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近況:遊びを知らない人間が歓楽街を彷徨うことほど滑稽なことはない

※今回はいつにも増しておかしな内容になっているので、読まれる方は予めご承知おき願います。

2月17日土曜日。
最近は土曜日になると図書館へ行くことが多いのだが、札幌市の中央図書館が蔵書点検で休館中のため、今週は図書館には行かない。

昨年12月より、本を読むことが増えてきていて、それ自体は良いことだと思うのだが、どうも読みたいから読んでいるのか、読まなければならないから読んでいるのかが分からなくなってきた。

目的と手段がいつの間にか逆転してしまっているというのは、私の悪い癖である。結局自分に鞭を打って何かをやるということしかできないので、何をするにも強迫観念と義務感が付きまとう。

人生というのは暇つぶしであるし、社会不適合者として生まれた自分が、何かを頑張ったところで所詮、大した結果にならないことはよく分かっている。

自宅浪人を経て難関大学に合格、フリーランス一年目にしてリーマンの平均年収を大きく上回る額を稼ぎ出すといった成功体験はあるが、それらはいずれも私一人で行ったものであり、その成功を共有し分かち合うような仲間はいない。

何が言いたいかというと、私はいくら頑張っても、人と意思疎通を取りながら絆を育んでいくという、ほとんどの人間にとって当たり前のことがどうしてもできない存在なのだということだ。

今日は地下鉄に乗る。
豊水すすきの駅で下車。ここは「すすきの」の中心部からはやや東にあって、利用者がそれほど多くはないが、意外と外国人観光客も多い。

なぜこの駅で降りたか。それは久しぶりに、すすきのの歓楽街を歩いてみたかったから。

久しぶりといっても、今年1月にも似たようなことはやっているのだが、その時は行けなかったエリア、包み隠さずに言うと「大人向け」のお店が集中するエリアを見てみたかったのだ。

首都圏在住時代、東京の吉原や川崎の堀之内、横浜の福富町、曙町などを見てきたが、すすきのというのは上記の歓楽街とは異なり、「店」がはっきり集積しているわけではなく、やや分散した形で点在している。

すすきのは飲食店と商業施設、そして性風俗店が同じエリアにひしめき合っているという、よく考えてみたらなかなか異様なところでもある。
人通りの多い道路に面した建物に入っている店もあり、その赤々とした看板(札幌の人なら分かるだろう)は教育上宜しくないことは確かだろうが、確か横浜にも似たような立地の店があった。

さて、事前にGoogleマップで調べてみたところ、すすきのでは「新宿通り」と「すすきの通り」という通りが交差するあたりに、その手のお店が多いらしい。

Googleマップより

地図を見ると分かるが、「すすきの通り」と「新宿通り」が交差するあたり(「ジンギスカンさくら」という店の近く)は、道が少しだけズレているように見える。

これは偶然なのか、それとも吉原のように、遊郭を遠くから見えづらくするための作為的なものなのか、どうなんだろうか。

この交差点は、信号が設置されていないので、東西方向から徒歩でダイレクトにアクセスするのは難しい。
それゆえか、この区画だけが人通りの少なく、ひっそりした雰囲気になっている。

真っ昼間なので、客引きらしい人間の姿も見えない。
(吉原は昼でも客引きがいたので、たまたまいなかっただけなのかもしれない、ちなみにすすきのは客引きが鬱陶しいことで有名でもある)

道幅は狭い。雪は最近の高温でほとんど消えたようだ。(そもそも、札幌中心部は積雪が少ないし、人通りが多いので大して雪が積もることは少ない)

しかし何というか、道路が碁盤の目のようになっているせいか、すすきのは吉原や堀之内と比べると、「何かいけないところに迷い込んでしまった」という気分にはほとんどならない。

吉原は道幅がかなり広かったし、周囲の住宅街とは一線を画すような雰囲気が凄かった。すすきのは全体的に浮ついている歓楽街なので、どこをとっても同じような感じ。人通りが多いか少ないか、くらいの違いしかない。

逆に言えば、「私はお店目当てでここに来たんじゃありませんよ」という雰囲気を出しながら、散策をすることができるという良さもある。

すすきのは雪が全然ない。しかも昼間の高温と夜間の低温に晒され、歩道はブラックアイスバーンのように凍結している。
私の住んでいる辺りと比べると、滑り具合が半端ではない。

冬が始まって2か月以上が経ち、少し油断していたせいか、南5条付近の横断歩道で滑ってしまった

滑ったといっても、思い切りすっころんだわけではなく、歩いていたら両足がじわじわと滑り出し、非常にゆっくりとしたスピードで体の重心が下がり、尻が地面についてしまったという感じだ。

