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「遠ざかるギザのピラミッドー招待された魔のツアーー」アフリカ大陸縦断の旅~エジプト編⑤~

*前回の物語はこちらから!!!!!


「Which is better, tourist way or Egyption way ?」
 (ツアーで行くか、地元民が行く方法で行くか、どっちがいい?)


 ピラミッドに向かう車内で、私たちに声をかけてきた1人の男性がいました。名前はムーディ。彼は達者な英語で、ツアーとEgyption wayの違いを私たちに詳しく教えてくれました。


・Egyption way はツアーの半額以下の価格でピラミッドに行けること。

・Egyption way を選べば、ピラミッドに登らせてもらえること。また、ピラミッドの中に入らせてもらえること。ツアーはピラミッドを見るだけだということ。

・Egyption way を選べば、ラクダやウマに乗れるが、ツアーでは何にも乗れないこと。

・Egyption way を選べば、晩飯が食べ飲み放題であり、ツアーにそれは付いていないということ。


 全面に押し出されたEgyption way の魅力。
 それと共に一気に高まる怪しさ。


 一方で、これらを聞いた私たちが、考えていたことはと言うと、


・最低限のお金で、様々な経験を求めていたこと。

・旅人はツアーを使わない、という謎のプライドがあったこと。

・安全性をほぼ無視して、なるべく現地の環境に身を置きたかったこと。

・エジプトに来てからというもの、出会ったエジプト人は、危険とされるスラム街でさえ、私たちを受け入れてくれたこと。これによって、私たちのエジプト人に対する信用度は最高点に到達していたこと。


 ねじ曲がった旅への価値観。
 そして、異常なほどのエジプト人への信頼。


 まるでEgyption wayに誘導しているかのような、ムーディの言葉。そして、これを疑いもせず、もはや寄り添おうとした私たち考え。


 これらの結果、選んだ答えはもちろん 「Egyption way!!!!!!」


 しかし、未解決の問題は残されていました。

「この車の行き先は、観光地であるピラミッド。それにも関わらず、なぜ、この車内は私たち以外、全員エジプト人なのか。」


 そんな私たちの疑問をよそに、車はピラミッドに向けて走り続けました。

 その車内で、止むことのないムーディの言葉たち。

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「僕はアレクサンドリアに住んでいるんだ。普段はエジプトの中学校で英語の教師をしていてね。今週末に私の娘に産まれた赤ん坊を祝うために、親戚で集まるんだ。今はそのために、仕事を休んで帰ってきてるんだよ。」


「(・・・・・・・・・・・。)」


 私たちが言葉を返す余地もなく、話は進んでいきました。


「君たちはサッカーが好きか?実は僕は、有名なサッカー選手の親戚でね。あのモハメド・サラーの親戚なんだよ。週末の集まりには、彼も参加するかもね。」


「(モハメド・サラー???あの有名なサッカー選手の???)」


 長年サッカーをしてきた私たちにとって、声を発することのできない驚愕の事実。


「どうだ、驚いたか?信じられないなら、証拠を見せてあげるよ。」


 そう言って、ムーディは財布の中から身分証のようなものを取り出しました。

 読めるはずのないアラビア語。


「(本物か・・・?)」


 と思った次の瞬間。歓声に包まれた車内。飛び上がって喜ぶ乗客たち。私たちを車へ案内し、なぜか一緒に乗ってきた親子2人は、今にも泣き出しそうな顔で、ムーディにハグを求めていました。

 言語の障壁があった私たちでさえ、ムーディの言葉が事実であるということは、手に取るように分かりました。この状況は、私たちのムーディへの信用をこの上なく引き上げたのでした。


「もう、車内がエジプト人だらけであろうが、そんなことはどうでもいい。」


 彼らと一緒になって、大騒ぎする私たち。

 そして、その興奮冷めやらぬまま、時間が経つことおよそ30分。私たちはピラミッドがすぐ近くに見える場所に到着しました。


 ここで車から降りたのは、ムーディと私たち2人。そして、ここでもあの親子が後に続いてきました。しかし、この時の私たちには、これに疑問を持つ心は一切ありませんでした。


 5人で歩くこと数分。とある馬小屋に辿り着きました。

「ここで馬に乗って、ピラミッドへ向かうからね。」

 ムーディに言われるがまま、彼と同じように馬に乗る、私たちと謎の親子。

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「さあ、ピラミッドに向けて出発しよう!!!」


 30分・・・1時間・・・・・



 だんだんピラミッドから離れていく私たち。



 「間違えなく逆方向を目指している。どういうことだろう・・・。」


*続きの物語はこちらから!!!!!



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