『探究』をめぐって 1.『探求』の到達点とは何処だったのか?
與那覇潤は『平成史』において、『探求』の柄谷行人は「教える」立場に立とうとした、と書いています。私はこれを、「教える-学ぶ」立場に立とうとした、という意味に捉えていましたが、『探求』を読み返して気づきました。間違っていたのです。というのも、冒頭近くで柄谷は次のように書いているからです。
ここで「後者」が何をさしているかが重要なのですが、ここで柄谷が指しているのは「学ぶ」立場のことです。つまり、子供や外国人に「教える」立場に立つことを考えるのが本書のテーマであって、それによっ