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【旅行記6-3】サイコロきっぷで行く隠岐の旅〜西ノ島編〜

【前回のあらすじ】
フェリーに乗り,隠岐諸島・知夫里(ちぶり)島に一泊した私は,積雪の残る島内を無謀にも電動自転車で巡った.主要な観光地である「赤壁」「赤ハゲ山」を巡ったのちに港に戻り,次の島へ向かう.

7. ISO感度高め

12:09 内航船いそかぜⅡ

知夫里島の来居(くりい)港で待っていたのは,隠岐汽船の大型フェリーではなく,隠岐観光が運航する内航船,いそかぜⅡだった.

隠岐観光が運航する島前内航船のルート
(出典;隠岐観光株式会社,https://www.okikankou.com/inter-island-ferry/#timetable,2023年4月22日閲覧)

島前内航船は,島前の3つの島を結ぶ船で,隠岐汽船の役割を補完している.本数も隠岐汽船に比べて多く,島前各島の移動には重宝する.

12:10 いそかぜⅡに乗り込む.

内航船には,郵便物やヤマトの配達物も一緒に載せられる.島民の生活インフラを支える重要な航路だ.

私が次に向かうのは,島前三島で人口・面積ともに最大の西ノ島.西ノ島の玄関口・別府港に向けて,いそかぜⅡは出航する.

12:12 いそかぜⅡの最前部の席から

私は船の最前の展望席に座った.小さい船なので結構揺れると思っていたが,カルデラの外輪山に囲まれた地形のために波は穏やかだった.

12:15 島前の内海を進む
12:29 中ノ島・菱浦港に着岸

いそかぜⅡは最初の寄港地・菱浦港に着岸する.今回の旅では時間の都合上,中ノ島には立ち寄れなかった.また機会があればリベンジしたい.

12:36 西ノ島・別府港が見えてくる

船は進路を西に取り,西ノ島に向かう.これまで見てきた来居港,菱浦港と比べると大きな港だった.穏やかな内海を進み,別府港に到着.

12:37 別府港に着岸するいそかぜⅡ

内航船を降りて,まずは別府港の周辺をうろうろすることにした.

12:43 別府港のようす

港から少し南に歩いたところから別府港のターミナルを望む.港のすぐそばまで断崖絶壁が迫っていた来居港とは全く印象が違う.ターミナルの建物も大きく,港の周辺には多くの民家が密集していた.

12:53 昼食のサザエ丼

ここで,港近くの「コンセーユ」というお店でランチにすることにした.ここのお店の名物がサザエカレーとサザエ丼だったのだが,私はサザエ丼を注文した.

サザエ丼は強烈な磯の香りとともに提供された.サザエと海藻がてんこ盛りで,海鮮好きの私にとっては大満足のどんぶりだった.食べ進めていくうちに,その強烈な磯の香りが口の中にも伝って,完食する頃には完全に口の中が磯に包まれていた.サザエを食べるというより,磯をそのまま食べる感覚に近い.
お店を出てもなお,口の中のISO(磯)感度が高めで,結局その磯の香りはこの日の夕食を食べるまで消えることはなかった(笑).サザエをたっぷり味わえる大満足のサザエ丼,皆さんも隠岐に遊びに行った際に試してみてはいかがだろうか.

13:13 ヤギに襲われかける

昼食を食べ終えて,港の周辺をぶらぶらしていると,ヤギに襲われかけた.ロープに繋がれていたので大丈夫だったが,ヤギが思いのほかこちらに接近してきたのでびっくりした.

13:14 黒木発電所

少し奥に進むと島前で唯一の発電所である黒木発電所があった.

13:16 西ノ島中学校の校舎,木造の建築が美しい

木造の大きな建物が見えてきた.西ノ島小中学校の校舎のようだったが,1月末の平日にもかかわらず中に人の姿はない.

13:17 西ノ島中学校の入口
13:18 横から校舎を眺める
13:22 旧校舎の外観

ここはかつて西ノ島小中学校の校舎だった場所だが,現在は場所が移転しており使われていないようだった.

