トランスコミック

21世紀の新たなアート・アクション 資本主義=国民国家による抑圧から解放され、使用価値、個人のケイパビリティ、シェアに基づく世界を。 「セカイノカラクリ」を改めて、「倫理的」で「経済的」なより良い生き方をするにはどうすればいいか。 ゆっくりでもいいから確実に「セカイノシュウリ」

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21世紀の新たなアート・アクション 資本主義=国民国家による抑圧から解放され、使用価値、個人のケイパビリティ、シェアに基づく世界を。 「セカイノカラクリ」を改めて、「倫理的」で「経済的」なより良い生き方をするにはどうすればいいか。 ゆっくりでもいいから確実に「セカイノシュウリ」

マガジン

  • 『探求』をめぐって

    柄谷行人が『探求』執筆時にめざしていた「教える-学ぶ」の、特に「教える」立場の重要性を考察します。 子供や外国人に「教える」立場に立つことを考えるのが本書のテーマであって、それによって「話す-聞く」という思想的なパラダイムを「教える-学ぶ」というかたちに変更したい。しかし、それは「学ぶ」立場(後者)に立つことではない、と言っているのです。「学ぶ」立場に立ってしまっては、本著でテーマとする「教える-学ぶ」という関係性そのものが消失してしまうのです。(執筆:田辺龍二郎)

  • アーカイブ集

    トランスコミックエクスプレスのサイトに掲載された記事のアーカイブ集です。2001年から2011年ごろまで執筆されたものでも、いま読んでもおもしろかったもの、人気があったもの、を選び出しています。

  • 回帰する核家族の未来

    トッド『家族システムの起源』が描く生態としての家族。家族と恋愛と芸術がベースにある対抗運動の姿。筆者:田辺龍二郎の渾身作。

  • セカイノカラクリ・セカイノシュウリ

    どうして、今の「世界のカラクリ」はこうなのか? それはどうしても変えようがないほどの「世界のカラクリ」なのではないか? どこから「世界のシュウリ」を始めたらいいのか?  それが問題だ。

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最近の記事

探究をめぐって 7.複雑性の科学と他者性

ジェフリー・ウェストの『スケール』と複雑系 ジェフリー・ウェストの『スケール』という話題の著作ですが、内容は、物理学者=生物学者=数学者である筆者の書いた社会学です。一言で言えば、生物学的見地を都市論や企業論に応用する、というものです。そして、ここに通底するテーマは、もちろん複雑系です。 筆者によると、複雑系とは、構成要素(つまり、部分)に関する説明をいくら集積してもその個体(つまり、全体)を説明するには不十分であるような系である、といいます。例えば人間。人間は、脳とか

    • 小説「対抗運動」第12章(完) 資本制の中でしのぎながら可能なる対抗運動を

      小説「対抗運動」第12章1 ルバーブとツリーズカフェの取引 舞ちゃん「おいさん、今度ツリーズ カフェのイヴェントをルバーブのジュンさんが手伝うんやと。」 おいさん「おー、それはええ。けど、東金と練馬いうたらずいぶん離れとるね。お互いにメリットはあるんじゃろか?」 舞ちゃん「両方に共通なんは、有機農家が作っとる食材を使って、命を湧き立たたす料理を出すとこと、フェアトレード・コーヒーを扱っとるとこかな」 おいさん「ジュンさんは経験豊富やから、ツリーズ カフェさん見たら何んかええ

      • "音楽家独立物語"

        2002年春に、神戸のBig Appleで催されたシンポジウムより。  福井(以下、福) それでは日本でもトップクラスのミュージシャンの皆様をお迎えして――まず、音楽製作の現場から、より具体的に、現代の経済システムの問題点を考えたい。また会場の皆様も巻き込みましてフリートーク形式で、ざっくばらんに語り合えたら、と思います。司会は私、福井哲也がつとめさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)  まずはパネリストの皆さんを御紹介いたします・・・初めにこちらか

        • 小説「対抗運動」第11章 古代中国の革命は大自然とつながること

          小説「対抗運動」第11章1 ネーションをあるべき位置に押し戻す 舞ちゃん「高瀬先生、胡蘭成や保田與重郎と岡先生の晩年の交流の様子を聞かせて下さい。」 高橋先生「はいっ。『春宵十話』が優れた文人達を引き寄せたのですね。発表は1962年ですが、小林秀雄は出版前に、新聞連載を読んで感銘を受け、この年の秋にはすでに批評を発表していますが、保田與重郎の反応も早かったです。翌63年には手はずを整えて奈良で岡先生に会ってますね。胡蘭成が面会に訪れたのは68年の5月です。同年の10月には早