なので痛みはほぼなかった。だが、雪国出身で札幌在住歴2年というのに、転んでしまうのはまるで俺は観光客か!と恥ずかしい気持ちになった。

傍から見たら本当にみっともない状態だったと思うが、雪国や北国の冬で生きるというのは、自分の恥部を晒すことと等しい。
「ゲレンデ効果」だって、自分の隠したい部分をパートナーに晒すことによって生じるのだ。

すすきのの横断歩道は観光客を中心に多くの人が通るから、氷が踏み固められて滑りやすくなっている。
雪が降っているタイミングならば、新雪が積もるので滑りにくくなるが、最近はあまり雪も降らず、(昨日は吹雪だったのだが、すすきのは降っていなかったのか?)道路は凍結した氷だけが剥きだしになっていた。

このような状況は、一番危険と言ってよいだろう。
だれか有志の方が「滑り止めの砂」を撒いてくれていたらまだよかったが、ここはすすきの、そんな彼らが現れるのは日が暮れてからだろう。

全く、札幌の冬は真冬よりも、少し暖かくなってきたくらいのタイミングが一番厄介なのだなと(滑りやすくなるから)、改めて思った。

その後は、南5条から地上と地下を行ったり来たりして、「ブックオフ」南2条店に向かう。

しかしまあ、すすきのというエリアは変な奴が多い。
普通の観光客やウェイ系を中心とした若者がほとんどだが、中には「俺が渡れば青信号なんだよ」と言わんばかりに赤信号をひたすら無視して進む男や、横断歩道を渡りながら道に唾を吐く男。
なんか気取ったように唾吐くけど、お前全然格好よくないぞ?
どんな人生を送ってきたらそんな人間になるんかなあ。
勘違いしている奴が多いけど、都会に出て「成長」すること=傍若無人な人間になることじゃない。

南5条西5丁目付近から、南2条西1丁目のブックオフまではやや遠い。
10~20分くらいで到着した。

このブックオフは1~3階まであり、札幌中心部に立地していることもあって客の数は多い。
100円で買える岩波文庫の本はないか探してみたが、岩波新書なら100円の本はあったものの、岩波文庫は500円前後の本ばかりだった。

後日別の店舗に行ってみることにして、今日は終了。
札幌市内にはブックオフが10店舗以上あるし、駅から遠い店舗も多いので、全て行くのは難しいだろう。

さて、今日は久しぶりに凍結した道で滑ってしまったわけだが、きっと滑ったのは神からの啓示があったからだろう。

「お前さ、友達も恋人もいないんだろ?人嫌いなんだろ?なのになんでこんなとこに来た?お前さ、ブレブレなんだよ。もっと一貫性を持てよ。
だからお前は誰からも顧みられないんだよ。ブレブレな人間を誰が好きになる?」
「お前が歓楽街まで来たのは、きっと『人』に興味があったからだろ?
それが興味本位であれ、男の性欲由来であれ、興味がなきゃこんなところには来ねえな。」
「でもな、いくら歓楽街を徘徊したって、お前と付き合ってくれる奴は誰もいないし、お前はどこかの店に駆け込んで相手してもらう勇気もないんだ。
おまけに雪道で滑って恥かいて、何がしたかったんだお前?」
「お前も分かってるだろうけどな、物事には『順序』があるんだよ。
どんな強打者も初心者だった時があるし、どんな秀才も初めはちゃらんぽらんだったんだ。お前も同じだよ。お前は小賢しいから『順序』を無視してやり過ごそうとしている。」
「それをしても上手くいかないことはお前だって分かっているはずで、だからこそお前は店を『利用』するわけでもなく、女をナンパするわけでもなく、ただただ『徘徊』するという名目でここに来た。それがお前にとって一番楽で、カネもかからない。」
「それがお前にとっては合理的なんだろうけどな、いい加減『順序』を意識して行動しろよ。本当に人嫌いならどうでもいいけどな、お前は実は人に興味があるんだよ。なら、ちゃんと道筋を立てて行動しろ。このままじゃお前は、成仏できずに辺りを彷徨っている霊と同じだ。」

という一連の啓二の結果が、私を滑らせたのだろう。
ちなみにこの「神」は、社会学者の宮台真司先生のような声色でお話しされた。

この文章を読んで勘違いされる方がいるかもしれないので弁明しておくと、私には幻聴や妄想の気があるわけではなくて、日常の出来事をもとに熟考して、毒を吐きつつストーリーメイキングするのが思いの外面白かったので、こんな訳の分からないことを書いただけである。

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