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お菓子の基本

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料理の基本に続いて、お菓子の基本です。
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きんかんのコンポートの作り方

きんかんのコンポートの作り方

なんとなく冬になるときんかんを煮たくなります。僕の定番は黒砂糖で煮るレシピですが、今日は定番のプレーンなコンポートの作り方をご紹介します。(ちなみに黒砂糖バージョンは砂糖を黒砂糖に変えるだけです)

きんかん1パックを準備します。下処理はめちゃくちゃかんたん。まずはへたをとります。

爪楊枝などで全体に穴を開けましょう。じつは半分に切って種を取り除いたほうが食べやすいのですが、今日はそのまま煮てい

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乃し梅白玉の作り方

乃し梅白玉の作り方

山形の銘菓、乃し梅が売っていたので買いました。

寒天を使ったお菓子はたくさんありますが、のし梅は酸味と独特な食感が特徴。

この独特の触感は干して乾燥させるという手法からきているんですね。山形=梅というのは紅花から色素を抽出するさいの酸として使われていたことに由来するらしいです。郷土菓子はこうした背景がすごく面白い。

封を開けると竹皮が姿を見せます。コストもかかるでしょうけど、プラスチックフィ

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さっぱり&濃厚なチーズケーキ(ちょっとだけコーヒー風味)

さっぱり&濃厚なチーズケーキ(ちょっとだけコーヒー風味)

チーズケーキには様々なレシピがありますが、今回はさっぱり感と濃厚さを両立させたレシピを目指しました。型は18cmのパウンド型を使用。

さっぱり&濃厚なチーズケーキ
クリームチーズ   200g (常温に1時間程度出しておく)
ギリシャヨーグルト 100g
グラニュー糖    40g
卵         2個 (常温に1時間程度出しておく)
〈カスタードクリーム〉
卵黄        20g(1個

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多少の問題はなんとかなる『すいかのショートケーキ』

多少の問題はなんとかなる『すいかのショートケーキ』

スポンジケーキを使って今の時期にぴったりのスイカのショートケーキを作ります。

スポンジケーキづくりは慣れが必要なので、日本人好みのしっとりキメの細かい仕上がりにはならなかった(完璧につくればそれなりになる)かもしれませんし、焼きすぎてパサついてしまうこともあるでしょう。そんな場合でもスイカのショートケーキであればリカバーがきくかもしれません。

というのもスイカはジューシーなので多少スポンジがパ

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素朴なりんごのタルト

素朴なりんごのタルト

りんごのシーズンです。ここは一つ、昔、食育通信onlineに掲載したりんごのタルトのレシピを。まずはタルト生地から。

タルト生地
強力粉 150g
塩   小さじ2分の1
バター(無塩) 75g
水 60cc
(酢 opition 小さじ1)

これ以上ないほどシンプルな配合です。英語でいうとショートクラストペストリーという名前の塩味のタルト生地です。ここに砂糖と卵

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いちじくのキルシュ風味

いちじくのキルシュ風味

いちじくのシーズンです。このいちじく、シーズンが短い上に果肉がやわらかく流通が難しいので入手するのがちょっと難しめでしたが、今ではスーパーで簡単に手に入るようになりました。

生産量のトップは愛知県。たしかに愛知のいちじくは高品質です。いちじくにもいろいろな品種がありますが、写真の桝井ドーフィンが一番一般的。他にもバナーネやコナドリアなどの白いちじく系(皮が緑色の品種)やビオレソリエスなどの黒イチ

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生クリームの泡立て方

生クリームの泡立て方

生クリームを泡立てる、とレシピに書くのは簡単ですが、なぜ泡立つか、不思議に思いませんか? 今日は生クリームの泡立て、いわゆるホイップクリームの科学を復習します。

卵白を泡立てたメレンゲはタンパク質が空気を抱え込む役割を果たしますが、生クリームの構造を支えるのは脂肪分。泡立てることで油滴の外側のタンパク質(カゼイン)の膜が破れ、脂肪が露出した状態になります。脂肪は水に反発する性質があるので、別の脂