13:22 旧校舎の外観

その古びた校舎は美しく,観光資源としても活用できそうな気がする.もうすでに解体作業は始まっているのだろうか…

13:33 隠岐汽船のフェリーが入港してきた

旧校舎から再び海岸沿いに出ると,ちょうど大きな船が別府港に入港してきた.隠岐汽船の大型フェリーは本当によく目立つ.

13:38 後醍醐天皇の御所があった黒木御所趾

隠岐は昔から遠流の地として知られてきた.京の都から流された罪人の中には,後鳥羽上皇や後醍醐天皇というよく知られた人物もいる.西ノ島には,後醍醐天皇のすみかであった黒木御所の跡地がある.

13:42 黒木神社

階段を登ると黒木神社がある.黒木御所はそのさらに奥にあったそう.

13:44 黒木御所の跡地

神社を奥に進むと黒木御所の跡地があった.山の上で攻め込まれにくい立地なのだろう.にしても天皇が住むとは思えない狭さだった.

13:41 別府港に着岸するフェリー

黒木神社から外を見るとフェリーが見える.フェリーの存在感が大きすぎて遠近感覚がバグりそうである.

13:47 黒木神社の鳥居.港のすぐ近くにある

神社から階段を降りると,港のすぐ目の前に鳥居がある.

13:52 別府港を出港するフェリー

海沿いの道を歩いていくと,別府港からフェリーが出港していた.大型のフェリーは少し進んで方向転換し,島後島・西郷港へ向かっていった.

13:55 穏やかな内海を進むフェリー


8. 断崖絶壁の馬

西ノ島のドライブルート
(Googleマップより引用)

別府港に戻った私は,港のターミナルのすぐ近くにあるレンタカー屋で車を借りて,西ノ島を巡ることにした.まずは崖の上にある摩天崖に車を走らせる.離島とはいえ西ノ島はまだ栄えていて,行き交う車も想像以上に多かった.

14:22 進路を塞ぐ馬

しばらく街中を進み,摩天崖に向けて坂道を登っていると,進路を馬に塞がれた.午前中は知夫里で自転車を漕いでいると進路を牛に塞がれて,午後は馬に塞がれた.なんて日だ

14:23 道端に立つ馬

奥にはもう2頭の馬がいた.知夫里島が牛の島なら,西ノ島は馬の島とでも言うべきか.

14:27 国賀海岸を望む

2頭の馬の奥に見えたのは国賀海岸の絶景.この日は雪の予報だったはずだが,隠岐はよく晴れていた.

14:27 摩天崖の駐車場付近に集まる馬.奥には島前のカルデラが見える

途中から日陰に入り,雪が残る道を慎重に車で進み,ようやく摩天崖の駐車場に到着した.駐車場から後ろを見ると,こちらにも馬が集まっていた.背後に見える海は島前のカルデラ.

14:28 絶景を背後に草を食べる馬

駐車場の一帯は牧歌的な雰囲気だった.

14:29 左右に海を見渡せる場所
14:29 駐車場から眺めた島前カルデラ
14:33 摩天崖の上は草原が広がっていた

駐車場から崖の上に向かって歩いていく.崖の上には草原が広がっていて,2〜3頭の馬の姿もあった.

14:34 旧日本軍の監視所跡

崖の上は日本海を航行する船をよく見渡せるため,かつて旧日本軍の監視所が置かれていたそうだ.

14:37 摩天崖の先端に立つ
14:36 崖から下を見下ろす

摩天崖は海抜257mに位置する.下を見下ろすと青い海が広がっていた.目の前の草木が邪魔で,高さの感覚は掴めなかった.

14:37 南側を望む

右側には日本海,左側には島前のカルデラが広がる.

14:40 カルデラを見下ろす
14:41 崖の上で草を食べる馬

崖の上でのんびり気持ちよさそうに草を食べる馬.1月末の割には暖かく過ごしやすい陽気だった.

14:49 国賀海岸を背後に居座る馬

摩天崖からの帰り道.行きの道中で馬に道を塞がれたところにまた立ち寄った.ちょうど海岸をバックに馬が居座っていたので撮影した.

14:52 凛々しいたてがみが美しい
14:53 カルデラをバックに並ぶ3頭の馬

奥にはカルデラが見渡せる.右側の車は私が借りたレンタカー.

14:54 3頭の馬が並ぶ

3頭の馬に見送られて,摩天崖を後にした.


