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月の科学(クレーター)

天体としての『月』は太陽系の他の衛星と比べると、ありふれたものかもしれません。
そんな『月』について、少し掘り下げてみましょう。

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』の note で取り上げましたが、今回は『月のクレーター』についてです。

月を見上げると、ボコボコと丸いクレーターが多く見られます。
クレーターはラテン語で「カップ」を表す言葉から作られたようです。

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望遠鏡を最初に月に向けたイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイは、月は完全な球体ではなく山やカップのような窪みがあることを見つけました。
彼は著書『星界の報告』のなかでこのカップのことを「小さな斑点」と呼んでいます。

その後、クレーターの起源について「火山の爆発によって作られた」「彗星の衝突による」「氷河の活動による」など、様々な説が出ましたが、アポロ計画により集められたデータや無人宇宙船による観測により、ほとんどの月のクレーターが小天体(彗星や微惑星)の衝突によって形成されたと結論づけられました。
(他の天体に見られるクレーターも同じと考えられています。)

地球にもいくつかクレーターがありますが、月ほどではありません。
それは大気や水の作用で侵食されたり、火山活動やプレートの移動による活動で失われたことによります。
対して月のクレーターはその形成以降、侵食による風化も無く、形成当時の姿を保っています。
(海の部分については、その形成過程で失われていますが)

国際天文学連合でクレーターとして登録している最大のクレーターは裏側にあるヘルツシュプルングクレーター(直径約536km)で、2番目に大きいのは同じく裏側にあるアポロクレーター(直径524km)です。
(ちょうど北方領土を除く北海道がすっぽり入るぐらいになります)

最小クラスはアポロが持ち帰った岩石から見つかる顕微鏡サイズのクレーターになります。

地球から見える表側にあるクレーターは望遠鏡で観測する格好の対象となります。
いくつか特徴的なクレーターを紹介しましょう。

 ・コペルニクスクレーター
  月面に数多くあるクレーターの中でもひときわ目立つクレーターです。 直径は約93kmあり、クレーターの周りの壁は、内側からは高さ約3700mもあります。

 ・ティコクレーター
  満月になると光条を放つクレーターです。その光条は約1500km1にも及び、空が澄んでいれば肉眼でもよくわかります。

 ・アルザッケルクレーター/アルフォンススクレーター/プトレマイオスクレーター
  3つのクレーターが並ぶクレーターです。
  月に中央付近で、望遠鏡で月面を覗くとよく目立つクレーターです。いずれも上弦や下弦の頃が見ごろになります。

 ・クラビウスクレーター
  月の表面で最大級の大きさを誇るクレーターで、直径は約225kmもあり、四国がすっぽり入ってしまうほどの大きさになります。

クレーターを望遠鏡で観測するおすすめの時期は、満月前後ではない時になります。
満月の頃は月の表側に対して正面から太陽に光が当たるため、クレーターに影ができません。
結果、のっぺりとした姿になってしまうため、見たいクレーターに横から光が当たる頃(上弦、下弦前後)に見ることをお勧めします。

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