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厚焼きパンケーキの作り方

厚焼きパンケーキの作り方

おいしいホットケーキを作りたいと思い、試行錯誤しました。少量のアーモンドプードルを混ぜると焼き上がりが軽くなります。冷めてもおいしいのはアーモンドプードルのおかげ。

卵黄 2個
薄力粉 30g
アーモンドプードル 5g
ベーキングパウダー 小さじ1/4
ヨーグルト 大さじ2
溶かしバター 12g(大さじ1)
バニラオイル 少々
卵白 2個
グラニュー糖 20g

まずは薄力粉、アーモンドプードル

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メレンゲの科学『淡雪卵の作り方』

メレンゲの科学『淡雪卵の作り方』

今日はメレンゲが泡立つメカニズムを復習します。つくる料理は「淡雪卵」(ウフアラネージュ)です。フランスでは浮島という意味の「イル・フロッタント」という名前で、アメリカやイギリスなどに行くと英語のフローティングアイラン ドという名前で提供されています。

材料 四人前
卵白 3個分
グラニュー糖 45g
アングレーズソース
カラメルクリーム

アングレーズソースとカラメルクリームの作り方はそれぞれ

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食のデザイン『丸いプリンと四角いプリン、どっちが甘い?』

食のデザイン『丸いプリンと四角いプリン、どっちが甘い?』

昨日は四角いプリンのレシピをアップしました。

さて、この四角いプリン。ちょっと甘さ控えめに感じませんでしたか?

丸いプリンと四角いプリンは同じ配合でも、感じる味が異なります。こうした現象を研究している人がちゃんといまして、オックスフォード大学の心理学者で研究者のチャールズ・スペンスさんが有名です。(『おいしさの錯覚』KADOKAWAという邦訳の本もあります)

味と形状の研究は小規模な実験室レ

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四角いプリンの作り方

四角いプリンの作り方

シンプルな配合のプリンです。シンプルだけに2つの「火入れ」が出来上がりに大きく影響します。なんとなくシンプルなレシピの方が簡単そうに見えますが、実はそうではない、という話。

オーブン湯煎のメカニズムや容器による違いはこちらですでに解説しているので省略します。

四角いプリン
〈カラメルソース〉
砂糖      50g
水       30cc+大さじ1
〈卵液〉
牛乳 500cc
グラニュー糖 

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プリン作り講座 〜昔風プリンの作り方〜

プリン作り講座 〜昔風プリンの作り方〜

全卵タイプのプリンの一部を卵黄に変え、生クリームを使わずあっさりと仕上げたプリンです。昔、甘味屋で食べたような味を目指しました。フルーツや生クリームを添えて、懐かしのプリン・アラ・モードにしても。

まずは前回の復習。硬めに仕上げたいプリンなので、陶器ではなくアルミカップを選びます。

最初にカラメルソースを作ります。カラメルはタブレット状になって市販されているのでそちらを使うとこの工程は省略でき

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プリン作り講座 〜座学編〜

プリン作り講座 〜座学編〜

定番のおやつ、プリン。作り方の前にまずは少し座学。プリンの味を決定するのは配合と加熱温度ですが、まずは配合について。

インターネットでプリンのレシピを検索すると全卵を使っているものと、卵黄、卵白をそれぞれ使っているもの、牛乳だけ、牛乳に生クリームを混ぜたものなど、様々な配合のプリンが出てきます。基本的に卵黄を多く配合するとやわらかめのまったりとした味に、 卵白が多いとかためのさっぱりとした味にな

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基本のスポンジケーキ

基本のスポンジケーキ

お菓子の基本シリーズです。前回は膨張剤を使ったケーキ(ビクトリアサンドイッチケーキ)をご紹介しましたが、今回は膨張剤を使わないケーキ=スポンジケーキを解説します。いわゆるジェノワーズ(ジェノバ風ケーキ)というスタイルです。

膨張剤を使うタイプのケーキはグルテンの風船に発生した二酸化炭素を閉じ込めて膨らませますが、スポンジケーキは卵(普通は全卵、卵白のみでもできる)を焼く前に泡立ることでふんわりと

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