9. 通天橋と対岸の赤ハゲ山

14:56 レンタカーで少し進んだところ

レンタカーで坂を一気に下り,次なる観光スポットである通天橋へ向かった.

15:06 奇岩が美しい

手前の駐車場に車を停めて海岸沿いに下りていく.奥には切り立った岩が並んでいる.

15:13 国賀神社

奇岩が並ぶ海岸沿いには国賀神社がある.

15:14 国賀神社の祠

岩の隙間の狭いスペースに鳥居と祠が並んでいる.わざわざこんなところに作られた経緯がわからないが,とても神秘的だった.

15:16 お目当ての通天橋

国賀神社から海岸沿いに進んだ先にお目当ての通天橋はあった.岩が左右につながっていて橋のようになっている.岩石の中央部が波によって削られて海蝕洞となり,このような景観が生まれたのだそう.岩を見てみると,上下にくっきりと地層が現れている.

15:21 通天橋の手前には岩が並ぶ

このような海蝕洞はこの近辺に多く存在したそうだが,崩落して現在では一番奥の通天橋しか残っていない.通天橋の手前には岩が並んでおり,かつての海蝕洞の跡がうかがえる.

15:43 赤尾展望所からの風景

通天橋から車を走らせ,細い道を進み,山を1つ超えたところに赤尾展望所がある.標高が高く,雪も若干残っていた.

15:45 国賀海岸の全景

そしてこの展望所からは,先ほど訪れた国賀海岸を見渡すことができる.通天橋に,大小様々な岩,そして奥に聳える高い崖.日本海の荒波が造り出した絶景だ.

15:46 展望所周辺は放牧地になっている

こちらは先ほどの写真から少し引いて撮影したもの.この一帯は放牧地になっており,摩天崖の上と同様に馬がのんびりと歩いていた.

15:56 赤尾展望所からの帰路

国賀海岸の絶景を楽しんだあとは,西ノ島最南端の展望所,鬼舞展望所へと車を走らせる.

16:03 鬼舞展望所付近は積雪があった

鬼舞展望所へ向けて坂を登っていくと,途中から雪道に変わった.慎重に車を走らせていく.駐車場に車を止めようとすると,駐車場の手前で車がスタックしてしまった.バックしてスタックを乗り越え,駐車場の手前の道端に車を停めて,歩いて展望所へ向かうことにした.

16:14 展望所まで歩いていく

展望所まで雪道を歩いて進んでいく.後ろを振り返ると西ノ島が一望できる.

16:14 雪道を進んでいく
16:16 頂上から見える知夫里島

雪道を進んで丘を登った先に,対岸の知夫里島が見えた.知夫里島の山には雪が積もっており,その山の頂上が,今朝私が自転車で登った赤ハゲ山の展望台である.

16:16 赤ハゲ山の頂上に展望台が見える

こうしてみると,よく自転車で登れたものだと実感する.この1日であの展望台から港まで行き,船で西ノ島に渡って,車でその対岸までやってきた.ハードな行程だったが,このとき私は達成感を覚えていた.

16:16 知夫里島と中ノ島

左に目をやると,左奥に中ノ島を見ることができる.島前の3つの島と穏やかな内海を見渡せる絶景スポットだ.

16:19 展望所から山を下りる

レンタカーの返却時間が迫ってきたので,すぐに引き返す.雪道を再び歩いて車まで帰ることにした.

16:24 車まで帰ってきた
16:58 別府港のターミナルにて

こうして西ノ島を車で巡る旅は終了.車をレンタカー屋に返して,私は次なる島へ向かうことにした.

17:10 フェリーしらしまが入港

別府港に再び大型フェリーが着岸した.こちらは昨日も乗船したフェリーしらしま.境港を出発して,知夫里島・来居港を経由して別府港にやってきたのだ.

17:12 乗船券を購入

フェリー乗り場で西郷港までの乗船券を購入.やはり硬券.

17:20 別府港を出港

フェリーしらしまは定刻で別府港を出港した.こうして島前の2つの島・知夫里島と西ノ島を堪能した私は,目玉の親父と一反木綿に見送られて,いよいよ隠岐諸島最大の島・島後島へと向かうのであった…

つづく

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