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「いざ、上陸。部族の国 エチオピア」アフリカ大陸縦断の旅~エチオピア編①~

 2018年8月23日、22時頃。エジプトに入国してから、およそ1週間が経ったこの日の夜。私たちはエジプトからエチオピアへと向かうため、飛行機の中で出発の時を待っていました。

 エジプトからスーダンを通過、そしてエチオピアに入国するという当初の予定。しかしエジプトについて早々、イスラム教犠牲祭が原因で、ビザが取れず、スーダンへの入国を断念。そして、流れ着いたスラム街で感じた、人間の温かさ。それを一瞬にして疑いに変えた、魔のピラミッドツアーでの詐欺師との戦い。また、イスラム教犠牲祭を経験して感じた、物質に服従してしまった精神の姿。

 何も調べず、のんきに訪れたアフリカ大陸初めての国、エジプト。圧倒的な未知の世界で過ごした1週間。情報収集に没頭し、自分を信用できる人間に創り上げた、その一方で、増幅していった周囲への不信。

 そんな色濃かったエジプト生活を思い返しながら、眠りに就きました。


 そして約6時間後、2018年8月24日、午前3時半頃。エチオピアの首都、アディスアベバの空港に辿り着きました。そして、エチオピアのアライバルビザ(50ドル)を取得。しかし、おそらくこの時間帯に交通の手段はない。真っ暗な異国の地を、彷徨うのは危険すぎる。ということで、明るくなるまで空港で待機することに。周りも同様の考えなのか、空港内はたくさんの人で溢れかえっていました。荷物を取られないようにと、バックパックを抱きかかえながら就寝。

 そして午前5時半頃、周囲を警戒しすぎて、満足に眠ることもできないまま、ATMからエチオピアの通貨であるブルを引き出し、移動のため空港の外に出ました。

「なにこれ、寒すぎやろ。。。」

 そう、アディスアベバは標高2355mに位置していたのでした。さらに早朝ということもあり、吐く息は真っ白。最低限の荷物しか持っておらず、アフリカが寒いなんて想像していなかった私たち。とにかく歩いて体を温めるしかありませんでした。

 こうして、目指した場所はピアッサ地区。情報収集によると、その場所から私たちの次の目的地である、アルバミンチや、さらに進んだカイヤファールまでのバスが出ているらしい。

「この時間から動けば、今日中には次の目的地に行けるかも。」

 そう思いながら歩くこと30分。徐々に体が温まり、太陽も昇り始めてきました。

「1度、エチオピアのローカルバス試してみるか?」

 私たちはこの街の雰囲気や治安などを知るため、バスに乗ってみることにしました。情報収集によると、アディスアベバからピアッサ地区までの運賃の相場は、5ブル(当時約20円)。

 しかし、初めに声をかけたバスからは、何と相場の4倍である200ブルを請求されました。

「(完全なぼったくり。やはりエチオピアもそうなのか。)」

 そこから5台ほど声をかけ続け、ようやくバスに乗り込みました。このバスの運賃は、謎の3ブル(当時約12円)。ここまで安いと逆に怪しい。また、早朝にも関わらず、満席の車内。案内されるがまま、バスの後方に立たされた私たち。どうやらバスの運賃支払いは、後方の乗客から前席の人にお金を渡していき、それがリレー形式で運転手の手に渡る、という変なシステム。

「(お釣りの概念は破綻しているのか?何も起こりませんように。)」

 着いて早々に、事件に巻き込まれたくなかった私たちは、周囲を警戒し続けました。10分、20分、、、ただピアッサ地区まで向かうバス。そしてどういうカラクリか、しっかりと返ってきたお釣り。誰からも声をかけられることなく、ずっと満席状態が続いたバスは、平穏を保ったままピアッサ地区に到着しました。

「(金額の相場さえ分かっていたら、エチオピア以外と大丈夫かも。情報収集しといて良かった。)」


 こうして、緊張感から少しだけ解放された私たちは、次の目的地へ向かうバスのチケットを手に入れるため、歩き始めました。バス会社の候補、SKY BUS、SLEAM BUS、GOLDEN BUSの3つ。

 道を尋ねれば、笑顔でそれに対応してくれる人々。バス会社の名前を検索してくれ、案内してくれました。また、通りすがりの私たちに、なぜかコーヒーを奢ってくれたお兄さん。彼は幸せそうに、お嫁さんを紹介してくれました。嫌みな感じはなく、声をかけてくれるピアッサの人々。

「何か良い街やなー。」


 ぼーっとそんなことを思いながら、道を尋ねて回りました。そして、午前8時半頃。1つ目のSKY BUSに到着。

「すいません。アルバミンチか、カイヤファールまで行きたいんですけど、バス予約できますか?」

「そうですか。分かりました。ありがとうございました。」


 そして、その1時間後、2つ目のSLEAM BUSに到着。

「アルバミンチか、カイヤファールまでの、バス予約できます?」

「あぁ、そうですか。分かりましたー。」


 さらに1時間後、3つ目のGOLDEN BUSに到着。

「アルバミンチか、カイヤファールまで行きたいんですけど!」

「なんでやねん!笑」


 候補にあげていた3つのバス会社の全てが、カイヤファールどころか、アルバミンチまでもバスを出していない、とのことでした。これらのバス会社を利用して、移動していた人のブログなどを見ていた私にとって、この状況は理解不能でした。

「(どうしようか。完全に行く当てがあくなってしまった。)」

 集めた情報に頼り切っていた私たちは、想定外を想定していなかったため、起こすべき次の行動が全く分からなくなっていました。

「(おい、エチオピア。何をどうすればいい?)」



*続きの物語はこちらから!!!












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