかなかログインできないそうです…

10. 医療
医師不足,病床不足,物資不足などをカバーするために、感染の拡大を遅れさせるという理由から,移動制限が実施されました。イタリアは各家庭にホームドクターがいて、症状が出たらまずはかかりつけの医師に相談します。重症患者から検査・処置を行うため,軽症患者は自宅隔離となるため,家庭内感染が増加傾向にあります…。また、医師不足が深刻なため、リタイアした医師・看護師の再雇用が行われたり、手術後の観察室など、普段一般患者には利用されない施設が利用されたりしている。最近は医師の感染例・死亡例、看護師の自殺が増えているニュースを見かけるようになり、医療現場の深刻な状況を感じることが多い。医療現場を助けるために自分にできることは1つ。感染しない努力・拡大のスピードを落とすことを心がけること。つまり外出しないこと。1人1人が気を付ければ、大きな効果になると思います。自分を守ることは周りを守ることです。

1か月後の日本の状況はどうなるのでしょう。
各国状況が違うので、比較するべきではないかもしれませんが、ロックダウンを実施する他国よりも,感染は早いスピードでかつ広範囲に拡大すると思います。

ウイルスよりも怖いのは無自覚です。
意思を持っていないウイルスは,勝手には広がりません。
意思を持つ人間を介して広がります。

「自分は大丈夫」という考えは今すぐ捨てるべきです。

みなさんの対策の助けになればと思いこの記事を書きました。
後で思い出して、あの時は大げさだったね,と笑い合えるますように。☺︎

最後に、イタリアのコンテ首相の言葉を引用します。

“Restiamo distanti oggi, per abbracciarci piu' forte domani.”
「明日強く抱きしめ合うために今日は距離を置く」

距離を取ることで、相手への思いやりを表せる時期。

1日も早く平穏な日々が世界に戻りますよう祈ります。

ローマより
tre.


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