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        • 『探求』をめぐって
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        記事

          小説「対抗運動」第10章 岡潔をめぐって

          小説「対抗運動」第10章1 イラク中部のファルージャ 舞ちゃん「おいさん、停戦しとったはずじゃのに、米軍がファルージャを空爆したんやと。また戦争になるんやろか?」 おいさん「新聞には、こう書いとるね。昨夜の攻撃は〈武装組織への反撃と掃討作戦に限定したものとの見方が強い〉と。丁度、国連のブラヒミ氏が、安全保障理事会で暫定政府作りに関する提案を行なった日じゃったから、あえてアメリカ政府が、停戦合意をほごにするような軍事作戦を命じたとは考えにくいんじゃと。 」 舞ちゃん「今度ブッ

          小説「対抗運動」第10章 岡潔をめぐって

          小説「対抗運動」第9章 事前と事後 (入学試験の前と後 発表を控えて)

          舞ちゃん「おいさん、試験すんだよ。」 おいさん「どうやった?」 舞ちゃん「あんまりできんかった。けど、なんか奇妙や。」 おいさん「うん? なにが奇妙なん・・・?」 舞ちゃん「受かるんと落ちるんでは大違いやろ? 発表の前と後とでは、まるで私が別人になるみたいで・・・」 おいさん「はあーん、成る程ね。舞ちゃんは、舞ちゃんじゃ、変わるはずもないのに、受かるんと落ちるんでは確かに天国と地獄じゃ。発表を境にして、前と後とでは人生が変わってしまうようなような錯覚があるね。」 舞ちゃん「ね

          小説「対抗運動」第9章 事前と事後 (入学試験の前と後 発表を控えて)

          小説「対抗運動」第8章5 夢の中でのように動く世の中

          舞ちゃん「おいさん、陸、海、空の3自衛隊は、イラクに派遣されるんやねえ。これは、私らの責任なん?」 おいさん「政府が派遣命令を出したんやから、政府の責任やろ。けど、その責任を追及するんは、舞ちゃんやおいさんの責任やね。」 舞ちゃん「どしたらええんやろ?」 おいさん「舞ちゃん、代表制いうんは、夢の中での出来事によう似とるね。代表者は選ばれたんやから、自分が正しいと思うことを決定する権利がある。けど、選ばんかった人らから見たら奇妙やね。どうして代表者が派遣命令出したか納得が

          小説「対抗運動」第8章5 夢の中でのように動く世の中

          小説「対抗運動」第8章4 入試と協同組合

          おいさん「舞ちゃん、センター試験は受けたん?」 舞ちゃん「うん、ちょっと雪が降って寒かったけどね。あんまり出来んかった。」 おいさん「やっぱり協同組合学科?」 舞ちゃん「おいさん、そんなんないよ。受かったら、政治と経済と語学と文学をみっちりやる。いろんな活動もしながらね。英語は苦手やったけど、毎日ちょっとずつ読むようにして、だいぶ読めるようになったよ。Transcritique の前半のKant は読んだよ。試験に出たら絶対受かると思うんやけど、出んやろね(笑)」 お

          小説「対抗運動」第8章4 入試と協同組合

          小説「対抗運動」第8章3 もみがらミネラル炭、の挫折

          おいさん「舞ちゃん、悪い知らせじゃ。」 舞ちゃん「どしたん?」 おいさん「新庄の佐藤さんから手紙が来てね、もみがらミネラル炭、のプロジェクトは放棄されたんじゃと。」 舞ちゃん「エーッ、なんで?」 おいさん「売れんかったからじゃ。」 舞ちゃん「ほいでも、そんなに焦って止めいでもええのに。」 おいさん「残念やけどしょうがない。おいさんもよう売らんかったけんね。経済的に立ち行かんもんは、あかんのじゃ。理想を追っかけるためには、経済的にも成り立っていかんとあかんのや。経済

          小説「対抗運動」第8章3 もみがらミネラル炭、の挫折

          探究をめぐって 6.分裂症と『悪霊』

          『罪と罰』と神経症 ドストエフスキーの『罪と罰』が神経症によって神経症を治癒する小説だとすれば、『悪霊』は分裂症の治癒を目指した小説です。 実際、ラスコーリニコフの精神疾患は神経症的です。彼は潜在的に社会≒経済的にも自立し、立身出世を望んでいるような大学生です。愛する兄妹の幸福(=幸せな結婚)も強く望んでいる。その意味で、彼は通常の道徳的な価値観を抱き、社会に適応しようとしているのですが、それがうまくそれができない人物として描かれているのです。彼は、結果的に幻覚に悩まさ

