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レシピとチキンレースをして優勝

 料理をするのは苦でなはい。むしろ好きな方だと思う。ただ、特技と名乗れるほど得意かと言われたらそうではない。今は自分の作る定番が安定してきたけれど、数年前は作るたびに何かしら焦がしたりよく失敗していた。

 お菓子作りも然り。作ること自体は好きだけれど、得意な方ではない。料理はほぼ毎日作るが、お菓子は毎日作らないので余計安定感がない(そのため時おり砂利クッキーぬりかべパイなどを生み出す)。

 まだまだ私の料理スキルにはたっぷりのびしろがある。そのためか、料理を作っている最中、よくレシピとチキンレースをしてしまう。

 レシピとチキンレースって何やねん。そういうツッコミ、待ってました。

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 レシピチキンレースとは

 レシピ通りの分量や作り方を逸脱した状態で、目標とする美味しさに近づける度胸試しのこと。以下の状況時に勝負が始まることが多い。

・レシピ記載の材料や道具が一部足りないが、どうしてもその食べ物を作りたい時
・レシピ通りの分量で作ると一日の糖質や塩分の摂取量をオーバーしそうな時
 
 レシピにアレンジが入った状態でも、納得のいく美味しさの食べ物が完成すれば優勝。アレンジによって美味しさが損なわれてしまったり、結局その食べ物を作るためだけに追加で買い物に行った場合にはレシピ側の優勝となる。

(引用:寅三奈辞典)

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 あるレシピに砂糖40gと書いてあったとする。料理初心者の私はここでビビる。40gとな。この小さじで13回ほどこの鍋に投入するのか。この40gが今日のおやつ分として私の胃に入るのか。

 この時点でレースは始まっている。

 小さじで掬った三温糖をそろそろと投入する。お鍋の上に盛られゆく粒の小山の高さを慎重に観察する。5杯目、6杯目。ずいぶん高い山だぞ。どうする、ここまでにするか。いや、さすがにもう一杯入れるか。7杯目。脳が「もう入れるな」と言っている。この瞬間はさながらチキンレース。よし、ここまでにしよう。一体どういう基準やねん。 

 結果が分かるのは実食タイム。自分が十分美味しいと思える甘さであれば優勝。

 誤解がないようにあらかじめ書いておくが、レシピ考案者様には全くの非はないこと、美味しいレシピを公開するその姿勢をリスペクトしていることを言及しておく。本来ならば、レシピ考案者様が試行錯誤されて見出した美味しいレシピをそのまま作る方がきっと良い。だから、私が勝負しているのはあくまでレシピそのものであって、レシピ考案者とではない。ややこしい話だが、そういうことなのである。前述の解説でも「レシピ考案者の優勝」ではなく「レシピ側の優勝」と書いたのはこのためである。


 最近のアツいレシピチキンレースといえば、今月作ったシブースト。この時は完全敗北した。


 シブーストとはアップルパイのようなクレームブリュレのような味わいのフランス発祥のケーキ。そのクレームブリュレ感が出ないことには別のお菓子と化してしまうのだが、クレームブリュレを作る工程で必要なガスバーナーを持ち合わせていなかった。ガスバーナーの代わりにと何を思ったかオーブントースターで表面を焦がしてみたが、結果は惨敗。まあ、そうなるよね。


 ちなみに、レシピとチキンレースをしている最中は、はたから見ると静寂だ。レシピを凝視しながら、砂糖を乗せた小さじを握りながら固まっているだけなのだから。脳内ではアツいバトルを繰り広げているけど。

 そういえば、私はここ最近レシピチキンレースでどれくらい優勝しているのだろう。

アップルパイ→優勝

 こちらはパイシートの切り込みの入れ方をアレンジした時にチキンレースをした。完成した直後は失敗したと思い、「人生に疲れた顔をしたぬりかべパイ」と称して公開したが、このパイを見た心優しい方々が「可愛い」と言ってくださり、私を優勝へと導いた。後にひとさんがめちゃめちゃキュートに再現してくださり、嬉しさで舞い上がる。心の中でひとさんに優勝カップを授けた。



揚げなすドリア→優勝

 色々なレシピをかいつまんでアレンジしたので、どのレシピと勝負したのかもはや不明。でも大優勝。このドリアは、kaoruさんが数日後につくったよ報告をくださった。kaoruさんとW優勝。嬉しくて、ことあるごとにこうしてツイートを引用させていただいている。今さら気づいたが、私の書いたアバウトレシピでめちゃ美味しく作られたkaoruさんすごい・・・!

 

シブースト→レシピ側の優勝

 優勝の対義語は劣敗。劣敗ってあまり使わないからか、言葉の強さにいまいち慣れなくて、「レシピ側の優勝」と書いた。そっちの方が楽しいや。2勝1敗か。こうしてゲームみたいに捉えれば、もし負けが続いたとしても、ゲームだし気にすることないやって思えるなあ。その時優勝できなくても、次こそリベンジっていう気持ちになるから料理嫌いにならなくて済むなあ。

 こうしてみると、レシピをアレンジするって悪いことではないのかも。思い通りに行けばそれでラッキーだし、上手くいかなくても笑いのネタの一つにできるし。何より交流のきっかけになる瞬間はワクワクする。きっと家庭の秘伝レシピも、こういうレシピとチキンレースしたのがきっかけだったりして。エビフライやナポリタンのような定番料理も、どこかの誰かがアレンジしたことがきっかけだっただろうし。そう思うと、これからもレシピとチキンレースは堂々と続けていきたいな。またこの人やってるよと、温かい目でみていてくれたら嬉しいです。

 




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