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キナリ杯出版記念リモート飲み会その2の御礼と、長いおまけ

 一昨日、キナリ杯出版記念リモート飲み会その2が開催されました。楽しかった様子はきっと他の方が書いてくださるかなと勝手に期待しつつ、この記事ではリモート飲み会に参加したことで自身の活動スタイル(素性をなるべく明かさないままペンネームで活動すること)について見つめ直したことを長いおまけとして書きました。

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 キナリ杯出版記念リモート飲み会とは、「キナリ杯」の受賞作品集が電子書籍になった日に受賞者の村上牛さんがカラエ智春さんに声をかけ、突発で実現したリモート飲み会のこと。世界史の鳩さん/森のカルロス大根さん/酔っ払い化学者さんも参加され、楽しく開催されたとのことでした。
 この飲み会の後日談をカラエ智春さんや村上牛さんなどが発信したことで、「当日参加できなかったけれど次があれば参加したい」という声が集まり、お二方がキナリ杯出版記念リモート飲み会2を開催してくださいました。

 ↓キナリ杯出版記念リモート飲み会1のまとめはこちらから↓

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キナリ杯出版記念リモート飲み会2当日のメンバーは11名!
飯尾早紀さん
凹地かえるさん
さん
カラエ智春さん
サトウカエデさん
世界史の鳩さん
寅三奈
nomi3さん
パン子さん
村上牛さん
森のカルロス大根さん
(note上でのお名前の五十音順です。リンクを押すとキナリ杯の受賞作品に飛びます。)

 全員一斉に集まれた訳ではありませんでしたが、濃いリモート飲み会でした。あたたかく迎え入れてくださり皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


ここからはかなり長いおまけゾーン。ブラウザバックを推奨します。

 

 さて、冒頭にあった「自身の活動スタイルについて見つめ直した」件です。当日私は終始チャットでの参加をしておりました。他の参加者とは異なり、文字だけで参加するという方法なのですが、この参加方法はもどかしい気持ちになることが多々ありました。文字を打つという手間が発生するとどうしてもワンテンポ遅れてしまうので、その瞬間に頷いたり話を切り出すことができません。送信せずに呑み込んだ言葉多数。さらにせっかく話題を振ってくださっても、文字を打ち終えるまで他の方を待たせてしまい、申し訳ない気持ちに駆られてしまいます。大変おすすめしません。ちなみに森のカルロス大根さんもチャット参加だったのですが、似たような葛藤を抱えていたかどうか気になっています(カルロスさんのタイピングは早かったので、このような不自由さは感じていらっしゃらなかったかもしれません)。
 それでも私が終始チャットに固執していたのは、自身の恥ずかしさによるものから。音声で参加する勇気すらなかったのです。しかし今になって振り返ると、その「恥ずかしさ」というのは解像度が低く、もっと深堀りできそうなことが判明しました。


私の言う「恥ずかしい」というのは本当に「恥ずかしい」だったのか 
 そもそも私が普段ペンネームで活動しているのはなぜだろうかと考えた時、表向きの理由と裏向きの理由の二つが存在することに気づきました。

表:作者について知るための手かがりとして作品を見られたくない
裏:本名で過ごしている自分と「寅三奈」名義で活動している自分を連携させたくない

 表向きの理由は、詩人としてご活躍されている最果タヒさんと同じです。最果タヒさんは顔出しは一切行っておらず、プロフィールも最低限に留めています。

私は作品を、作者という存在を知るためのヒントとして見られることが本当に好きではなく、正直、作者のプロフィールとかずっと邪魔で仕方なかった。(中略)私は他者の意識のなかに、言葉というものはあると思っているのだから、いつだって私の作品は、最初から他者のみでできあがっている。だから私のことなんて忘れてしまったほうがいい。私のことが好きか嫌いかなんて本当、作品には関係がなく、いつだってその作品を好きかどうか、それだけのこと。
(引用:「私の言葉」などこの世にはない|最果タヒさんのBlogより)

 引用させていただいたブログは何度読んだか分かりません。とっても同じ気持ちです。

 裏向きの理由は、今回の記事を書くにあたって考えることで気づいたもの。でももしかするとこちらの方が比重が大きいかもしれません。
 本名の自分は、自己肯定感が低めです。「これがこうだったら良いのに」というコンプレックスも盛り沢山。思ったことを即座に言葉にできないというのもその一つ。そんな自分を救うべく「寅三奈」名義で読書メーターというSNSを始めて本の感想文を書くようになったのがはじめの一歩。色々な本を読み進めていくうちにせきしろさん・又吉直樹さん著の自由律俳句の本に出会い、自由律俳句に興味を持ったのが一昨年頃。自分でつくった自由律俳句をTwitterで発信するうちにそれらをまとめたいと思いnoteを始めたのが今年の一月。せっかくnoteを始めたのだから、もっと長い文章を書いたり色々なことをしてみようと思い立ったのが五月ごろ。おかげさまで「寅三奈」名義で知り合った方々の優しさに救われて、自分の一部も少しずつ好きになることができています。いつも良くしてくださって本当にありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。
 だからこそなのかは分かりませんが、せっかく好きになった自分の一部と、まだまだ自己肯定感が安定していない素の自分をイコールで繋げるのが怖い。繋げた瞬間に「寅三奈」という存在が溶けてなくなって本来の自分に吸収されてしまうのではないかと思ってしまって怖い。
 私のいう「恥ずかしい」には、恥ずかしいと感じている素の自分を表に出すことで心の拠り所が消えてしまうかもしれないという恐れが含まれていました。