          探究をめぐって 6.分裂症と『悪霊』

          小説「対抗運動」第8章2 千倉の「風の王国」

          舞ちゃん 「おいさん、今、千倉におるんよ。」 おいさん「なんで?三里塚へ行ったんやないんか。ん、佐倉?」 舞ちゃん「ううん、千葉の先端の千倉。グリーンコンシューマーのとこに行ったらいろんな人と会うてね、東金のミュージシャンもおって、ルバーブまで乗せて行ってもろた。イスラエルのキブツから一時帰国しとる人もおったよ。」 おいさん「わかった、ルバーブでカナエちゃんに会うたんやな?今、カナエちゃんは千倉で絵、描いとるそうやから・・・」 舞ちゃん「おしい(笑) ルバーブのジュン

          小説「対抗運動」第8章2 千倉の「風の王国」

          小説「対抗運動」第8章1 グリーンコンシューマー

          舞ちゃん 「おいさん、千葉の鴨川の棚田の稲刈り、もう済んだん?」 おいさん 「おー、あれは先月じゃったよ。幸い冷害の影響は受けんかった。けど山形の新庄はやられたみたいや。在来種のさわのはなの被害は少なかったようじゃが、阿部さん(新庄のエジソン)とこは地理的な条件も悪かったようで、無農薬栽培のあきたこまち、は大打撃を受けたようじゃ。」 舞ちゃん 「水田トラストは大変やね。去年は大豆トラストが全く収穫なしやったね。お百姓は辛いもんやね。」 おいさん 「舞ちゃん、新庄の百姓た

          小説「対抗運動」第8章1 グリーンコンシューマー

          小説「対抗運動」第7章5 「デモしかバンド」の木の実ちゃん

          舞ちゃん おいさん、これからハバナ空港へ向かうんやけど、ええニュースや。 おいさんらと一緒にイラク攻撃反対のデモに参加した、デモの時しか演奏せんバンドの、木の実さんいう人とハバナ大学の構内で会うてね、おいさんの疑問調べてくれるように頼んどいたよ。木の実さんは、キューバの教育制度を調べに来たんやたと。 びっくりしたんやけど、おいさんのこと知っとったよ。東京にはいろんな人がおるんやね。田舎ではデモもできんかったのに。キューバは医療費のみならず教育費も無料なんやけど、留学生にもこ

          小説「対抗運動」第7章5 「デモしかバンド」の木の実ちゃん

          探究をめぐって 5.NAMはどうして失敗したのか?

          柄谷行人とドゥルーズ&ガタリ 『探求Ⅱ』の第三部「世界宗教をめぐって」の「精神分析の他者」において、柄谷行人は、フロイトが神経症を分裂症と区別する基準を感情転移の有無に、つまりリビドー理論による治療の実効性に求めた上で、すべての精神疾患を「神経症」として定義した精神分析運動に、対抗運動の可能性を見ています。しかし、柄谷は、ドゥルーズ&ガタリによる『アンチ・オイディプス』は反フロイトであるとまっとうに指摘しながらも、神経症と分裂症の区別の基準は同一であること、対抗運動の可能性

          探究をめぐって 5.NAMはどうして失敗したのか?

          小説「対抗運動」第7章4 官僚支配

          おいさん、ほうか、「五つの共産主義」はもう30年前の本になるんやね。ハッハッハ。 日本の会社でも、何百人とか、すこうし規模が大きなると「官僚」支配になるね。 計画して指図する少数の人たちと、それに従うだけの大勢の人々、いう関係じゃ。 今、さかんに言われとる「改革」は、この弊害をなくすことを目差しとるんじゃが、日本の企業の場合は、その目的が利潤を上げることだけに集中しとるね。ほんとうはおかしんじゃが、もう誰もさからえんね。 社会主義諸国はとてつもなくこの規模が大きかったけん

          小説「対抗運動」第7章4 官僚支配

          小説「対抗運動」第7章3 協同組合学科

          おいさん、うちは明後日にはもう日本へ帰るんよ。どうやって調べるん? ハバナ大学には協同組合学科があるんやて。訪ねてみよかな。日本の大学にもあるかなあ。帰ったら受験勉強せないかんけど、協同組合のことも調べたなった。 おいさんが薄いから持っていけ言うた岩波新書の『五つの共産主義』、やっと読み終わったよ。30年も前の本やね。キューバにはあんまり期待してないね。 この本で一番問題になっとるのは、生産手段が共有になっても、必ずしもそこで働く人らが自由になれへんかった、いうことやと思う

          小説「対抗運動」第7章3 協同組合学科