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『探求』をめぐって

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柄谷行人が『探求』執筆時にめざしていた「教える-学ぶ」の、特に「教える」立場の重要性を考察します。 子供や外国人に「教える」立場に立つことを考えるのが本書のテーマであって、それに… もっと読む
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記事一覧

探究をめぐって 7.複雑性の科学と他者性

ジェフリー・ウェストの『スケール』と複雑系 ジェフリー・ウェストの『スケール』という話…

探究をめぐって 6.分裂症と『悪霊』

『罪と罰』と神経症 ドストエフスキーの『罪と罰』が神経症によって神経症を治癒する小説だ…

探究をめぐって 5.NAMはどうして失敗したのか?

柄谷行人とドゥルーズ&ガタリ 『探求Ⅱ』の第三部「世界宗教をめぐって」の「精神分析の他者…

探究をめぐって 4.資本主義と共産主義の境界

必要に応じて与えるとは? マルクスは、能力に応じて与えるのが資本主義であるのに対して、共…

『探究』をめぐって 3.「教える」立場と資本主義論

資本の運動 マルクスは交換における外部の他者性を明示するという必要から、『資本論』の第1…

『探究』をめぐって 2.「教える」立場と「はじまり」の理論

國分功一郎は『中動態の世界』において、カント流の主意主義を拒否しながらも意志の可能性を問…

『探究』をめぐって 1.『探求』の到達点とは何処だったのか?

與那覇潤は『平成史』において、『探求』の柄谷行人は「教える」立場に立とうとした、と書いています。私はこれを、「教える-学ぶ」立場に立とうとした、という意味に捉えていましたが、『探求』を読み返して気づきました。間違っていたのです。というのも、冒頭近くで柄谷は次のように書いているからです。 ここで「後者」が何をさしているかが重要なのですが、ここで柄谷が指しているのは「学ぶ」立場のことです。つまり、子供や外国人に「教える」立場に立つことを考えるのが本書のテーマであって、それによっ