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小説『対抗運動』 第1章1 『対抗運動』プロローグ

第1章 『対抗運動』

プロローグ

―おいさんは革命家?―舞ちゃん、おいさんは対抗運動をやっています。
だから、対抗運動家です。

1 電話で 2002年11月

舞ちゃん「おいさん、いっつも帰ってくるの、なんでそんなに遅いん?」
おいさん「おいさんにはやることがあるけんね。」
舞ちゃん「お仕事?」
おいさん「舞ちゃん、もう高校生だから、お金もうけ以外にも仕事があるってわかるよね?」
舞ちゃん「うーん・・・」
おいさん「おいさんは野球が好きだから、休みの日にはよくやってるでしょ。プロじゃないけん、一銭にもならんけどね。でもね、ドキドキするんよ、好きじゃけんね。夜も、仕事の後、一生懸命やっとるんよ、対抗運動。」
舞ちゃん「ふーん。面白いの?」
おいさん「舞ちゃん、何でも一生懸命すると面白いんじゃがね。」
舞ちゃん「小説読むみたいに?」
おいさん「ほうよ。舞ちゃん、誰のが好きなん?」
舞ちゃん「宮部みゆき。」
おいさん「舞ちゃん、なかなかセンスいいよ。桐野夏生は読む?」
舞ちゃん「おいさん、読むん?」
おいさん「『OUT』、よかろうがね?」
舞ちゃん「ふーん。おいさんも、小説読むんか・・・・。むつかしんのしか読まんと思とった。」
おいさん「舞ちゃん、むつかしんもドキドキするんよ。」
舞ちゃん「ほんなら読んでみよかいね。おいさんが田舎に残しとるの、貸してもろて。」

(続く)

執筆:飛彈ゴロウ

年齢不詳。
1980年代に中上健次と柄谷行人に震撼される。
1996年、対抗運動開始も半年で挫折。
1999年、対抗運動再開、現在に至る。
(2003.01.29 執筆)

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