とってもとってもとっても優しい受賞者のみなさま
 リモート飲み会から一時間ほど経過して確信したこと。皆さん、とっても優しい。話題が絶えないようにとお題をリスト化くださったりと配慮に絶えない牛さん。「ゆっくりで大丈夫だよ」とあたたかく時に頼もしくお声をかけてくださる智春さん。満遍なく話題を振ってくださりラジオパーソナリティの才を発揮されていた理さん。愛されお面で笑いを誘った鳩さんとかえるさん。お忙しかったり体調が優れなかったりとお時間が限られている中、少しでも顔を出してくださり場を盛り上げたり優しい言葉をかけられていたカエデさんと早紀さんとnomi3さん。愛のあるツッコミでスター性を放ちつつ、周りからのアドバイスを傾聴するパン子さん。私と同じチャット参加組でありながらも積極的に話題に参加して輪に溶け込んでいたカルロスさん。皆さんの言葉の端はしに表れるその優しさに私は一人で感動していました。きっとこの方々なら、普段は恥ずかしくて外に出せない部分もあたたかく受け止めてくれるだろうし、秘密にしてほしいことだってきちんと秘密にしてくださる。それなのに、「大丈夫、ここの人達は優しいから勇気を出して喋っても良いんだよ」の言葉に応えることができませんでした。飲み会を終えた後、心に申し訳なさという小さなしこりを残してしまいました。




 飲み会の翌日、音声参加の勇気が出なかったことをぽそっと夫に言うと、こんな返事が戻ってきました。

 

 「それは、機会損失をしているよ」

機会損失、なるほど。経済用語が出てきた。
本来得られるはずの機会を失ったということか。


 「だってチャットのせいで半分も対話できなかったんでしょ。それはもったいなかったよ。それに僕だったら、素性が分からないままって胡散臭いと思って警戒しちゃうかも。せっかくの機会だったのにそれはもったいなかったんじゃない?」

なるほど、そういう意見もあるのか。辛辣だけど、そう思われても仕方がないかもしれない。


 「そもそもなんでそんなに怖がってるの? もし仮に見知らぬ誰かに何か変なことを言われたりしたら、適切な措置をとって訴えれば良い」

潔い。いさぎよすぎて眩しいよ。でも確かに。
最近は匿名で誹謗中傷を書く人に対して適切に処罰できるように制度を整えようと進んでいるもんね。


 「恥ずかしいって言っているけど、多分きっと今の君の考えのままだと、仮に君が体も心もエマワトソンで、はたから見て完璧だったとしても、一生外には出れないと思うよ。もったいない」

エマワトソンときたか。そうだね。そうかもしれないね。


「そのマインドセット、変えて行こうよ」

 親指を立てるジェスチャーをしながら歯を見せてニカっとする夫。胡散臭い勧誘の人みたいで笑ってしまった。でも元気が出たし、少し今後の方針も見直せそう。ちなみにこういうアドバイスをしておきながらも夫はLINE以外のSNSを一切やっていないので驚く。



 リモート飲み会と翌日の個人反省会を経て、活動方針が少し前進したように思います。今後もペンネームで活動することには変わりませんが、頑なに外に出ないように徹底するのではなく、牛さんかえるさん鳩さんのように、場合によっては柔軟に。円滑に活動が進む方を選べるようにしたいと思います。

 よく調べると最果タヒさんも、顔出しせずにプロフィールも最低限に留めて活動されてはいますが、取材自体には応じられたり、声だけで出演されたりしていることが分かりました。やはり私は頑なすぎていたようです。

 色々反省を含めても、今回のリモート飲み会に参加できたのはとても良い機会でした。岸田奈美さん、キナリ杯に関わられたみなさん、リモート飲み会を開催くださった牛さん智春さん、リモート飲み会に参加されたみなさんに感謝したいです。本当にありがとうございます。


⌘おまけのおまけ⌘


不思議がって二回ほど部屋のドアを開け妻の生存確認をした夫   
 PCからZoomにログインしたらマイクはONにして自身の顔は映して好きな飲み物をグラスに注いで会話をするというのがリモート飲み会の一般的な参加方法。リモートだってやはり飲み会は飲み会。ワイワイがやがやとした雰囲気が部屋いっぱいに広がります。
 一方私の参加方法は無音。スマホからZoomにログイン後マイクはOFF、自身の顔は映さず参加。さらに参加メンバーの音声はイヤホン越しに聞いていたため部屋はクーラーの送風音が響き渡ります。いや、無音は言い過ぎました。音声が届かないのにもかかわらず「うんうん」と相槌を打ったり笑い声を出したりしてはいましたが、かなり静かに参加していました。
 そんな静かな状況で4時間近く過ごしていたので、隣の部屋にいた夫は不思議がり、私の部屋のドアをそっと開け、リモート飲み会に参加していることを確認し、静かにドアを閉めるというイベントが実は二回ほど発生していました。参加直前まで何度もリモート飲み会について夫に告知していたので仕方ありません。ものすごく楽しそうに「今日の20時からリモート飲み会があるのでよろしく!」と言っていたのにいざその時間になったらほぼ無音だなんて、不思議に思うのは当然ですね。もしまた機会があって参加できた時には、ちゃんと音も出して声も出すから安心してねと夫に伝えようと思います。


⌘2020/8/24追記⌘

 今回のリモート飲み会のためにZOOMをアップグレードくださっていた牛さん。寛大な御心…!せっかくの機会にとリモートバーを開かれるそうです。noteユーザー同士で飲みたい人を緩募されております。詳細は以下の記事をご確認ください。






ここまでお読みいただきありがとうございました。 いただいた御恩は忘れません。